祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ 交渉を妨害し後藤さんを見殺し!

2015-02-04 23:18:16 | イスラム国
LITERAにイスラム国事件の記事があります。今回の事件に関して、アベシがどのように関わったかを知ることが出来ます。

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交渉を妨害し後藤さんを見殺し! イスラム国事件で安倍政権が犯した3つの罪
2015.02.01.

アベシ

abe_150201.jpg首相官邸ホームページより
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 2月1日早朝、イスラム国に拘束されていた後藤健二さんの殺害映像が動画サイトにアップされた。政府もメディアも「イスラム国は許しがたい」「テロには屈しない」といってすませようとしているようだが、問題はけっしてそれだけではない。

 今回の事態は明らかに安倍政権の政策や判断ミスが招いたものだ。しかし、こうした指摘に対して、安倍政権の親衛隊たちは「悪いのはテロリスト。安倍政権に責任はない」と合唱し、「政権批判につなげるのは政治利用だ」などといった恫喝で批判を抑え込もうとしている。

 だったら、改めて説明してやろう。後藤さんを見殺しにしてしまった責任の一端は誰がなんといおうと、安倍政権にある。それは日本政府が中東政策で対米追従路線をとってきたという大枠の話だけではない。政治信条とは関係のないプラグマティックな判断でも、安倍政権はありえないミスを犯しているのだ。


“致命的なミス”は少なくとも3つある。

 1つ目はなんといっても、湯川遥菜さん、そして後藤さんが拘束された後、官邸が解放に向けて本気で動こうとしなかったことだ。

 いや、動かなかったどころではない。実は今回、イスラム国が動画をアップして2億ドルを要求する前に、外務省が水面下で交渉していたにもかかわらず、官邸はその交渉の障害になっていたのである。

「外務省は中東アジア局長の上村局長が中心になって、昨年11月、後藤さんの妻宛てにイスラム国から最初のメールが届いた直後、仲介人を通じてイスラム国と秘密交渉をしていた。ところが、官邸はかなり冷ややかで外務省に交渉の自由を与えず、低い金額の身代金を払うかどうかの判断もしなかったんです。そのため外務省も動きようもなく、交渉は頓挫してしまった。もっとも、官邸が動かなかったのは、信念があってのことではなく、当時、この問題に全く無関心でたなざらしにしたというのが実情のようです」(外務省担当記者)

 しかも、この後、官邸は解散総選挙に踏み切り、外務省は交渉を継続できなくなってしまった

「もし後藤さんが人質にとられていることが発覚すると、選挙に影響を与えるという判断があったんでしょう。情報が漏れないようにするのが最優先にされ、外務省も動きをストップさせられてしまったようです」(外務省担当記者) このときのイスラム国と交渉がうまくいけば、かなり安い身代金を支払うことで妥結していた可能性もある。


安倍政権の親衛隊メディアはまるで身代金交渉に応じなかったことを手柄話のように語っているが、フランスやスペイン、イタリアなどは実際に裏で交渉し、低い金額の身代金で人質をとり戻す事に成功している。

 ようするに、安倍政権は自分たちの政権維持のために、国民の生命を守るという作業を放棄したのである。この責任はあまりに重大だろう。

 しかも、初動段階で日本政府はもうひとつ“致命的なミス”を犯している。それは、先日、本サイトでも指摘したように、交渉の窓口をトルコではなく、ヨルダンとしたことだ。

 日本政府は少なくとも昨年11月の時点でヨルダンに現地対策本部を置き、以来、交渉窓口をヨルダン政府に委ねてきた。しかし、ヨルダンは親米国であるだけでなく、現状、もっとも激しくイスラム国と対立している国であり、イスラム国空爆の有志連合にも参加している。この選択がイスラム国を硬化させた可能性はいなめない。

 また、ヨルダン政府をまきこんだことで、イスラム国はヨルダン国内に収監されているリシャウィ死刑囚の解放を要求するという手に打って出た。イスラム国に新たな交渉のカードを与えてしまったのである。

 これは結果論でなく、専門家の間では事件発覚当初から、ヨルダンでなくアメリカの中東政策と距離を置くトルコに全面協力を求めるべきだという声があがっていた。トルコは昨年9月にオバマ米大統領から「攻撃参加」を強く要請されたものの、その呼びかけを拒否した。その結果、人質に取られたトルコ国民49名全員の解放に成功している。

 また、トルコはイスラム国と独自の交渉ルートをもち、情報も得やすいうえ、後藤さんが敵対する意志をもっていないことなども、そのルートを使って伝えることができる。実際、フランスなどもこのトルコルートをつかって人質解放に成功している。

 テレビ朝日『報道ステーション』などで、トルコへの協力要請の必要性を訴えていた同志社大大学院教授・内藤正典氏は自著『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』(集英社新書)でも、アメリカと距離を置くトルコの独自路線について解説している。それによれば、トルコの国内世論は、米軍の攻撃に参加することで、何の罪もないイラクやシリアの市民たちを巻き添えにして殺すことに極めて否定的だという。9.11に際してアメリカが仕掛けたアフガン侵攻に関しても、トルコはアフガン市民に対して一発も発砲せず、タリバンからの攻撃で一名の死者も出していない

 さらに注目すべきは、トルコは中東におけるアメリカ最大の同盟国のひとつであるにも関わらず、集団的自衛権の行使にきわめて慎重である点だ。つまり、トルコを交渉の窓口にすれば、日本はアメリカ側と必ずしも姿勢を同じくしているわけではない、というメッセージにもなり得たのだ。


 では、なぜ日本政府はヨルダンを選択したのか。ひとつ確実なのは、これはアメリカの顔色をうかがった判断だということだ。「テロとの戦い」でアメリカに追従する安倍政権としては、親米で有志連合に入っているヨルダンに現地対策本部をおくのが当然と安易に考えていたのではないか。

 また、この判断には外務省の事情も関係したのではないかとささやかれている。今回の人質交渉を担っているのは外務省の中東アフリカ局はアラビア語の研修を受けたアラブスクール出身者が主流を占め、局長の上村司氏も元イラク大使館参事官。そのため、トルコルートを軽視し、省内の声を抑えて、ヨルダンにベースをおいてしまったのではないかといわれている。

 いずれにしても、この判断によって事態はさらに複雑になり、日本の単独意志で解放交渉ができなくなって、結局、後藤さんは殺害された。

 前出の内藤氏は1月27日、自身のツイッターでこのような推論を立てていた。

「(イスラム国が)恐ろしく狡猾だと思うのは、もしサージダ(・シャラウィ死刑囚)の解放などどうでも良いとすると辻褄が合う。つまり、この件で敵国ヨルダンを翻弄した挙句、パイロットを犠牲にすることで戦果を強調することが可能。日本政府が無策なことを見透かし、欧米の追従者に過ぎないことをアピールする。」

 良好だったヨルダン・日本の関係にクサビを打ち、かつ、日本がアメリカ側の国家にすぎないことをイスラム社会に喧伝する──これがイスラム国の狙いであったならば、今回の事件で日本政府は、まんまとイスラム国の思惑に乗ってしまったということになる……。

 しかも、こういう致命的なミスを犯しながら、安倍政権はそれをカバーするどころか、だめ押しとなるような3つ目の決定的な“ミス”を犯す。いまさら言うまでもない、安倍首相の中東歴訪でぶちあげた2億ドル支援だ。

 イスラム国による最初の殺害予告動画での身代金“2億ドル”要求は、明らかに、安倍首相のカイロでの「2億ドル支援」演説を受けてのものだった。

 政府は後になって人道支援であることを強調していたが、カイロの安倍首相の発言は明らかに戦闘的だった。「支援はISILの脅威を食い止めるため」「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と、軍事援助と受け取られかねない発言をしたのである。

 実はこれは発言だけでなく、2億ドルの中には人道支援以外の用途の資金が入っているとの見方もある。たとえば、エジプトのエルシーシ大統領との首脳会談で、安倍首相は「日本のISIL対策でのエジプトの国境管理能力強化のための50万ドルを含む、総額2億ドル規模の新規支援」を伝えている。この「国境管理能力強化のための50万ドル」は、軍備への資金提供と受け取られても仕方がないだろう。


また、「2億ドル」が仮にすべて人道支援であるとしても、いや、だとしたらなおさら、安倍首相が「イスラムと闘う」と発言した罪は大きい。安倍首相はおそらく、対イスラム国に強硬的な姿勢をとるアメリカに、勇ましいことを言って、いい顔をみせたかったのだろうが、安倍首相はこの時点で、湯川さん、後藤さんが拘束されていることを知っていたはずだ。にもかかわらず、こんな挑発的な台詞を口にしたというのは、この時点で彼らの生命を一顧だにしていなかったという何よりの証明だろう。

 そう。安倍首相が「人命を第一優先に」などと殊勝なことを言い始め、形だけでも救出に動き始めたのは、イスラム国が二人の動画を公開し、日本の世論が後藤さんへの同情論で盛り上がり始めて以降のことだ。それまでは、具体的に自分たちが積極的に救出に動くなんてことはさらさら考えていなかったのである。

 そういう意味では、この3つは“ミス”というより、自らの意志で国民を見殺しにする“犯罪行為”といっていいだろう。
 
 しかし、こうした主張を少しでも口にしようものなら、産経や読売等の御用メディア、そしてネトウヨやネトサポ(J-NSC)の「イスラム国を利するつもりなのか」「テロリストとの闘いの足をひっぱるもの」といった大合唱が起きる。実際、今日の『サンデーモーニング』(TBS系)や『サンデースクランブル』(テレビ朝日系)は、コメンテーターや司会者がごく常識的な主張をしただけで、「売国」「テロ礼賛」などと大炎上をしている。

