ほんの小さな一角が、駅の西口にあります。
ここで明滅する灯りを眺めるのが、小さな楽しみになっています。
改札を抜けて、ほっとしてしばしこの青を眺めます。
青の中でも群青色のこの灯りが、何か心を落ち着かせてくれます。
きれいな灯り、明滅するほのかな光は、人を癒すんだろう。
ホタルのぽっぽっと光る灯り、飛行機から眺める街の灯り、タワーのライトアップ。
誰もが灯りに安らぎを感じる。
闇の中での光明、儚い希望、何者かへの憧憬、懐かしい気持ち。
みんなどうしているんだろうか。
これまで出会った多くの人たち。もう僕のことなど忘れ去っている。
都合のよいときだけ、僕はそれらを思い起こしている。
勝手に想い、勝手に苦笑し、勝手に悲しむ…
デコレーションされた灯りを見ながら佇む僕の隣を、雑多な人たちが、
何の関心も示さず、ただただ家路に急ぐ。
寂寥感。まさに、それだ。寂寥が僕を包み込んでいる。