87分署シリーズで知られる作家エド・マクベインが、エヴァン・ハンターの別名で書いた「黄金の街」(原題Streets of Gold)は、マンハッタンの52丁目を舞台にしたジャズ小説でパーカーやパウエルをはじめ数多くのジャズメンが実名で登場している。52丁目には「バードランド」、「ヒッコリー・ハウス」、「フェイマス・ドア」等、ライブ盤にも記録されている著名なジャズクラブが密集していたことからジャズ・ストリートと呼ばれていた。
ガレスピーは、「52丁目は私の母だった」と言っているが、その52丁目の雰囲気を曲にしたのはモンクで、「52nd Street Theme」というタイトルが付いている。どういうわけかモンク自身のリーダー録音はないが、弟分のバド・パウエルがこの曲を得意としていて、昨年マシュマロレコードから発売された「In Scandinavia」のコペンハーゲンのセッションでも演奏していた。ニールス・へニング・オルステッド・ペデルセンのベースと、ヨーン・エルニフのドラムによるトリオで、62年に録音されたものだが、この時期のパウエルとしては驚くほど快調で、絶頂期にみられた閃きと唸り声も聞かれる。
唸り声についてはライナーノーツを執筆した拙コメント欄でもお馴染みの珈琲パウエルの店主が触れておられるが、「唸り声は彼の演奏の一部」という件は思わずウーウーとうなずいてしまった。この曲での唸りはベースラインが膨らむほど激しくなるが、当時16歳のペデルセンに刺激を受けたことは容易に察しがつく。パリ時代のパウエルを老いたセイウチと評したのは大江健三郎だったが、16歳の天才少年の目にバップを疾走したピアニストはどう映ったのだろう。たとえ老いたセイウチに見えたとしても、パウエルから学んだものは大きいはずだ。セイウチの牙は生涯を通じて伸び続けるという。
直井明氏の「87分署インタビュー」(六興出版)によるとマクベインはこの小説を書き上げたあと、ピアニストのジョン・ミーガンに見せてジャズの技術的な精度について意見を求めている。「いいかね、この本には大切なものが欠けているよ。君が描いた主人公からジャズを演奏する歓びというものが感じられないんだ」と指摘され、書き足して完成させたそうだ。晩年のパウエルの演奏が絶頂期よりも人を惹きつけるのは、ジャズを演奏する歓びにあふれているからかもしれない。
ガレスピーは、「52丁目は私の母だった」と言っているが、その52丁目の雰囲気を曲にしたのはモンクで、「52nd Street Theme」というタイトルが付いている。どういうわけかモンク自身のリーダー録音はないが、弟分のバド・パウエルがこの曲を得意としていて、昨年マシュマロレコードから発売された「In Scandinavia」のコペンハーゲンのセッションでも演奏していた。ニールス・へニング・オルステッド・ペデルセンのベースと、ヨーン・エルニフのドラムによるトリオで、62年に録音されたものだが、この時期のパウエルとしては驚くほど快調で、絶頂期にみられた閃きと唸り声も聞かれる。
唸り声についてはライナーノーツを執筆した拙コメント欄でもお馴染みの珈琲パウエルの店主が触れておられるが、「唸り声は彼の演奏の一部」という件は思わずウーウーとうなずいてしまった。この曲での唸りはベースラインが膨らむほど激しくなるが、当時16歳のペデルセンに刺激を受けたことは容易に察しがつく。パリ時代のパウエルを老いたセイウチと評したのは大江健三郎だったが、16歳の天才少年の目にバップを疾走したピアニストはどう映ったのだろう。たとえ老いたセイウチに見えたとしても、パウエルから学んだものは大きいはずだ。セイウチの牙は生涯を通じて伸び続けるという。
直井明氏の「87分署インタビュー」(六興出版)によるとマクベインはこの小説を書き上げたあと、ピアニストのジョン・ミーガンに見せてジャズの技術的な精度について意見を求めている。「いいかね、この本には大切なものが欠けているよ。君が描いた主人公からジャズを演奏する歓びというものが感じられないんだ」と指摘され、書き足して完成させたそうだ。晩年のパウエルの演奏が絶頂期よりも人を惹きつけるのは、ジャズを演奏する歓びにあふれているからかもしれない。
「52nd Street Theme」は、「52番街のテーマ」という邦題も見受けられますが、「52丁目」が正しいようです。今週はミルト・ジャクソンも参加している1946年のディジー・ガレスピーのRCA録音で有名なこの曲のお気に入りをお寄せください。
管理人 52nd Street Theme Best 3
Charlie Parker / Royal Roost Live Recordings (Savoy)
Bud Powell / Amazing Vol.1 (Blue Note)
Joe Lovano / 52nd Street Themes (Blue Note)
パウエルは何度も録音しておりますし、他にもロリンズ、ドルフィー、デクスター・ゴードン、エリック・リード、大西順子等々、多くの名演があります。
エド・マクベインのジャズ指南役、ピアニストのジョン・ミーガン(John Mehegan)については、2011年1月9日の拙稿「ジョン・ミーガンのジャズ理論」をご覧ください。
Bud Powell 52nd Street Theme
http://www.youtube.com/watch?v=KUnJ4suqOq8
52番街と52丁目では受ける印象がかなりちがいますね。
『5丁目のマリー』だと、場末のスナック、少し年増のイメージになってしまいますね(笑)僕だけでしょうか(笑)
これは断然、パウエルです、
Bud Powell / Amazing Vol.1 (Blue Note) これが、僕的には一番です。
次が出てこないので、今から探してみます、あると思いますが~
逆にある意味、モンクらしくないですよね。