 しかし連中に怯え、口をつぐんではならない。私たちが今、やらなければならないのは、イスラム国へのヒステリーを起こす事ではない。この間、政府がどんな交渉をしていたか、安倍政権がどんな意図でどう動いたかをきっちり検証することだ。それが次の悲劇を食い止められるかどうかのカギを握るのだから。
(田部祥太)



































・ イスラム国による日本人人質事件

2015-02-04 16:00:17 | イスラム国


今回のイスラム国による日本人殺害事件について、伊藤和子さんがいろいろな状況を説明してくれています。我々のようにただ日本国内にいる人は、海外の戦争がどのようなものであるかはほとんど知らないでしょう。いろいろな情報に接し、物事を正しき見つめれれるようにすべきですね。以下転載します。


  


イスラム国による日本人人質事件 今私たちができること、考えるべきこと
伊藤和子 | 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
2015年1月31日 15時4分



■ 深刻化を増す事態

「イスラム国」が、後藤健二さん(47)、湯川遥菜(はるな)さん(42)を人質にとった事件はあまりにも深刻な事態となっている。

20日に、身代金2億ドルを72時間以内に支払わなければ、湯川さんと後藤さんの2人を殺害すると警告するビデオ声明をネット上に公表されたが、24日午後11時すぎには、「湯川さんは既に殺害された」との声明を後藤さんとみられる男性が読み上げる画像がインターネット上に掲載された。

イスラム国は、人質解放の条件として、イラク人、サジダ・アルリシャウィ死刑囚をヨルダン政府に釈放させるよう要求、しかし、ヨルダン人パイロットの生存確認を求めるヨルダン政府に対し、イスラム国は沈黙を貫き、交渉は難航しているようである。

後藤さんの状況は依然不明だという。

人質や捕虜の殺害・超法規的処刑やその威嚇は国際法上到底許されない人権侵害・犯罪である。本人はもとより、ご家族の気持ちを思うと本当にいたたまれない。



■ 2004年の経験

私は、2004年4月に発生した、イラク日本人人質事件で、家族や釈放後の人質の方々(高遠菜穂子氏、今井紀明氏、郡山総一郎氏の三名。なお、この後二名がさらに拘束されたがほどなく解放された)の代理人弁護士を務め、解放までのほぼすべてのプロセスに立ち会ったが、今回と前回ではかなり状況が違う。

2004年のイラク人質事件で武装勢力~当時は、純朴な地元の青年たちがにわかに結成したものだった~が世界に訴えかけた「2003年のイラク戦争後にイラクの人びとが置かれた苦境を世界の人に知ってほしい、この不正義を正してほしい。」という訴えに対し、この約10年近くの間、結局超大国や国連を含む世界のほぼすべての人びとが無視を決め込んできたのだ。

イラクの人びとの蓄積された怒りと憎悪、そして大地に流されてきた幾多の血が残虐行為を顧みないISを生んだ。その残虐性は際立っており、到底許しがたい人権侵害行為を繰り返してきた。そのISと「交渉」し、人間としての会話を成立させることは極めて難しい。   しかし、それでも2004年の経験に立ち返ってみたい。

2004年のイラク邦人人質事件の際、人質となった人道支援家・高遠菜穂子さんは、自分を人質に取った武装勢力に、自らの人間性をかけて、「このようなやり方でイラクを変えることはできない」と説得した。当時、犯人グループが突き付けた要求は「自衛隊撤退」であり、当時の日本政府が即座に拒絶した。

そうした厳しい状況の中で、支援に関わった友人や支援者は、高遠さんたち人質となった人たちが「イラクの人たちを助けたいという思いでイラクへ行った」「イラクの人びとの敵ではない」ということを知らせる映像をアルジャジーラに送り、アルジャジーラが放映をしてくれた。このほか、様々発信を続け、行動を起こした。

また、高遠さんがつながっていたNGOの現地スタッフは、多大な危険を冒して宗教指導者に会いに行き、彼女たちの活動がどんなにイラクの人びとを救ったかということを説得し、その結果地元の宗教指導者から『三人を解放せよ』という指令が出た。

現場では人質となった人々が犯人集団と対話を続け、「殺害する」という決断を揺るがせ、それを日本の市民社会が後押しし、その声が犯人グループの元まで届いた。そうしたことが功を奏して、結果的に三人の人質は無条件で釈放された。

参照: 書籍「イラク人質事件と自己責任論 私たちはこう動いた・こう考える」(2004年佐藤真紀×伊藤和子)

繰り返すが、当時の犯人グループとISでは異なり、状況はさらに厳しい。しかし、国ではない私たちにもできることはある。 私たちにできることは、ISとまさに対峙しているだろう後藤さんの孤独な戦いをサポートするメッセージを送り続けることだ。


■ 私たちが伝えるメッセージとは

後藤氏のお母さんの記者会見については様々な意見も出ている(心無い中傷もあり、あまりにひどすぎる)が、私は以下のお母さんの声明は、イスラム国に伝えるメッセージとして適切だったと思う。

健二は幼い頃から心の優しい子でした。 健二はいつも「戦地の子どもたちの命を救いたい」と言っていました。中立な立場で戦争報道をしてきました。イスラム国の皆さん、健二はイスラム国の敵ではありません。解放して下さい。日本は戦争をしないと憲法9条に誓った国です。70年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。 日本は唯一の被爆国です。アメリカによる広島と長崎への原爆投下で数十万人が亡くなりました。


出典:声明文

アラブ社会には日本に対する信頼が長らく残されてきた。日本への共感・信頼の根拠は、米国による広島・長崎への原爆投下というあまりに壮絶な被害を受けながらも平和国家として立ち直ってきた国という認識、外交において中立的立場を保ってきたという認識(いまや大きく変わろうとしているが)また、損得抜きで人道支援・戦地報道等に尽力してきた個人(高遠さんや後藤さんのような・・)への信頼が大きかった。

日本の市民のなかには、欧米の「テロとの戦い」とは一線を画し、2003年のイラク戦争以降の欧米の介入に批判的で、イラク戦争後に起きたイラク人の苦しみに寄せてきた人々もたくさんいる、後藤さんもその一人であるということをもっと伝えていく必要があるだろう。後藤さんを知る人々、そして後藤さんのことを報道等を通じて知った私たちも、後藤さんのしてきた仕事を紹介しながら、同様のメッセージを伝えていくことが唯一できることではないだろうか。

後藤さんが生きている限り、私たちは諦めないでそうしたメッセージを発していく必要がある。


■ IS誕生の土壌~この瞬間も続くアラブの人びとへの人権侵害。

日本人の目が一人の人質の生死の一点に注がれてきたこの一週間、現地ではどんなことが起きていたのだろう。 国連関係者によれば、イラクでは1月21日から27日の一週間で、紛争関連で794人が死亡、825人が負傷したという。

例えば、イラク・ディヤラ州バロアナ村では今週、シーア派民兵がスンニ派の非武装の72人の住民を虐殺した。

「IS掃討」「テロとの戦い」という名のもとに、イラク治安部隊とシーア派住民が無抵抗のスンニ派住民を殺害する事態が拡大し、ほぼ「民族浄化」とでも言えるような重大な人権侵害が進行中だ。そして、ISによる人権侵害の被害もあまりにも凄惨で残虐ある。

こうした事態に全く心を寄せずに、日本人の釈放だけを求める訴えを繰り返すならば、現地で共感を呼ぶことはないであろう。

そして、現地に心を寄せ、シリア・イラクにまたがるこの紛争をどう解決すればいいのか、を考える時、なぜISなるグループが生まれ、勢力を拡大しているのか、その背景にどんなフラストレーションがあるのか、考えてみる必要があるだろう。


・イラクで

ISの幹部たちは、イラク出身、特にサダム・フセインの旧バース党関係者が固めている事で知られている。旧バース党、そしてスンニ派は、イラク戦争後のイラクで徹底的に弾圧され、殺戮された。

イラク戦争はあまりにも過酷な人権侵害をイラクの人びとにもたらし、幾多の血が無残にも流され、人々は虐殺されていった。

米国の占領政策に反対する人々は次々と投獄され、拷問を受けた。アブグレイブのようにイスラムの人びとの尊厳を徹底して辱める性的拷問も行われた。

アンバール州ファルージャでは2004年に2度の大虐殺が行われ、残虐兵器を用いた虐殺で多くの民間人が犠牲になった。このほか、ファルージャを含むイラクの多くの地域で、米軍等が使用した有害兵器の影響で先天性異常の子どもたちがたくさん出生し、苦しみながら亡くなっている。
しかし、だれもイラク戦争の責任を問われない。イスラムの尊厳を傷つけた拷問の数々の責任を問われない。

そして、イラク戦争後に勃発した宗派間対立で、スンニ派住民は徹底的に、シーア派マリキ政権主導の血の弾圧を受け、大量に殺害されていった。イラク内務省直属の殺人部隊によって反政府的なスンニ派は次々と拘束され、処刑され、路上に見せしめのように死体が打ち捨てられた(その人権侵害の深刻さは、国連人種差別撤廃委員会にヒューマンライツ・ナウが提出した報告書に詳述した。http://hrn.or.jp/eng/news/2014/08/11/human-rights-now-submitted-information-report-for-the-review-of-iraq-cerd/)

しかし、こうした事態に対して、占領統治をしていた米国は黙認、国際社会も本当に無関心であった。

2013年終わりころ、スンニ派住民が多数を占めるアンバール州で反政府の機運が高まった。平和的なデモに政権は銃をつきつけて住民を射殺、住民が武装をすると、2014年1月以降は大量の戦車を派遣して、民間人も含めた無差別攻撃を繰り広げた。

私たちがイラクの子どもたちの実情を調査した際、協力してくれたファルージャ綜合病院も攻撃対象となり、医療従事者が次々と殺されていった。病院への攻撃は明らかな戦争犯罪であるのに、マリキ政権はそれを実施し民間人を殺害した。

