スペインには「左」を表す Izquierdo さんの方が「右」の Derecho さんより圧倒的に多かったが、世界的にみると、「右」が「左」より優位に立っている。

【コロンビア代表のイスキエルド(Izquierdo)選手】
英語の right は「右」であると同時に「正しい」という意味がある。一方、left は動詞 leave(「置き去りにする」等の意)の過去分詞形でもある。左の left は「置き去りにされた」という意味かと思っていたが、実は語源は違うらしい。研究社『新英和中辞典』left の項には次のように記述されている。
【古期英語 「弱い、価値のない」の意から】
何にしても「左」は「右」の下である。
スペイン語でも「右」derecho には「正しい」という意味がある。他には「まっすぐの」(directo, recto)、「直立の」という意味がある。英語の direct はスペイン語 derecho の関連語でもある。「左」の izquierdo はどうかというと、「(馬が)X字脚の」、「曲がった、ねじれた」という意味もある。「右」に比べると確かにありがたくない。
ヨーロッパの言語では「右」を表すことばは語源的につながりがありそうだ(right, derecho, 仏 droit 伊 destra 独 recht など)が、「左」は関連性が見つけにくい。
英 left
西 izquierdo
仏 gauche
伊 sinistra
独 links
スペイン語の izquierdo については、小学館『西和中辞典』にはバスク語 ezker(ra) との関連も示唆されていて、「古くはイベリア半島原住民語に起源を持つとされる」と記述されている。
イタリア語の sinistra はラテン語 sinister が語源で、スペイン語形は siniestro である。もちろん「左」の意味もあるが、「不吉な、縁起の悪い」等の意味もある。英語の sinister(不吉な)はもちろん関連語である。ただ、siniestro は姓にはなっていないようで、“Historia Apellidos”ではヒットしなかった。
こうしてみると、「左」は全くありがたくない。なのに、何で Izquierdo という姓があるのか、謎は深まるばかりである。
一方、日本では次のような例もある。
日本語では「右左(みぎひだり)」というが、音読みにすると「左右(さゆう)」で「左」が先に来る。昔の大臣でも「左大臣」の方が「右大臣」より上位である。
「左」優位の考えは、古代中国に由来するらしい。これには心臓が左にあることとも関係があるのかもしれない。
「左右学」についての本は何冊か出版されているが、比較的入手しやすいのは「暮らしのなかの左右学
」であろう。


さて、もし、コロンビア代表の Izquierdo 選手が独身だったら、Derecho さんとめぐり合って、結婚するという筆者の夢を叶えてほしいものである。家庭における「左右」の主導権争いも見ものである。
ついでながら、Derecho 家の紋章は見つからなかった。
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【コロンビア代表のイスキエルド(Izquierdo)選手】
英語の right は「右」であると同時に「正しい」という意味がある。一方、left は動詞 leave(「置き去りにする」等の意)の過去分詞形でもある。左の left は「置き去りにされた」という意味かと思っていたが、実は語源は違うらしい。研究社『新英和中辞典』left の項には次のように記述されている。
【古期英語 「弱い、価値のない」の意から】
何にしても「左」は「右」の下である。
スペイン語でも「右」derecho には「正しい」という意味がある。他には「まっすぐの」(directo, recto)、「直立の」という意味がある。英語の direct はスペイン語 derecho の関連語でもある。「左」の izquierdo はどうかというと、「(馬が)X字脚の」、「曲がった、ねじれた」という意味もある。「右」に比べると確かにありがたくない。
ヨーロッパの言語では「右」を表すことばは語源的につながりがありそうだ(right, derecho, 仏 droit 伊 destra 独 recht など)が、「左」は関連性が見つけにくい。
英 left
西 izquierdo
仏 gauche
伊 sinistra
独 links
スペイン語の izquierdo については、小学館『西和中辞典』にはバスク語 ezker(ra) との関連も示唆されていて、「古くはイベリア半島原住民語に起源を持つとされる」と記述されている。
イタリア語の sinistra はラテン語 sinister が語源で、スペイン語形は siniestro である。もちろん「左」の意味もあるが、「不吉な、縁起の悪い」等の意味もある。英語の sinister(不吉な)はもちろん関連語である。ただ、siniestro は姓にはなっていないようで、“Historia Apellidos”ではヒットしなかった。
こうしてみると、「左」は全くありがたくない。なのに、何で Izquierdo という姓があるのか、謎は深まるばかりである。
一方、日本では次のような例もある。
日本語では「右左(みぎひだり)」というが、音読みにすると「左右(さゆう)」で「左」が先に来る。昔の大臣でも「左大臣」の方が「右大臣」より上位である。
「左」優位の考えは、古代中国に由来するらしい。これには心臓が左にあることとも関係があるのかもしれない。
「左右学」についての本は何冊か出版されているが、比較的入手しやすいのは「暮らしのなかの左右学
さて、もし、コロンビア代表の Izquierdo 選手が独身だったら、Derecho さんとめぐり合って、結婚するという筆者の夢を叶えてほしいものである。家庭における「左右」の主導権争いも見ものである。
ついでながら、Derecho 家の紋章は見つからなかった。
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