「ベイクドポテト」から何を連想するだろうか。90%の方は表面がカリカリに焼き上がったジャガイモの料理を浮かべることだろう。欧米の料理だが、日本でも広く行き渡りレストランやご家庭の食卓で舌鼓を打ったことがあるかもしれない。9%の人は、ベイクドポテト派とも呼ばれるリー・リトナーをはじめとする70年代を席捲したフュージョンのサウンドが聴こえ、そして少数派の1%のへそ曲がりが挙げるのは・・・
ロサンゼルスのジャズクラブ「ベイクドポテト」のオーナー、ドン・ランディだ、という何の根拠もない集計が出た。若い頃からドンと呼ばれたランディはジャズファンよりも、ロック史上屈指の名盤といわれるビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」や、ナンシー・シナトラのレコーディングでポップスファンにつとに有名なピアニストだ。そのランディが、オレだってジャズを弾けるさぁ、と言ってパシフィックに吹き込んだのが「Feelin' Like Blues」で、タイトル通り延々とブルースを弾きまくっている。自作のタイトル曲の何と気持ちの良いこと、泥臭くなく、重くなく、それでいてブルースのツボを押さえてスウィングするピアノは誰かに似てはいないか。
そう、巧みなブロックコードはガーランドを思わせ、強力な右手のシングルトーンはジーン・ハリスを彷彿させる。録音は60年だが、もし70年代以降に初めて聴くと、あぁ、これは日本のピアニストだなぁ、と90%の人は思うだろう。それほど日本人の琴線に触れる演奏だ。「チーク・トゥ・チーク」の高揚するアドリブが素晴らしく、憧れの女性と頬寄せ踊る喜びにあふれ、聴いているこちらは、歌詞のようにまるで天国にいるような気分にさえなる。惜しむらくはジャズセンスのないサイドメンで、おそらく同僚のスタジオミュージシャンと思われる。もしスタジオの仲間でも抜群のテクニックを誇るキャロル・ケイとハル・ブレインがバックだったなら、ピアノトリオの名盤に数えられただろう。
最近、あるホテルのレストランでベイクドポテトを食べる機会があった。料理は見た目の美しさも重要で、白い皿に盛り付けられたジャガイモの存在感と、中に詰められたベーコンとそれにアクセントを付けるバターとパセリの彩りが食欲を誘う。甘い香りと味はワインとの相性も良く、気分までリッチになったものだが、ホテルを出たあと、居酒屋の暖簾を見たとたん肉じゃがが恋しくなった。お袋の味はブルースに似ているかもしれない。
ロサンゼルスのジャズクラブ「ベイクドポテト」のオーナー、ドン・ランディだ、という何の根拠もない集計が出た。若い頃からドンと呼ばれたランディはジャズファンよりも、ロック史上屈指の名盤といわれるビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」や、ナンシー・シナトラのレコーディングでポップスファンにつとに有名なピアニストだ。そのランディが、オレだってジャズを弾けるさぁ、と言ってパシフィックに吹き込んだのが「Feelin' Like Blues」で、タイトル通り延々とブルースを弾きまくっている。自作のタイトル曲の何と気持ちの良いこと、泥臭くなく、重くなく、それでいてブルースのツボを押さえてスウィングするピアノは誰かに似てはいないか。
そう、巧みなブロックコードはガーランドを思わせ、強力な右手のシングルトーンはジーン・ハリスを彷彿させる。録音は60年だが、もし70年代以降に初めて聴くと、あぁ、これは日本のピアニストだなぁ、と90%の人は思うだろう。それほど日本人の琴線に触れる演奏だ。「チーク・トゥ・チーク」の高揚するアドリブが素晴らしく、憧れの女性と頬寄せ踊る喜びにあふれ、聴いているこちらは、歌詞のようにまるで天国にいるような気分にさえなる。惜しむらくはジャズセンスのないサイドメンで、おそらく同僚のスタジオミュージシャンと思われる。もしスタジオの仲間でも抜群のテクニックを誇るキャロル・ケイとハル・ブレインがバックだったなら、ピアノトリオの名盤に数えられただろう。