しかしこの時、国際社会も国連も地元の人びとの悲鳴や救いを求める声を黙殺した。 そうしたなか、ISの前身(ダイシュと呼ばれた)がマリキ政権の弾圧に絶望した人々の信頼を得る流れをつくり、勢力を拡大し、6月のイスラム国建国宣言 につながった。

私たちヒューマンライツ・ナウでも、イラクの深刻な人権状況について、報告書や声明を出してきたが、国連からことごとく黙殺されてきた。 私たちは様々な国の問題に取り組んできたが、これほど重大な人権侵害が国際社会から黙殺された国は珍しい。

歴史の針は元に戻らないが、イラク戦争からのこの10年余、もっと人々が、国際社会が、イラクの人権侵害に心を寄せていれば、効果的に介入が出来ていれば、ISのようなモンスターが登場することはなかっただろうと心から悔やまれる。

今も前述したようなイラクでのスンニ派虐殺は光が当てられていない。ルワンダ等で起きたと同様の国際社会の怠慢が生んだ悲劇を私たちは再び繰り返しているのだ


・パレスチナで

イスラムの人びとにとっての不正義の象徴であるパレスチナ問題はどうか。
最近では、2008~2009年、そして2014年とガザの人びとに対するイスラエルの虐殺が繰り返されてきた。

2014年には500人以上の子どもを含むガザの住民2000人以上が犠牲になったが、イスラエルの戦争犯罪の責任は全く問われないままである。イスラエルの戦争犯罪を問おうとする動きが起きるたびに、日頃、「人権」を声高に叫ぶ西側諸国がこぞってイスラエルを擁護する。そんな状況が続いている。

参照:http://hrn.or.jp/product/statement/icc/
http://hrn.or.jp/activity/area/cat69/post-278/


・収容所で

さらに、米国が主導する「対テロ戦争」では、アフガニスタン戦争の際に「テロ容疑者」として捕獲したイスラム教徒をキューバのグアンタナモ基地に収容し、拷問の限りを尽くした。その際、米軍がイスラム教徒に着用させたのは、今回の人質の方々に着せられたと同様のオレンジ色の囚人服だった。こうした拷問や辱めがイスラムの人びとの尊厳をどれだけ踏みにじったのか、その怒りは察するに余りある。

さらにCIAが世界に設置した秘密収容所でも、イスラム教徒が秘密裡に拷問され、その内容もあまりにすさまじいものであった。

参照:http://hrn.or.jp/activity/topic/cia/


・世界各地で

このような一生勝てないゲームの中で、殺され続け、踏みにじられ続けていくイスラム、そして世界各国の社会で差別され搾取され、貧困にあえぐムスリム移民。 そしてイスラムを嘲笑する風刺画が「表現の自由」「ユーモア」として西側諸国の知識人からも許容される。

そうした怒りがあるからこそ、ISには続々と人々が集まってしまう。ISはイスラムではない、あのような人権侵害行為は絶対に許されないという穏健なイスラムの人びとはもちろんイスラム教徒の圧倒的多数であろう、しかし、イスラム教徒の人たちであれば同じフラストレーションを感じざるを得ないような状況が深刻化しているのだ。


■ 軍事的な勝利はない。

私は決してISのあのような人権侵害は容認しない。いつも怒りを抱えてきたし、いかなる理由があっても許されない。しかし、残念ながら、軍事的手段によって、彼らを滅亡させることはできないたろう。短期的にISを弱体化させることができたとしても、ISが熱狂的に支持されるこの世界の不平等・不均衡が彼らにも納得のいくようなかたちで是正されない限り、ISが支持される土壌までを根絶することはできない。

イスラムの困窮した若者たちは希望が持てず、他に行くところがないからISに集う。ほかにオールタナティブが見つけられず、西側諸国と互角に戦える術はほかにない。そのような思いがあれだけ残虐な映像を見せつけられても若い人たちをISに惹きつけている。ISが既存の体制と正面から闘っているから(しかも互角に見える)共感を集めてしまうのだ。

特に、イラクのスンニ派に対する不当な取り扱いに直ちに終止符を打つこと、そして、パレスチナ紛争や対テロ戦争の過程で続けられてきたイスラム教徒に対する殺人、拷問、尊厳の破壊などの重大な人権侵害について、西側が真摯に謝罪をし、責任者の責任を明確にし、補償をすることなくして、納得は得られないだろう。

そして根本的には、イスラムの人びとを尊厳をもった人間として対話を積み重ねていく必要がある。  

現地にいるある国際問題の専門家は、「イラクでイスラム国ではない平和な共存を求めている市民社会に対し国際社会の支援が少なすぎる。イスラムの未来世代・子どもたちの教育への投資・支援も少なすぎる。」と語る。

「イスラム国との戦いは何もこの砂漠で行われているわけではない。もっと違う世界中の町や教室で実は毎日繰り広げられている」「みんながもっと夢・希望をもっていきていける世の中にならなくてはしない。」という。 イスラムの人びとを絶望させ続けるような差別や仕打ちが国際的にも身近でも後を絶たない状況が続くなら、ISの隊列に加わろうとする人々は次々と出てくるだろう。



■ 日本の中東政策・「積極的平和主義」はこのままでよいのか

最近、ISの広報機関の一つ、ラッカメディアセンターが製作した映像が公開された。

住民がインタビューに答える形で、日本を米軍主導の有志国連合の支持国とみなし、「米国による広島、長崎の(原爆投下による)虐殺を忘れ、なぜ米国がイスラム教徒を殺害するのに手を貸すのか」「十字軍(米欧)連合に参加するという過ちを犯した」などと批判したという。

これはISの認識を示したものにほかならないだろう。そして、ISにはアラブ社会のフラストレーションや認識が一定程度反映されているといえる。日本は実は対テロ戦争に常に賛成し、欧米に追随してきたが、あまり目立たなかった。

しかし「積極的平和主義」を掲げ野心的な対外アピールを続ける安倍首相が登場し、今回の中東訪問でも中東の人びとを刺激する発言や行動を連発したことで、イスラム国を刺激し、今回のような取り返しのつかない事態にも発展した。

今年、集団的自衛権、集団的安全保障に関する議論が本格化し、日本の海外での武力行使・「有志連合」への兵站支援・武器輸出に道が開かれ、現実化することになれば、そして「テロとの戦い」と称する中東での紛争に有志連合の一員としてより深くコミットすることになれば、ISというレベルではなく、アラブ社会全体におけるの日本への信頼は失われ、今回のような被害の危険もさらに増すことになるだろう。そのような時に、人命を犠牲にしても仕方ないという立場に日本が立つのか、ということが問われるだろう。

欧米とともに「テロとの戦い」に突き進むことは何をもたらすのか、もっと現在の紛争・対立の根源に働きかけ、平和的な貢献をする道はないのか、私たち自身がきちんと考え、議論していかなくてはならないだろう。


伊藤和子
弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。



・ 人質家族が泣き叫べない日本の異常

2015-01-31 02:59:08 | イスラム国
イスラム国に人質事件に対して、その家族はどうしているのでしょう。早くから誘拐されたことは分かっていながら、何ら対応をせずに放っておいた安倍政権を批判する声は聞こえてきません。日本のマスゴミは何をしているのでしょう・・・・一番心配な奥さんは、あげたい声も上げずにいるそうです。馬鹿なマスゴミが「自己責任」だと騒ぐと家族の安全が脅かされることを心配しているようです。ヤフーニュースに志葉玲さんが記事を載せています。以下転載します。

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人質家族が泣き叫べない日本の異常ーイスラム国による邦人人質事件での親族の抑制
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2015年1月30日 17時12分


日本人ジャーナリストの後藤健二さんがISIS(イスラム国)に人質とされている問題で、後藤さんのパートナーである方が、ジャーナリストやその家族を支援する国際団体「ローリー・ペック・トラスト」(本部は英国ロンドン)のウェブサイトで英文で声明を発表した(本稿末尾に日本語訳)。声明文は、「もう時間がない」「最後のチャンス」とヨルダン、日本当局に後藤さん救出への決断を求めるもの。文中にもあるように、ISISに脅されて今回の声明の発表に至ったとのことだが、極めて困難な状況の中で、非常に気丈かつ冷静な文章である。

しかし、その抑制された文章ゆえに、筆者は暗澹とした気分とさせられる。これが日本ではなく、他の国のジャーナリストの家族であれば、テレビ等のメディアの前に出て、涙ながらに訴えたことだろうし、その方が解放の可能性が高まる。基本的に中東は人情に厚い社会だからだ。そうした振る舞いを後藤さんのパートナーの方がしない、或いはできない大きな要因は声明中にもあるように、幼い娘や親族を守るため、だろう。メディアの前で感情をあらわに訴えようものなら、「自己責任」だの「自業自得」だの、それこそ尋常じゃないバッシングの嵐が吹き荒れ、ご本人やそのご親族の生活に実際に著しい支障をきたし、身の危険が及ぶ可能性すらある。04年のイラクでの日本人人質事件では、私も海外の友人や知人から、「なぜ日本では被害者があそこまで批難されないといけないのか???」と聞かれることも少なくなかったが、「心無い」を通り越して、もはや異常ともいえる風潮だろう

このようなバッシング文化をつくってしまったことでのメディアや政府の責任は大きい。「自己責任」バッシングが社会問題化したのは、'04年4月のイラクでの日本人人質事件だが、この時バッシングを主導していたのは、内閣官房であり、官邸記者クラブ周辺だと聞いている。それに週刊誌も飛びつき、事件とは関係ないプライベートのことまで、あることないこと名誉毀損レベルの事実の脚色、捏造を書き立てた。そうした報道がネット上でのバッシングを煽りたてたのである。