あんまり手持ちがないんですが、
挙がってるもの以外では、
ポール・ブレイのMercury の音源があります。
ピーター・インドb、アラン・レヴィットdsとのトリオで
'54年の録音。
正統派バップ・ピアノという感じで、
僕は後年のブレイより、この時代の方が好きですね。
エリック・リードのは、
「Manhattan Merodies」の、日本盤CDだけに
ボーナスで収録されたものですよね。
あれも悪くないですが、あのアルバムは
寧ろスティングのEnglishman In NY なんかの方が
印象に残っています。
52番街のほうが響きは良いですね。こちらの5丁目は18歳から働けるため若い嬢が多いのですが、客引きやボッタクリの店が多いのも5丁目です。こちらに来られたときはご案内しますのでご心配ありませんよ。客引きは観光客と地元の人を一瞬で見分けますので、私は声をかけられたことはありません。一説によると金を持っていそうな人に声をかけるとか。(笑)
まず、パウエルがトップにきましたね。メンバー全員が若くて溌溂としております。絶頂期をとらえた最高の記録です。
この曲がモンク作だと知ったときは驚きでした。完全なバップナンバーでしたので、ガレスピーかパーカーの曲だと思っておりました。
ポール・ブレイがありましたね。Mercury の傍系レーベル「Wing」がオリジナルです。持っておりますが、札に羽が生えたかと思うほど一瞬にして財布が空になりました。(笑)バップ・スタイルでしたので後の変貌は驚くばかりです。
エリック・リードのはボーナス・トラックですが、古さを感じさせない良い演奏ですね。シーンをリードするほどではありませんでしたが、端正なピアノは印象に残ります。
「イン・スカンジナヴィア/バド・パウエル」を紹介して下さって、有難うございます。
私のライナーノーツは駄文ですが、パウエルの演奏は聴く価値があると思います。このアルバムのもう一つの楽しみは、ジャケットが素晴らしい出来栄えだと言う事です。
ジャケットとパウエルの演奏を楽しんでいただけたら嬉しいです。
52丁目のテーマのお気に入りです。
Amazing Vol.1/Bud Powell
Royal Roost Live Recordings/Charlie Parker
Now’s The Time !/Sonny Rollins
この曲ですが、ガレスピーの作かと今ののいままで思っていました。先入観ですが、モンクの作風とは異なるような気がします。演奏の方はあまり聴きませんが、Round About Midnight, Straight No chaserなどなど、よい曲を作っていますね。
こういう急速調のバップ曲だと、今も昔もパーカー、パウエルでしょうか。①、②はdukeさんと同じですが、さすがに3つとも同じだとつまらないので(笑)
①Charlie Parker / Royal Roost Live Recordings (Savoy)
②Bud Powell / Amazing Vol.1 (Blue Note)
③Donald Byrd / Byrd In Paris Vol.2 (Polydor)
③は、ボビー・ジャスパーが結構ハードに吹いていて好きなアルバムです。オスカー・ピーターソンのドライブするシェイクスピアフェスでの演奏にも唖然としました。他にピアノでは、ケニー・ドリュー、ウォルター・デイビス.JRのものもありました。
パウエルのこのアルバムは内容的にも申し分ありませんし、執筆されたライナーノーツからはパウエル愛と唸り声が聴こえてきます。パリ時代はときにファンでも封印したくなる演奏もありますが、それでもなお惹きつけるのはパウエルが持つカリスマ性でしょう。ジャケットはそれこそ老いたセイウチですが、目の輝きは力がありますね。
トップにパウエル、そしてパーカーと定番が並んだところでロリンズがきましたか。演奏時間が短いのが残念ですが、好メンバーとの好セッションです。
おっしゃるように作者はガレスピーかと思うほどのバップ曲ですし、モンク・スタンダードと違う曲調ですね。モンク自身が演奏しなかったのはガレスピーでヒットしたことと、弟分のパウエルが愛奏したせいかもしれません。「Relection」を作者のレイ・ブライアントがブレイキーのホリデイ・フォー・スキンズで弾いたあと、ニューボーンの録音でヒットしたので弾かなくなったようなものでしょうか。そういえば「Reflections」はモンク作、ややこしい。(笑)
ワンツーと私と並んだところでドナルド・バードがきましたか。先発のボビー・ジャスパーは勢いがありますし、続くバードのソロは歌ってますね。ピアノはウォルター・デイビス.JRですが、なかなかやりますね。ウォルター・デイビス.JRといえばここでも参加しております。
52nd St Theme (T.Monk), Dizzy Gillespie, Milt Jackson, Walter Davis Jr
http://www.youtube.com/watch?v=mxqVckeFTaE
ところで3枚を何にようか・・・枚数はあるけど、コレという演奏になると、先ずはこの二枚は決定!
Charlie Parker / Royal Roost Live Recordings (Savoy)
Bud Powell / Amazing Vol.1 (Blue Note)
さあ、三枚目が無い、あれもこれもとあるにはあるが・・・決めてが無い。
Donald Byrd / Byrd In Paris Vol.2 (Polydor)
これはいいかな、三番はこれにしよう。
50丁目&マディソンが定宿だ、ブロードウエイの52とくれば騒がしいというかネオン街やね。
むしろ52だったら近くに確かHOLLYDAYINNの豪華版があったのであすこに泊まってジャズを聴きにゆくとするか。