最近、あるホテルのレストランでベイクドポテトを食べる機会があった。料理は見た目の美しさも重要で、白い皿に盛り付けられたジャガイモの存在感と、中に詰められたベーコンとそれにアクセントを付けるバターとパセリの彩りが食欲を誘う。甘い香りと味はワインとの相性も良く、気分までリッチになったものだが、ホテルを出たあと、居酒屋の暖簾を見たとたん肉じゃがが恋しくなった。お袋の味はブルースに似ているかもしれない。
ダンスホールで華のある女性を誘って踊りたくなる「チークダンス」は、和製英語で、英語では「チーク・トゥ・チーク」というそうです。♪Heaven, I'm in heaven というフレーズはベタですが、頬寄せ合う曲ですからベタベタがいいですね。今週はインストでお好みをお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Cheek to Cheek Best 3
Lou Donaldson / Quartet Quintet Sextet (Blue Note)
Joe Pass / Blues For Fred (Pablo)
Red Mitchell / Presenting (Contemporary)
挙げたジョー・パスの他にチャーリー・バード、ジョニー・スミス、マンデル・ロウ、タル・ファーロウ、チェット・アトキンス等々、ギタリストが好んで取り上げているようです。多くの名演がありますので何が挙げられるのか楽しみです。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
>ギタリストが好んで取り上げているようです。
手持ちを見てみましたが、うちには
マンデル・ロウのriverside盤しかなかった。
しかし、これはなかなか良かったです。
マンデル・ロウと言えば、往年の人気女優の
ベティ・ハットンと一時期夫婦だったと、最近知りました。
そのベティの珍しいヴォーカル盤を、先日お茶の水の
Jazz Tokyo でゲット。
こちらにジャケ、紹介してます。
↓
http://8320.teacup.com/miyuki/bbs?page=5&
なかなかパワフルなヴォーカルで、ジャケと合わせて
拾い物の一枚でした。
チーク・トゥ・チークは、来月の「ジャズ鑑賞会(ライヴ)」の選曲に入っています。但しヴォーカルですが。(笑)
インストとなると、なかなか思いつかないので2枚挙げておきます。
Lou Donaldsonは、大好きなので、文句なし!
Feelin 'Like Blues/Don Randi
1回聴いただけで棚に置きっぱなしになっていたのですが、dukeさんの私の掲示板への投稿を読み、聴き直し「粋なブルース・フィーリング」だと再認識したアルバム。
3枚目は、検討中。
時間切れにならないよう、頑張ります。(笑)
ヴォーカル盤を底から漁ってきたようですね。この盤は知りませんでした。Miyukiさんの掲示板にはご無沙汰で失礼しております。珍しいアルバムがなくて顔を出せません。(笑)
>ベティ・ハットンと一時期夫婦だった
私の記憶違いでなければベティ・ベネットだったと思いますが、ハットンとも結婚したのでしょうか。ベネットはプレヴィンとも結婚しておりましたので間違いかもしれません。もし、お二人と結婚暦があるならロウは女性はベネットに限ると言ったかもしれません。(笑)
dukeさん、みなさんこんばんは
いつまでも寒いですね北海道はっ!(笑)
こんな時にあったかいジャガイモ料理はよいですね
ロスのお店では20種類以上のbaked potatoがあるみたいですね…常々思うのですが蒸かしたジャガイモに塩辛をのせる、あのいかにも北海道らしい大雑把な一品を私は美味しいと1ミリも思えません
Thanks For The Memory/Ronnell Bright(All Art)
大好きなアルバムです、ほぼ私の感覚とピタリな
テイタム~ナット・コールなメロディラインをジャマルなリズムで