今回、安倍政権は、04年の人質事件の時とは異なり、被害者への直接の批判は避けている。そのこと自体は結構なことであるが、後藤さんの母親である石堂順子さんとは面会しないなど、やはり冷淡な対応だ。後藤さんの母親が面会を求めていた28日の首相動静を見ると、午後7時38分には安倍首相は公邸に戻っている。「多忙」を理由に面会を断ったというが、全く時間が無かったわけではないだろう。しかも、結果的に新たな期限が設けられたものの、28日当時は「後藤さんを殺害する」とする24時間の期限が迫っていた、非常に緊迫した状況だったにも関わらずだ。

一方、やはりISISに人質をとられているヨルダンではどうかというと、人質とされているパイロット、ムアス・カサスペさんの父親と国王が面会している。後藤さんは民間人、ムアスさんは軍人という違いはあるものの、ヨルダンでは国王を批判すること自体、刑罰の対象となる。そうした状況の中で、王宮前でデモを行い、米国主導の「テロとの戦い」から離脱するよう主張していたムアスさんの父親を、ヨルダン国王は迎えいれ、「彼は私達の息子でもある」と励ましたのだ。安倍首相も後藤さんの母親と面会し、「悪いのはISISであって人質やその家族の批判は慎むべきだ」とくらい言うべきだったのである。

気持ちが悪いのは、今回、「人質の救出に政府が全力を注ぐ中で、政府批判をするべきではない」という風潮があることだ。だが、昨年8月に湯川遥菜さんが、そして同年10月に後藤さんが拘束されて以来、現在に至るまで、様々な落ち度が政府にあったことは事実だ。今回の2億ドル支援についても、真に人道支援が目的ならば、米国主導の下での「対ISIS有志連合」諸国ではなく、国連や赤新月を通じての支援でも良かったはずだ。非常事態を口実に政府批判が自粛され、その結果、対テロ戦争の泥沼にはまったのが、9.11事件後の米国だった。確かにISISは非道極まりないテロ集団であるが、そもそもISISが蔓延る状況を作ったのはイラク戦争や占領政策の失敗、シリア内戦への国際社会の対応のまずさに他ならない。安倍政権が集団的自衛権の行使について、関連法の改正(改悪)を進めている今こそ、具体的な状況に基づいて、日本の外交・安全保障政策についての検証が行われるべきである。 


以下、後藤さんのパートナーの方の声明文(原文は英文)


私の名前はリンコです。シリアで捕らえられたジャーナリスト、後藤健二の妻です。彼は2014年10月25日、誘拐されました。それ以来、私は彼の解放のため、水面下で休むことなく、尽力し続けてきました。

私は今まで声明を出すことを避けてきました。健二の苦境について世界中のメディアが注目する中で、私は自分の子供と家族を守りたかった。私たち夫婦には、2人の幼い娘がいます。私たちの下の娘は健二が日本を離れた時には、わずか生後3週間でした。私は、2歳の上の娘が再び父親に会えることを望んでいます。2人の娘が父親のことを忘れずに、成長していくことを望んでいます。

私の夫は善良で、正直な人間です。人びとの困難な状況を報じるためにシリアへ向かいました。健二は、湯川遥菜さんの居場所を探し出そうとしていたと推測できます。遥菜さんがお亡くなりになったことは大変遺憾です。そして、彼の家族の悲しみをお察し致します。家族の皆様がどれだけつらい思いをされているかが、私にもわかるからです。

12月2日、健二を拘束した誘拐犯らからメールを受け取ったとき、健二がトラブルに巻き込まれたことを知りました。1月20日、私は湯川遥菜さんと健二の身代金として2億ドルを要求する動画を見ました。それ以来、私と誘拐犯との間でメールを何回かやりとりしました。私は、彼の命を救おうと奮闘したのです。

20時間ほど前に、誘拐犯は私に最新の、そして最後の要求と見られる文章を送ってきました。

「リンコ、お前はこのメッセージを世界のメディアへ公表し、拡散しなければならない。さもなければ、健二が次の犠牲者となる。29日木曜日の日没までに健治と交換するサジダがトルコ国境付近にいなければ、ヨルダン人パイロットを即座に殺す」。

これは私の夫にとって最後のチャンスであり、彼の解放と、ムサス・カサスベさんの命を救うには、あと数時間しか残されていないことを懸念しています。ヨルダン政府と日本政府の手中に、二人の運命が委ねられていることを考えて欲しいと思います。

同時に、私はヨルダン政府と日本政府の全ての努力に対して感謝しています。ヨルダンと日本の人々から寄せられる同情に対しても感謝しています。幼少の頃、、私の家族はヨルダンに住んでおり、私は12歳になるまで、(ヨルダンの首都である)アンマンの学校に通っていました。ですから、私にはヨルダンとヨルダンの人々に対して、とても親しみを持っており、多くの思い出があります。

最後に、私は、私と娘たちを支えてくれた、私の家族、友人たち、そして健二の同僚に感謝しています。私の夫と、ヨルダン人パイロット、ムアス・カサスベさんの無事を祈っています。

リンコ


出典:https://rorypecktrust.org/rpt-live/January-2015/Urgent-plea-from-wife-of-Kenji-Goto

・ 最優先すべきは命だ

2015-01-29 20:47:46 | イスラム国
日本の政治は3流とは昔からよく言われていることです。今、イスラム国につかまっている日本人をめぐり報道が多くありますが、日本政府としてはなんら対策が打たれていないように見えます。逆になぜこのような問題が起きているのかが疑問に思う事が多くありますが、そのことに対して日本政府の認識や対応のまずさを指摘している記事が The Huffington Post にあります。以下転載します。

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最優先すべきは命だ
投稿日: 2015年01月26日 09時57分 JST 更新: 2015年01月26日 13時43分 JST
森達也 映画監督、作家


アベシ


イスラム国による二人への殺害予告がなされてから二日が過ぎた22日未明(日本時間)、岡村善文国連次席大使は国連総会で、イスラム国を批判しながら「日本はテロや暴力に屈しない」と演説した。とても当たり前のこと。「テロに屈する」という選択肢など存在しない。ならばなぜ二人の安否がわからないあの時点で、敢えてイスラム国を挑発するようなフレーズを、次席大使は世界に向けて言わなくてはならなかったのか。そこに官邸の意向はどのように働いていたのか。

世界ではアメリカ同時多発テロ以降、そして日本では地下鉄サリン事件以降、テロは社会に挑戦する絶対悪となった。その帰結として言葉のインフレが加速した(特にこの国では)。つまり濫用だ。その結果として解釈が拡大される。要するに何でもかんでもテロ。2013年にボストンで爆破事件が起きたとき、日本の主要メディアはテロとしてこれを伝えたけれど、アメリカのメディアはテロを使わなかった。今もこの事件の呼称は、アメリカではBoston Marathon bombingsと素気ないが、日本ではボストンマラソン爆弾テロ事件だ。

アメリカのメディアがテロという言葉を使わない理由は明確だ。実行犯の兄弟二人は、何の政治的声明も発信していない。ならばこれはテロではない。単なる爆破事件なのだ。

テロの定義は、何らかの政治的目的を達成するために、暴力による脅威で標的を不安や恐怖に陥れること。暴力行為だけではテロの要件を満たさない。政治的な目的が必要なのだ。だからこそノーム・チョムスキーは、アメリカをテロの常習国家と呼ぶ。

ところが動機すら解明されていないオウムによる地下鉄サリン事件がテロと躊躇いなく呼ばれるように、日本のメディアは、「テロ」をとても安易に使う。その結果として数々の弊害が生じる。その一つが「テロに屈するな」の濫用だ。

ここまでを読みながら気づいた人もいるかもしれない。身代金要求は政治目的とは違う。いわば営利誘拐そのものだ。つまりこれを「支払う」ことは「テロに屈する」と同義ではない。でもこれを混同している人が多い。何よりも官邸がそうだ。そうなると交渉することそのものも、テロに屈したということに拡大解釈されてしまう。

もちろん支払うことが国際社会に与える政治的影響は看過できない。何よりも一度支払えば、反復されるリスクがある。だからこそ現時点での最善策を考えること、交渉し続けることが重要だ。屈しないために考えるべき方法はたくさんある。実際に今は、違う選択肢がイスラム国から提示されている。ただしこの選択肢はきわめて政治的だ。この要求に従うことが、むしろ「テロに屈する」ことなのだとの意識くらいは保持すべきだ。

そのうえで最優先は命を救うこと。そのための策を練ること。実行すること。当たり前だ。

報道によれば、11月の段階で後藤健二さんの家族に、イスラム国から身代金の要求があり、12月には政府にこれを伝えたという。つまり官邸は二人への身代金要求を知っていた

その後は極秘裏に人質解放のための交渉を続けていたと思いたいが、ならばよりによってなぜフランスのテロ直後に、二人が拘束されていることを知りながら、安倍首相はイスラム国と敵対する国ばかりを訪問して、連携の強化や対テロのための高額の支援を表明しなければならなかったのか。さらにアラブにとってはパレスチナ問題で長年の宿敵であるイスラエルを訪れて、日章旗とイスラエルの国旗の前で『テロとの戦い』を宣言しなければならなかったのか。殺害予告の期限が近づいている22日に国連の場で次席大使に、あんなパフォーマンスをさせなければならなかったのか。

テロと戦う。このフレーズを掲げながら集団化を進めたアメリカはイラク戦に突入し、結果としてイスラム国が誕生した。すべてが連鎖している。それも最悪の方向に。なぜイスラムの一部はこれほど西側世界を憎悪するのか。その構造を理解すれば、二人の国民が拘束されているこの時期に、イスラエルなどに行けるはずがない。挑発と解釈されて当然だ。

もしも12月の段階で政府が本気で交渉していたのなら、身代金の金額は桁違いに低かったのだから、今ごろは二人が帰国できていた可能性はとても高い。なぜそれをしなかったのか。「テロに屈する」とか「テロと戦う」などのフレーズが交渉のブレーキになったのだとしたら、あまりに意識が低い。優先順位を決定的に間違えている。

