ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「漂流」 吉村 昭読了!

2016年12月21日 15時37分14秒 | 作家 や行
漂流 (新潮文庫)  2016.12.21読了。
吉村 昭 (著)

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。



この話は、現代のこの生きにくい世の中をサバイブするためにも通じる話だ。置かれた環境に適応し、柔軟な対応力とあきらめない心。これこそが人生を生き抜く鍵となる。なんとも骨太な小説だ。…7.5点。

「破船」 吉村 昭読了!

2016年12月15日 00時57分29秒 | 作家 や行
破船 (新潮文庫)  2016.12.14読了。
吉村 昭 (著)

二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。しかし、積荷はほとんどなく、中の者たちはすべて死に絶えていた。骸が着けていた揃いの赤い服を分配後まもなく、村を恐ろしい出来事が襲う……。嵐の夜、浜で火を焚き、近づく船を坐礁させ、その積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に伝わる、サバイバルのための異様な風習“お船様"が招いた、悪夢のような災厄を描く、異色の長編小説。



作者のそぎ落とした筆致は、かえって想像をかきたてられ怖い。感情や主観が入らず、ドキュメンタリーのように物語が描かれていく。主人公に感情移入したつもりはないが、物語の中で起きる現実を主人公とともに重く突きつけられ、キツイ。そしてどんよりと暗くなる。読みごたえのある小説。そして作家。…7点。

「60秒の煉獄」  大石 圭読了!

2016年12月07日 20時13分47秒 | 作家 あ行
「60秒の煉獄」 (光文社文庫)  2016.12.7読了。
大石 圭 (著)

「あなたに特別な力を授けます」。天使か悪魔か――謎めいた美少女が人々に授けたのは、たった1度だけ時間を1分間止める能力だった。世界のすべてが静止する60秒。誰にも知られず、邪魔されることもなく、思うがままにどんなことでもできるのだ。大金を強奪する。憧れの女性を恣(ほしいまま)にする。憎い男を抹殺する……。欲望と妄念に翻弄される男女の姿を描く、異色連作集。



60秒間時間を止めれたらあなたは何をするか?という話だ。
まあ、この小説に出てくるやつはだいたい悪いことをする。
金になる話はあまりなく、ほとんどが殺戮。しかも大量殺戮。
どうしても殺したいやつを殺すんじゃなくて大量殺戮なところが大石さんらしいところか。
自分なら1円にもならないことには使わないけどな。
ひとつひとつの話が短かすぎるのではないか。せっかくの話が薄まっちゃう。…5点。

「エデン」 五條 瑛読了!

2016年12月01日 23時20分44秒 | 作家 か行
エデン (文春文庫)  2016.12.1読了。
五條 瑛 (著)

新宿のスラムで育った亞宮柾人は、ストリートギャング同士の抗争で逮補され、矯正施設に送られる。だがK七号施設と呼ばれるそこは、政治・思想犯専用の刑務所だった。囚人による自治が認められ、一見、自由で新しい施設だが、柾人は陰謀のにおいを感じ、真相に迫ろうとする。思想と信仰の危うさに迫るノンストップ近未来サスペンス。



あらすじ的にはもっと面白いかと思ったが、期待はずれ。
展開が単調、ありえないことの連続で真実味がない、落ちがわかる、ラストがわざとらしい。
やっとこさ読了。
この作家さんはこんなもんじゃないと思うけど。…4点。