イモはイモでも大学イモのほっとする、嬉しくなるスウィートさ
Evergreens/Billy Taylor(abc-paramount)
このお方もアドリブ内容は大して魅力的ではないですが(歌わない)アルバムとしては魅力的な傑作を何枚も残していますね、ま、ちょいと過大評価され気味だとは感じます…レフティ・アールとパーシーとのグルーヴはイモはイモでもうま煮に入る里芋の美味さ
Ahmad Jamal vol.Ⅳ/Ahmad Jamal(argo)
ワシントン・ライブの3D白ジャケに対してのカラフルネームの黒ジャケですが、先ほどのロンネルや、現在のサイラスやエリックなんかを聞いているといかに彼が、彼の音楽が、現在を生きているかを実感します、バードや、デュークの様にいつの時代においても同時代性を持ちえていると
ジャマルを聞けば今のピアノ・トリオは全部分かるぞ、と無責任に言い放てるほど魅力的です
そんなビシソワーズ(私にはほとんど非日常的ですが…)な一枚
次点に
A Night at The Vanguard/Kenny Burrell(argo)
ギタリストがよくとりあげるということなら(笑)~私は徹底します(笑)…マッシュにならない程度で胡椒とマヨのバランスがシンプルなスタンダードなポテサラ、少量のマスタードがより味を引き立てます
チーク・トゥ・チークは、ジャズ鑑賞会の選曲に入っておりましたか。さて誰と踊るのやら。(笑)
トップにルーがきましたね。ストレートな演奏で私も好きなヴァージョンです。
そしてランディ、感想は記事の通りですが、楽しめる内容です。かつてブラインドテストでこれがかかったとき、「あぁ、これは日本のピアニストだなぁ」と言ったのは私です。(笑)
>私の記憶違いでなければベティ・ベネットだったと思いますが、
すみません、ベティ・ハットンと結婚していた
ジャズメンは、ピート・カンドリでした。(苦笑
彼女の4度目の夫だったようです。
ドン・ランディのPJ盤、いいですね。
彼の初聴きは、例のサングラスのVerve盤でしたが、
27,8年前に当時出向していた栃木の某ジャズ喫茶で、
店主にブラインドで聴かされて、
「誰だと思う?」
「う~ん、バド・パウエルやピーターソン、ハンプトン・ホーズ
なんかの影響を強く感じるので、黒人だとは思いますが・・・」
白人と聞いて、ビックリしたのを覚えています。
札幌に越して2度目の5月ですが、何か寒いですね。昨年は北見より寒いという印象でしたが、2年目になるとこれが札幌の5月なのだと納得します。
さてさて、「蒸かしたジャガイモに塩辛をのせる」否定論で、初めて意見が合いましたね。(笑)私もあれは見るだけで食べる気になれません。
トップに照明なしでも明るいロンネル・ブライトがきましたか。サラのバックを思い出しますがこれは忘れておりました。
そして服のセンスが抜群のテイラーもいいですね。アドリブ内容が魅力的でないのは、多分に理論詰めのきらいがあるからかもしれません。テイラーのピアノ理論書は凄かった。
ジャマルはこの類の曲をやると、さすがだねぇ、と唸らせます。
ギターではバレルも好演しておりますが、意外に良かったのはチェット・アトキンスでした。カントリーをなめちゃいけんぞ、とばかりに私が好きな三升漬の刺激がありました。イモには三升漬が三番、いや一番です。
ランディのサングラス盤は選曲の良さもあり人気盤ですが、PJ盤もデビュー作としてはなかなかのものと思います。どちらもブラインド用として出題者の隠し玉のアルバムですね。正解率1%でしょうか。
宵闇散歩さんのコメントを読み思い出しました。バレルのヴィレッジヴァンガードの夜がありましたね。
このアルバムは「ジャズ鑑賞会」で取り上げたことがあります。
その時の私の解説は「53年にアーヴィン・バーリンが作曲した、陽気なラヴ・ソング。軽快なドラム乗ってバレルがアップテンポでイントロ、テーマ、アドリブを展開する。バレルのテクニックを示した演奏だ。ロイ・ヘインズのドラムは、最高にご機嫌だ。」でした。
というわけで、3枚目決定です。!(^^)!