およそ10年前、イラクで一人の日本人若者が殺害されたとき、この国は何もできなかった。悔しかった。何もできない自分が腹ただしかった。もうあんな思いはしたくない。

結果的に官邸は二人を救出できる芽を摘んだ。さらに火に油を注いだ。それも何度も。しかも二人が拘束されて身代金の請求があったその時期に、安倍首相は(大義なき)選挙に踏み切った。使われた税金は600億円。致命的なミスを何度もくりかえしている。命を軽視し続けてきた。

その帰結としてハードルはどんどん上がっている。ついには一人が殺害された。犠牲になった。「言語道断」とか「許し難い」などと常套句を口にしている場合ではない。許し難いとは許すのが難しいということ。ならば一人を殺されても許せる余地があるのか。あなたの怒りはそのレベルなのかと、メディアは突っ込むべきだ

国益が大好きな日本のメディア関係者やジャーナリストや識者たちに言いたい。国益とは国の利益。でも確認するけれど国益の最優先は、国民の生命のはずだよね。

ならばその国益が明らかに犯されようとしている今、なぜこれを放置し続けた政権を批判しないのだろう。なぜ見過ごしているのだろう。なぜ本気にさせないのだろう。

これ以上は過ちを重ねないでほしい。もう一度書く。最優先すべきは命だ

・ 後藤健二とNHKと外務省の真実

2015-01-28 03:06:22 | イスラム国
イスラム国の人質問題が出てから、ネット上でいろいろな情報が驚くほど出ています。
初めに殺害されたという湯川さんの情報でした。民間軍事顧問の会社を立ち上げておりジャーナリストではないことや、自民党の主要メンバーや太陽の党から出馬した田母神らとのつながりが明確である内容が流れていました。また、中山副外務大臣のイスラエル寄りの考えや、トルコが交渉のポイントであるにかかわらず、前線本部をヨルダンに設置したこと。日本政府は最近分かったとしているが、昨年から身代金の要求はあったことなど、事細かに流れており不思議に思っていました。今日見ているブログ「世に倦む日々」にそのあたりを整理したものがあります。以下転載します。



後藤健二とNHKと外務省の真実 - 「政府関係者」とは誰なのだ


後藤健二のイスラム国潜入がNHKによる依頼だったと暴露する記事が、1/23にネットに上がって話題になった。記事ではNHKと特定されておらず、「“御用メディア”として知られるテレビ局」という表現が使われているが、文脈からこれがNHKを指すことは常識で判断できるところだろう。NHKが後藤健二にイスラム国への潜入取材を依頼していて、同時に、そのミッションに湯川遙菜の救出もしくは安否確認が含まれていた。この事実を証言したのは「政府関係者」である。
後藤
ネットで今回の事件を追いかけ、真実を追求しようとしている者は、この「政府関係者」なる者が今回の事件のキーパーソンであり、マスコミ報道をリード(情報操作)している影の主役であることに気づいているはずだ。事件が起きた直後、1/21の時点で、この「政府関係者」は、11月初めに後藤健二の家族にイスラム国から身代金要求が届いている事実もマスコミに公表していた。後藤健二のイスラム国潜入とその後の経緯についてマスコミに「説明」しているのは、同じ「政府関係者」である。この「政府関係者」が誰なのか、ネットの中で議論にならないのが私には不思議で、日本人のリテラシーの低さを証明しているように思われる。この「政府関係者」を推定することで、事件の真相は半分は明らかになるだろう。無闇に「陰謀論」の単語を振り回して思考停止するのではなく、ヒントになる小さな事実に食いついて、その切り口から推理を組み立てていかなくてはいけない。

後藤前回も指摘したとおり、後藤健二のイスラム国潜入の<ミッションは短期計画である。10/22に日本を出国し、10/23にトルコに到着し、10/24にキリスから国境を越えてシリアに入り、10/25にマレアから自由シリア軍の検問所を超えてイスラム国支配地域に入り、根拠地(首都)のラッカを目指し、10/28にはトルコに戻り、10/29には成田に帰国しているという、わずか一週間のスケジュールだった。同じルートで往復するとすれば、マレアに10/27には帰還しないといけないから、イスラム国領域での活動はきわめてタイトな2泊3日の行程となる。
その間に湯川遥菜に接触して安否確認をし、あるいは身柄の受け取りをし、さらにNHKから受注したビジネスであるラッカの撮影と取材をやり、ドキュメンタリー番組用のコンテンツを仕込まなくてはいけない。ラッカからマレアまでの移動距離もあり、これを2泊3日でこなすのは相当な強行軍だ。予めイスラム国側と打ち合わせて準備が整っていて、複数の支援者がチームで動き、何から何までお膳立てができていなくては、とても時間内にこなせない作業であり、行き当たりばったりの単独行動で消化できる仕事量ではない。当然、後藤健二にミッションを依頼した者が、巨額のカネを出し、イスラム国側と綿密なネゴをし、全体のプランを組んで組織的にプロジェクトを動かしていたと考えられる。後藤健二は、その組織的な動きの実行要員であり、任務を請け負って派遣された者(政府工作員)なのだ。

いったい誰がイスラム国と交渉をし、後藤健二を派遣するからよろしく頼むと言い、このプロジェクト全体を手配したのか。おそらく、NHKの取材依頼というのは、プロジェクトの一部であり、表面上の理由(口実)であり、重要な目的は湯川遙菜との接触・安否確認・身柄引き取りの方だったのだろう。このプロジェクトを企画して後藤健二を潜入させたのは、外務省であり、外務省とNHKの大がかりな共同事業だったと私は推測する。イスラム国とここまで計画を調整できるのは、政府機関以外に考えられない。菅官房長
事件後にマスコミ報道に頻繁に登場する「政府関係者」こそが、このプロジェクトの統括責任者であり、(表向きはNHKの取材依頼という形式にして)後藤健二にミッションを委託し、事件の一部始終を知る司令塔なのだろう。この男が早い段階でマスコミに「真相証言」を始め、11月初に身代金要求のメールが届いていた件を暴露し、すなわち、政府が2か月以上も人質の件でイスラム国と交信状態にあった事実が表に出たことは、私には何とも意外だった。なぜなら、この事実は政府の急所であり、国民には知られたくない機密事項だったはずだからだ。この事実が漏れれば、当然、人質を押さえられているのに中東に出かけてイスラム国を挑発し、対イスラム国有志連合を支援する中東外交をアピールした安倍晋三の失敗が問われる。世論から叩かれる。現に古賀茂明と金平茂紀が、競うようにこの失政を根拠にした正論で、安倍晋三を猛然と批判する論陣を張った。

そこから推測できるのは、この「政府関係者」なる者が外務官僚で、早い段階から安倍晋三の対イスラム国挑発外交に懸念を示していて、二人の人質に配慮した慎重な外交上の振る舞いを安倍晋三に献策していたのではないかという裏側だ。つまり、昨年からイスラム国と交渉していた責任者である外務官僚の、今回の動画公開事件を発端とした安倍晋三への造反劇である。霞ヶ関の中でも、いわゆる安倍カラーが最も濃いとされる集団が外務省だが、そこから造反者が出たらしいことが私には意外だった。
さらに推理を続け、事件の内奥と深層をイマジネーションして探ってみよう。この後藤健二のミッションが外務省による湯川遥菜救出作戦だったとしたとき、背景として視界の中に入ってくるのは、例の、北大生のイスラム国渡航未遂事件であり、警視庁公安部による中田考への家宅捜索と事情聴取である。事件が起きたのは、昨年の10月6日。そして、中田考が湯川遙菜の裁判に立ち合うべくイスラム国に赴いたのは、その直前の9月のことだった。私の推理と仮説は、湯川遙菜の解放について中田考に主導権を握られたくない日本政府が、中田考の動きを妨害して、そしてまた中田考からその「任務」を引き継いで、政府の手で湯川遙菜の解放を実現しようと図ったのではないかという結論である。北大生の事件が起きず、イスラム国側に空爆のアクシデントが起きず、順当に湯川遙菜の裁判が行われ、中田考が現地で弁護人として立ち合っていれば、中田考が自然に政府とイスラム国との仲介に入り、フランス・スペイン型の身代金解決が図られていた可能性が高い

ただ、それを政府が黙認してしまうと、中田考(と同志社スタディーズ)にイスラム国との外交の主導権を握られ、また日本の若者がジハードの戦士としてイスラム国に潜入する例が頻発する事態も起きかねない。政府として、イスラム国とのチャネルは自ら管理統括する必要があり、湯川遙菜の解放についても自ら前面に出て解決を図ろうとして、北大生事件を契機に中田考を排除し、NHKと後藤健二を使ったプロジェクトを立案したのではあるまいか。中田考を事情聴取したときに、誰と接触すれば湯川遙菜の件で巧く交渉できるのか、
その辺りの詳細な情報も聞き出して把握したのではないか。その上で作戦計画を立て、後藤健二を派遣工作員に指名し、10月下旬に行動に着手したものと思われる。イスラム国側には、今後は中田考ルートではなく政府(外務省)を窓口にしてくれと、そういうメッセージを送ったはずだ。その実務を外務省の代行でフロントでやっていたのがNHKで、だから、1/21から1/23の間、NHKのニュースでは、イスラム国の広報担当者なる者のアラビア語のメールが紹介され、NHKの質問に回答する形での人質への対応の刻々が返信されていたのだ。あのニュースでイスラム国の広報担当者として紹介された者は、おそらく、10月末の外務省・NHKのプロジェクトのイスラム国側のカウンターパートだったのだろう。だから、NHKはメールアドレスを知っていて、いつでも交信ができるのである。と同時に、これはNHK(外務省)の専有の秘密事項で、他のマスコミには教えてない情報なのだ。

イスラム国NHKのメールの交信相手であるイスラム国の広報担当者なる者は、昨年10月に、後藤健二の潜入ミッションが遂行されるとき、NHK(外務省)と調整し、何日の何時にこの場所に行けとか、誰と接触しろとか、ラッカでの宿泊はこうだとか、取材撮影の対価は何ドルだから現金を用意しとけとか、そうした指示を細かくNHK側に伝えていたものと思われる。今、ネット上で、1/21-23にNHKが放送したイスラム国広報担当者とのメール交信について、それを考察したり検証しようとする議論がない。
そのことも、日本人一般のリテラシーの弱さのように私には感じられる。この報道の裏にあるものを疑わず、意図と作為を突き止めようとせず、想像力によって真実を仮説化する営為をせず、それを試みた者に「妄想」だの「陰謀論」だのと罵倒を吐き散らす。罵倒してネタにして愉悦する。いつから日本人はこれほど劣化したのだろう。後藤健二に対する美化報道の先頭に立っているのがNHKで、これでもかというほど「ジャーナリスト後藤健二」を賛美しまくっている。民放がそれに追随している。それは、NHKがこの事件の当事者だからだ。後藤健二を送り込んだのがNHKで、NHKに責任があるから、その責任追及を回避するべく、ひたすら後藤健二を英雄にして持ち上げ、偶像崇拝を図って世論を扇動しているのである。(件のテレビ局がNHKであったら)NHKは隠している。10月の後藤健二のミッションの全貌を知りながら、実務の一切を手配した当事者であり、どれだけ費用をかけ、それを無駄にした計画かも知りながら、そのことを国民に秘匿している。

最後に、この局面では勇気の要る議論だが、なぜ後藤健二のミッションが成功せず、NHk・外務省の湯川遙菜救出プロジェクトが破綻し、後藤健二が拘束されることになったのか、その理由について推理を述べたい。それは、おそらく湯川遙菜が拷問で自白をしていたからだ。自身の素性について、後藤健二の正体について、湯川遙菜が事前に自白をしていたから、イスラム国がNHK・外務省からのメール・コンタクトの文面を信用せず、後藤健二の正体を信用していなかったのだろう。人質
事前に打ち合わせたプログラムどおりに対応せず、後藤健二に容疑をかけて逮捕し、湯川遙菜がこう証言しているが本当はどうなのだと、尋問に持ち込まれたのに違いない。マスコミ報道では、拘束後に後藤健二はシリア人ガイドに電話をして、イスラム国側のガイドに騙されたと語ったという説明になっている。この情報も怪しむべきだろう。イスラム支配国領域に足を踏み入れる時点で、後藤健二は携帯電話をシリア人ガイドに預けている。イスラム国側に監禁された状態で、自由に外のシリア人ガイドに電話連絡できたとは思えない。この話はストーリーで、おそらく「政府関係者」による辻褄合わせの作り話だ。マスコミに登場するシリア人ガイドは、すべて外務省から指示されたとおりにカメラの前で「証言」していると考えていい。そもそも、あのイスラム国の支配領域で、自由にジャーナリストを案内してラッカの司令部に道案内するガイドなる民間人が存在するだろうか。商売のガイドかと思ったらイスラム国の兵士だったという報道も、実にバカげていて、それを鵜呑みにする者のリテラシーの低さに唖然とする。

「政府関係者」とは誰なのだ。そこを明らかにすることが、この事件の真相解明の第一歩だ。
人質問題




・ イスラム国は日米の外交・安全保障政策の失敗が産んだモンスター

2015-01-27 00:58:45 | イスラム国
フェイスブックにフリージャーナリストの志葉玲さんが、イスラム国について記事を書いています。イスラム国の残虐さだけを報道している日本のメディアからでは知りえないことが書かれています。アメリカが世界中から嫌われていることがよく分かります。今のアメリカは国というより、大企業の私物のような状態です。特に軍事産業は儲けるためには、世界中で戦争をしてもらわなくてはならないので、その裏工作が多いのでしょう。その結果、なんの罪もない国民が犠牲になっている。そんな国にしがみついていく日本政府も情けない・・・・
以下転載します。

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イスラム国は日米の外交・安全保障政策の失敗が産んだモンスター~暴走を止めるためにやるべきことは?
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2015年1月25日 20時57分

人質


多くの人々の願いもむなしく、湯川遥菜さんがISIS(イスラム国)によって殺害されてしまったようだ。筆者やその友人達も、中東系メディアに働きかけたりなどもしたのだが、助けられなくて申し訳なく思う。無抵抗な人質を惨殺するISISに強い憤りを感じるのと同時に、やはり安倍政権の対応のまずさには疑問を持たざるを得ない。昨年8月には湯川さんが拘束され、今年10月末には、後藤健二さんが拘束されていたことは政府も承知していたはず。それにも関わらず、交渉では何の成果もあげられず、ISISと接触できたかどうかも大いに疑問である。

だが、本質的な問題はもっと根深く、やっかいなものだ。つまり、ISISの前身は「イラクの聖戦アルカイダ」であり、イラク戦争による夥しい死と破壊から生まれたモンスターである。だからこそISISの暴走を止めるカギもまたイラクにあるのかもしれない。

○ISISトップが抱えるイラク戦争での怨恨

残る人質、後藤健二さんには何とか助かってもらいたいと切に願う。報じられている通り、ISIS側の要求は身代金から、捕虜交換ということになったようだ。ISIS側が後藤さんの解放の条件としているのがサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放。彼女はISISの前身である「イラクの聖戦アルカイダ」のメンバーであり、2005年にヨルダンで起きた連続爆破テロの実行犯の一人。この事件では50人以上が死亡しており、サジダ死刑囚の釈放に対し、ヨルダン世論の反発は相当強いことが予想される。

この間、イラク情勢をウォッチしてきた筆者には、今、ISISがサジダ死刑囚の釈放を求めてきたことに因縁深いものを感じる。サジダ死刑囚は、イラク西部のラマディの出身だ。2005年前後と言えば、ラマディはイラクの中でも最激戦地の一つだった。米軍が街を包囲すると同時に街の高台から、人々に向けて撃ちまくっていた。攻撃の邪魔となると、一般の住宅や学校までも破壊された。市内の病院に向かう道は、「死の道」と恐れられ、米軍の狙撃手は、妊婦であれ、子どもであれ、動くものは何でも撃った。街中を空爆が襲い、走り回る戦車が、傷つき倒れた人を轢き潰し、ミンチにした。あまりに大勢の人々が殺されたため、街の空き地は次々と集団墓地に変わっていったのだ。

米軍が人々を殺せば殺すほど、多くのイラク人が米軍を追い払うために武器を手にとった。サジダ死刑囚の兄弟も米軍との戦いで命を落としている。ISISのトップ3も皆イラクの出身なのだ。また、旧サダム政権の軍人や政治家もISISに合流していると観られている。

例の2億ドルが「人道支援」であるという安倍政権の主張を、ISISが額面通り受け取らないのも、単に難癖をつけているだけではなく、イラク戦争においてひたすら対米追従・支援を繰り返してきた日本への不信感もあるのかもしれない。イラクの人々は「オキナワ」という言葉を恐怖の体験と共に語る。なぜなら、沖縄の米軍基地で市街戦の訓練を受けた海兵隊員がイラクへと出撃していったからである。
米軍の破壊

米軍に自宅を破壊されたと訴える親子。ラマディにて2009年撮影米軍に自宅を破壊されたと訴える親子。ラマディにて2009年撮影



○「サダムより酷い米軍」「その米軍の方がイラク政府よりマシ」

イラク戦争前のサダム政権も人権問題では本当に酷い状況ではあったけども、そうした独裁政権で拷問を受けた人ですら、「米軍はサダムより酷い」と言い、米国や日本が軍事的・経済的に支援した新生イラク政府は「米軍の方がまだマシだった」という無茶苦茶な拷問や虐殺を繰り返した。

かつて、少なくとも市民レベルでは、イスラム教スンニ派教徒もシーア派教徒も同じ「イラク人」として当たり前のように共存し、互いに結婚するなど両派が家族や親戚であるということもよくあった。それを、米軍は「スンニ派はサダム元大統領の支持層」として同派の多いイラク西部や中部に上述したような激しい攻撃を加える一方、シーア派民兵を新しいイラク警察やイラク治安部隊、軍に組み込んだ。米国が亡命先のイランから呼び寄せた過激なシーア派至上主義のバヤーン・ジャブル氏が内務大臣が就任したことにより、スンニ派だというだけで人々はイラク警察や治安部隊に拘束され、拷問の挙句、殺されるということが頻発した。殴る蹴るの暴行は当たり前で、電気ドリルで体中に穴を空けられた挙句、硫酸を流し込まれるなど、残虐行為の果てに殺された人々の遺体があちらこちらに捨てられている状況になった。その後、イラクの首相となったヌール・マリキ氏もシーア派至上主義であり、スンニ派への苛烈な弾圧を続けた。

イラク警察署での虐待。元内務省将校ムンタザル・アルサマライ氏提供

一昨年末からはファルージャやラマディなどイラク西部を空爆、樽爆弾などの強力な兵器が情け容赦なく使われる中で、一般市民の犠牲が相次ぎ、ファルージャの病院も破壊され病院スタッフも殺されるという状況が続き、マリキ政権からアバディ政権になった昨年9月以降も基本的な対立構図は変わっていない。つまり、イラク北部や中部、西部のスンニ派教徒にとって、ISISですらイラク政府よりはマシという状況があり、だからこそ1~2万人程度の兵力で人口200万人のイラク第二の都市モスルほか広範な地域で影響力を行使できているのである。


○イラク戦争での日本の業、ISISの暴走を止めるには

つまり、ISISは突然生まれたのではなく、米国や日本の外交・安全保障政策の失敗の繰り返しの中で、夥しい死と破壊の中から、生み出されたモンスターなのだ。だから、イラク戦争に関わってしまった日本の業を、後藤さんだけに背負わせるのは、あまりにむごい。ある意味、日本の人々、特に12年前のイラク開戦時に大人だった日本人は皆、問われるものがあるだろう。

せめて、イラク戦争の失敗から学ぶべきなのだ。残虐の限りを尽くすISISの暴走を食い止めなくてはならないが、集団的自衛権の行使や単なる米国追従では同じ間違いを繰り返すだけ。上記したように、少なくともイラクにおいては、イラク戦争やその後のイラク政府の暴挙の数々が招いた宗派間対立こそがISISに付けいる隙を与えている。もし、日本を含む国際社会が強く働きかけ、イラク政府が全ての宗派や民族の融和と和解を進めるにようになれば、ISISも弱体化していくだろう。


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志葉玲
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラクなどの紛争地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、米軍基地問題や反貧困、TPP問題なども取材、幅広く活動する反骨系ジャーナリスト。「ジャーナリスト志葉玲のたたかう!メルマガ」 http://bit.ly/cN64Jj や、週刊SPA!等の雑誌で記事執筆、BS11等のテレビ局に映像を提供。著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』『母親たちの脱被曝革命』(共に扶桑社新書)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。






・ 邦人拘束も機能せず 世界にバレた「日本版NSC」の情報力

2015-01-25 02:37:19 | イスラム国
イスラム国の人質問題に対して、日本版NSCが活動を始めています。しかし、その機能が働いていないようです。情報を収集する能力が全くない上に、それを判断するメンバーがアベシを始め能無しばかり・・・・・これじゃ機能のしようが無い。以下、日刊ゲンダイの記事を転載します。


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邦人拘束も機能せず 世界にバレた「日本版NSC」の情報力
2015年1月24日 日刊ゲンダイ

NSCメンバー

 日本人が「イスラム国」の人質になっても、案の定、機能しなかった「国家安全保障会議」(日本版NSC)。1年前、鳴り物入りで発足したが、中身は空っぽの張りぼてだった


 日本版NSCは、日本の“安全保障”と“危機管理”を担う最高機関という位置づけ。人員は70人。総理、官房長官、外相、防衛相の「4大臣会合」が中核になり、議事録もなく、結論も特定秘密に指定される。

「発端は、91年の湾岸戦争です。自衛隊を派遣せず、国際社会で大きな顔をできなかった外務省が、日本の国家安全保障を“アメリカ仕様”にしようと20年かけて実現させた組織です。だから、初代の局長には外務次官だった谷内正太郎が就いている。テロ情報はもちろん、世界中の機密情報が集まることになっています」(霞が関関係者)

 会議は2週間に1回開かれ、これまで28回開催されている。しかし、どうやら「イスラム国」が議題になったことは一度もないらしい。当然、イスラム国とのパイプもなく、昨年、イスラム国から後藤健二さんの家族に身代金を要求するメールが届いていたことも知らなかったようだ。今頃、慌ててメールのアドレスに返信している。要するに、この1年、何もしてこなかったということだ。

「政府はアメリカのNSCをモデルにしているようですが、まったく違います。本家のNSCは、それこそ同盟国ドイツの首相の携帯まで盗聴していた。やっていることは、非合法スレスレ。情報収集を徹底している。国防総省、CIA、さらに通信傍受が専門のNSAが協力して情報を上げています。ところが、日本版NSCは、威張りたい外務省が創設したような組織。だから、防衛省も警視庁も情報を上げない。そもそも軍事を知らない外務省主導では、NSCは機能しない。キレイ事ばかりの外務官僚では、諜報はムリです。人質事件はトルコがカギになるのに、対策本部をヨルダンに置いているのだからレベルがわかります」(軍事評論家・神浦元彰氏)

 CIAの職員だったスノーデンが暴露した資料には、「機密/米、英、カナダ、豪、NZのみ配布」という指示が頻繁に登場する。インテリジェンスの世界では、ファイブアイズ(5つの目)とされるこの5カ国だけで機密情報を共有しているのは常識だ。日本は入れてもらっていない。なのに、日本版NSCをつくって喜んでいるのだから、どうしようもない。役に立たないなら解散すべきだ。

総理、官房長官、外相、防衛相の「4大臣会合」が中核/(C)日刊ゲンダイ

・ 日本人殺害予告 安倍政権が事件発生後に犯した“3大失態”

2015-01-24 01:57:15 | イスラム国
イスラム国の人質問題に対応する日本政府だが、キチンとした対応のできるメンバーではないようです。もともと、彼らを救出する気持ちはあるのでしょうかね? 日経ゲンダイに記事がありましたので、転載します。


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イスラエル国旗と安倍晋三


最悪の事態」が刻々と迫っている。「イスラム国」による日本人2人の身代金要求・殺害警告事件。安倍首相の「イスラム国対策にカネを出す」と宣言した「カイロ演説」が引き金になったのは間違いないのに、安倍政権は、事件発生後も数々の“大失態”を続けている。


■親イスラエル議員を現地本部に派遣

 事件発覚後、政府は安倍首相の中東訪問に同行していた中山泰秀・外務副大臣をヨルダンに派遣した。中山副大臣は首都アンマンの日本大使館内の現地対策本部の本部長に就き、情報収集や現地対応の指揮にあたっている。

 安倍政権は「迅速な対応を取った」と考えているのだろうが、チョット待てだ。中山副大臣といえば、イスラム国にとって敵国扱いのイスラエルと親密な議員だ。郵政大臣や衆院予算委員長などを歴任した父親の正暉氏を継いで「日本・イスラエル友好議員連盟」に所属。議連の事務局長を務めたこともある。国会議員が各国と友好関係を築くのは構わないが、なぜ、非常時の今、この人選なのか。

戦場ジャーナリストの志葉玲氏がこう言う。

「イスラム国の一派は最近、イスラエルでテロ活動を活発化させようとしている。その敵視国とつながりのある人物を本部長に充てるのは理解しがたいですね

 むしろ中山副大臣については、政官接待でボロ儲けの人材派遣会社「パソナ」の代表補佐だった経歴や、携帯電話税の導入に積極的――といった悪評ばかり。本気で人質を救出する気があるのか疑わしい


■イスラエル国旗バックに安倍首相が会見
「卑劣なテロはいかなる理由でも許されない。断固として非難する」──。事件後、安倍首相はエルサレムで行った緊急会見でこう強調していたが、会見映像を見て驚いた人は多かっただろう。背景に白地に青い六芒星のイスラエル国旗が掲げてあったからだ。


 イスラエルは、イスラム世界で敵視されている。そのイスラエルに日本の軍需産業の幹部を引き連れて訪問しただけでなく、国旗の前で戦う姿勢を示したのだ。「イスラム国」だけでなく、イスラム世界全体にケンカを売ったのも同然だろう。

「安倍首相の会見は、穏健派のイスラム世界の人が見ても違和感を覚えたと思います。日本の外交センスを疑いますよ」(志葉玲氏)

 安倍首相の会見は、イスラムの反日感情の火に油を注いだ

■「身代金は払わない」と期限前に“死刑宣告”

 自民党の高村正彦副総裁は21日、記者団に対して「日本政府が人道支援をやめるのは論外だし、身代金を払うこともできない」と言い切った。仮に“本音”はそうであっても、政権与党の副総裁が軽々に発言して大丈夫か。「イスラム国」はITを駆使し、常に情報を集めている集団だ。タイムリミットの「72時間」前のこの発言をすでにキャッチしている可能性が高い。

「人質2人にとっては日本政府から早々に『死刑宣告』されたようなものです。欧州で今回と同様のケースが起きた場合、政治家は慎重に発言し、水面下で交渉するのが一般的です。日本は、04年にイラクで日本人旅行者の香田証生さんが殺害された時も、身代金の交渉をすぐに突っぱねた。政府の対応は、あの時から何も変わっていないし、何も学んでいません」(志葉玲氏)

 こんな無能政府に命は預けられない。

・ 安倍晋三内閣は人質を見殺しにする

2015-01-23 02:49:02 | イスラム国
「カレイドスコープ」にイスラム国の殺人予告について書かれています。日本のマスゴミが流す報道では、実際何が起きているか分からないことが多くあります。物事をいろいろな角度から見ることで、実態が見えてきますね。
以下転載します。


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人質

イスラム国の「72時間以内に2億ドル払え」は、実は殺害予告だ。
交渉決裂の明確なシグナルに他ならない。

11月上旬に、最初の身代金要求が来ていることを安倍晋三の閣僚たちは知りながら、これを無視して衆議院解散総選挙に踏み切った。彼らは、「人命より、己の権力保持」のほうを選んだのだ。

愚かな国民たちよ、自民党という凶悪政党が、いかに国民を騙し、あなたの息子を、孫を、イスラム国のようなモンスターがうじゃうじゃいる地獄の戦地に行かせようとしていることがまだ分からないのか。

安倍、麻生、石破、菅らの極悪人は、11月の時点で人質の死を利用して憲法を変えようと決めていたのだろう

マスコミは、「殺害警告」と書いている。
CIA仕込みのイスラム国のような、殺すことそのものに快感を覚えてしまった残虐なグループが「72時間以内に2億ドルの金を用意しろ」と、動画まで公開してきた意味は、警告ではなく、「殺害予告」なのだ。すでに「交渉決裂」状態である、ということなのである。


日経

去年の9月のことだ。

完全に常軌を逸した安倍内閣。これでは、「いつでも日本人を拉致して殺してもいいですよ」と言っているのも同然だ。東京は、これで、すでにテロのターゲットになっている。

事実、イスラム国は、ノーテンキな日本人に対して、「5800kmも離れていると思って油断するなよ。イスラム国の武力は、どこにでも存在しているのだ」とツイートしてきている。イスラム国の戦闘員、イスラム国につながるテロリスト・グループ約1万5000人ほどが全世界80ヵ国に散らばっていると言われている。
彼らは必要とあれば、東京でテロを起こすことができるほどのネットワークを築いている。

CIAによって育成されたイスラム国は、日本国民の喉元にも匕首を突き付けているのだ。すべて、安倍晋三というの正真正銘の異常者がやったことである。日本ではなく、海外でこんな声明を出しておきながら、官邸の厚顔無恥は、もう凄まじい。彼らは、もう「人」とは思えない。

いまだに菅官房長官は、「この動画が本物かどうかを調べている」などと寝ぼけたことを言っているが、官邸はすでに2014年の11月上旬には、イスラム国から身代金要求が来ていることを確認していたのだ。

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FNN 1月20日


日本人人質事件 後藤さん家族に2014年から身代金要求メール
・・・今回殺害を予告された、フリージャーナリスト・後藤健二さんの家族に対しては、2014年の11月初旬から、身代金を要求するメールが送りつけられていたことがわかった。

政府関係者によると、後藤さんは、2014年10月に連絡がつかない状態になっていたが、11月の初旬になって、妻のところに、「イスラム国」の関係者を名乗る人物から、メールが送りつけられ、「後藤さんを誘拐しているので、日本円で、およそ10億円の身代金を払え」と要求してきたという。

日本政府が、海外の捜査機関に問い合わせたところ、このメールの発信元は、アメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏の首を切って殺害した、イギリス人なまりの英語を話す「イスラム国」メンバーと一致することがわかっていた。

また、妻の問い合わせに対し、本人しか知りえない情報が開示されたために、日本政府は後藤さんが誘拐されているおそれが高いとみて、水面下で情報収集を続けていたものとみられる。



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安倍晋三が、去年11月の時点で10億円を払っていれば、この二人を救出できたのだ
それが、アメリカに「そう言え」と命じられたとおり、「われわれはテロに屈しない」と格好をつけて身代金の支払いを拒否し続けてきたのだ。しびれをきらしたイスラム国は、交渉決裂と判断して、ダメもとの2億ドルを提示してきた。しかも72時間以内に揃えろと。
アベノミクスで円安が進み、ドルベースではさらに上がっている。
安倍


この稀代の悪鬼は、二人を見殺しにして、日本の国民の間にイスラムへの憎悪を焚き付け、一気に集団的自衛権が行使できるようにしようと決めたのだ。これもアメリカの狙いだ。だから、「首相の動静」を一日、一日、見ていけば分かるだろうが、去年の11月から、私たちの税金である官房機密費を使って、卑しいマスコミ幹部をグルメ接待漬けにした。

このグルメ接待(だけではない。その他の利得も受けている)を受け続けてきたマスコミ編集員たちは、自民に勝たせるためにイスラム国から身代金要求があったことを報道しなかったのだ。国民の命を危険にさらす老害編集員たち。彼らは間違いなく、大犯罪者たちである。

安倍はNHKを始めとして、すべてに口を閉ざすよう圧力をかけてから衆院解散を宣言した。
「アベノミクス解散」は、同時に、日本がすでにテロリズムのターゲットになっていることを隠すための選挙でもあったのだ。安倍晋三とその閣僚たちは、衆議院解散の前の月に、日本人の人質を見殺しにすることを決めたのだろう。

イスラム国にくわしい報道カメラマン・横田 徹氏が、昨夜報道番組に出演して、悲観的な見方を示した。横田氏も、イスラム国(当時はISISと呼ばれていた)に拉致され、身代金を要求された経験を持つが、今のイスラム国は、前と違っている、と言う。


女子アナ:
「今回、身代金が2億ドルという高額なものになっているが、(日本政府は)どういう風に交渉していくと考えられますか?」

横田徹氏:
「ビデオが出てしまった状況になると、交渉はもうできないのではないか」

女子アナ:
「そうなると、政府としては、どういうふうに対応していくと考えられますか?」

横田徹氏:
「(イスラム国側の)誰に交渉していけばいいのか、相手さえ分からないと思うので、混乱しているとは思いますね」



安倍晋三と麻生太郎、菅義偉らの閣僚たちは、アメリカに指示どおり口を揃えて「われわれは、断じてテロには屈しない」と勇ましいことを言っているが、どうも力がない。

こうした「いざとなれば何もできない低知能の議員たち」に、国民は騙されて続けてきたのであり、日本の本土もテロの脅威にさらされることになってしまったのだ。


管と麻生


菅と麻生は、こんなことを言っているが、11月に発覚していたにも関わらず、10億円の身代金の支払いを拒否していたのだ。これは、国民向けのパフォーマンスであり、アメリカ様に対する恭順の意を示すためのメッセージに他ならない。20日夕方になって、やっと重い腰を上げて立ち上げた官邸での関係閣僚会議。

肝心の岸田外相、中谷防衛相も外遊中。安倍晋三ももたついている間、菅義偉や斎木外務次官などが夜まで残り、情報の確認をやった、ということだが、これもパフォーマンス。第一、秘密主義の安倍内閣が、もっともテロリストに知られてはならない会議を記者たちに公開することなど、ありえないことなのだ

日本版NSC


「72時間以内に殺害する」・・・残すところ50時間ほど。時間は迫っている。何が「人命を第一に」なのか。

これだけの御用有識者を揃えても、何一つ対応策のアイデアさえ出てこない。無責任の代名詞が、ただ単に雁首をそろえたところを国民に見せようとしているだけだ。

自民党の十八番、「やらせ」の一種に過ぎない。


麻生


病的な低知能ナルシスト、麻生太郎は、外務官僚が書いたプレス発表用の文書を、漢字を間違えないように読むだけで精いっぱいだ。

安倍晋三ら閣僚たちは、結局、斎木外務次官に責任の一部を押し付けるか。権力亡者の斎木も、安倍に恩を売る機会だ。確実に言えることは、後藤健二さんと湯川遥菜さんをスケープゴートにしてアメリカのCIAが創った「イスラム国、憎し」の国民感情を焚き付け、日本を本当に戦争に引き込もうとしていることである

これは、安倍の内閣だけではない。党派を超えてイスラエル支援議員リストに名を連ねている国会議員なら、安倍に賛同するだろう。
まったく、恐ろしい議員どもだ。

これらの議員たちは、自覚しているいないに関わらず、世界統一政府主義のシオニストたちである。無知の上に非常に危険な人間どもである。

国民は、この数日、何が起こっても、コイツらのような凶悪犯罪者たちの罠に嵌められてはならない。本気で子供や孫を守る気があるのであれば。


・ イスラム国との交渉が出来る人材がいた。

2015-01-22 00:10:07 | イスラム国
訳の分らぬ日本版NSCで右往左往しているより、交渉が出来る人材がいるならその人を活用すべきでしょう。それにしても、本当に救助する気があるのでしょうかね?単純に考えて二人を救出するには2億ドルを払えばいい事です。アベシも人命が最優先と、一応口では言っています・・・・・一方、テロを撲滅する側につこうとするならば、身代金は絶対に出さないでしょう・・・・・さあ、アベシはどのように判断し結論を出すのでしょうね。
以下、ヤフーニュースを転載します。

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【速報】「イスラム国との交渉可能」ジャーナリストの常岡浩介氏が表明-日本人人質解放へ協力の意向
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
2015年1月21日 19時46分

殺害予告

イスラム国が公開した映像から。交渉期限が迫っている。 イスラム国が公開した映像から。交渉期限が迫っている。 
イスラム国(ISIS)が日本人2名を人質にとっている問題で、日本では数少ないイスラム国との直接の人脈を持つジャーナリストの常岡浩介氏が、自身のSNSで「交渉人として認めてくれれば、私たちは湯川さん、後藤さんの解放をイスラム国に直接、訴えることができます」との意向を示した。日本政府は、現時点ではイスラム国との直接の接触はできておらず、今日21日の会見でも、菅義偉官房長官は「日本の支援が人道目的でありイスラム教徒を殺害することではないというメッセージを、あらゆる外交ルートを使って送ろうとしている」と述べている。ISISが交渉期限とする72時間が何時であるかは不明だが、映像の公開時からとすると、期限は23日午後と観られる。時間が迫っている中、政府は常岡浩介氏、中田考氏に一刻も早く協力を依頼するべきではないか。

以下、常岡氏がSNSで公開した意志表明の全文。

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先ほど、帰宅いたしました。

警視庁公安外事三課に対して、私戦予備陰謀事件というでっち上げの違法捜査には協力しないと申しましたが、邦人の人命救助のためなら外務省にも、警察にも喜んで協力します。

私とハサン中田考先生はイスラム国と交渉が出来ます。が、イスラム国側の連絡先情報を警察がおさえた今、盗聴、発信元探知などで相手方に危険が及ぶ可能性があり、現地に連絡を試みることができていません。

日本政府がオマル・グラバ司令官の身柄の安全を保証し、私とハサン先生を交渉人として認めてくれれば、私たちは湯川さん、後藤さんの解放をイスラム国に直接、訴えることができます。日本の拠出する2億ドルはあくまで人道支援目的に限定されたもので、イスラム国を軍事攻撃するためのものではないと説明できます。さらに、イスラム国側が安倍総理の対中東政策をもって、日本人人質を処刑するのは不当、不適切だと説明します。

オマル・グラバ司令官の説明では、去年の8月から10月にかけて、イスラム国は湯川さんを処刑したり、身代金を要求する意志がないことを明言していました。今回、その方針が変わった理由を問い質します。

現時点で、外務省からも、警察からも、連絡などは一切ありません。日本政府が独自にイスラム国と交渉し、人質を解放させられる見通しと自信があるのなら、問題ないと思いますが、そうでないとしたら、なぜ、連絡がないのか、首を傾げます。

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*オマル・グラバ司令官とは、常岡氏が直接の面識を持つISISの構成員。