ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「ろくでなし」 新堂冬樹 読了!

2014年07月31日 23時06分33秒 | 作家 さ行
「ろくでなし」[講談社ノベルス] 新堂冬樹 (著)  2014.7.27読了 。

黒鷲。不良債権者を地の果てまでも追う黒木の呼称だ。彼の眼前で婚約者は凌辱され、精神(こころ)は死んだ。2年後、偶然目にしたレイプ犯の写真で、黒木は再び黒鷲として蘇り、復讐に動き出す。だが次々と関係者は殺され、覚醒剤中毒者(ジャンキー)、娼婦(ばいた)、金融屋、ヤクザたちの影が蠢(うごめ)く。欲望を漲(みなぎ)らせて、最底辺を生きる人間(ろくでなし)の恐怖!



まあ、「ろくでなし」って題名だから、どんなろくでなしが出てくるのかと思えば、「溝鼠」や「吐きたいほど愛してる」を読んでしまったオレには、こんぐらいじゃろくでなしにも見えない。
本としてはおもしろかったけど、やはり初期の作品は黒いといっても、真っ黒じゃなかったのね。なんかちょっと物足りないかんじかな。…6点。

「純恋」 新堂冬樹 読了!

2014年07月24日 16時11分27秒 | 作家 さ行
「純恋」[徳間文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.7.24読了 。

男の欲望に身を晒すことで日々の糧を得るマリ。かつては人気作家だったが、今ではリタリン中毒となって生活能力を失った栗崎昭司。知り合った二人の前に、想像を絶する運命が待ち構えていた。「汚れた者」にしか見えない「真実の愛」。デリヘル嬢と薬物依存男の純粋な恋物語。


いやー、題名からしてなんだかあやしいなと思ったんだけど、レビュー調べないで読んじゃった。黒でもなし白でもなし、中途半端で薄っぺらい内容。暇つぶしにちゃちゃっと読めちゃうから頓挫しなかったけど。設定にも無理があるし、何をしたいのかわけがわからない。だいたい恋に落ちる過程がまったく理解できないんだから、純恋だろと言われてもさっぱりわからん。途中から結末までのストーリーが予想できちゃうし。エロ小説というならまあ読めるかも。…2点。


「森に眠る魚」 角田 光代 頓挫!

2014年07月23日 19時19分06秒 | 作家 か行
「森に眠る魚」[双葉文庫] 角田 光代 (著)  2014.7.23頓挫 。

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。


いやー、まさか頓挫するとは…。
言っときますけど、わたし、角田さんのファンですから、だいたいの本読んでますから。このブログやる前ですけど。
でも、この本の冒頭、ママたち、いっぱい出てきて、誰が誰やらまったくわけわかんなくなって、そんで、そんで、誰が誰でももう、どうでもよくなって、そんでぶん投げました。ごめんなさい。

「吐きたいほど愛してる。」 新堂 冬樹 読了!

2014年07月18日 17時37分33秒 | 作家 さ行
「吐きたいほど愛してる。」[新潮文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.7.18読了 。


愛―、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。毒島半蔵の歪んだ妄想が、この世を地獄へと塗り替える。虚ろな心を抱える吉美が、浮気を続ける亭主に狂気をぶつける。傷を負い言葉を失った、薄幸の美少女・まゆか。実の娘に虐待され続けている、寝たきり老人・英吉。暴風のような愛情が、人びとを壊してゆく!新堂冬樹にしか描けなかった、暗黒純愛小説集。


食事中、食後に読むな!って解説に書いてあるんですけど(笑)。
そのとおり食前なら食欲も消し飛ぶ四つの短編集。
ひとつめ、「半蔵の黒子」たぶんこの本を読むことができるかどうか試される作品。主人公のキ○ガイ振りがここまでくると心地よい?(オレおかしい?)
ふたつめ「お鈴が来る」なんかね、これはキ○ガイというより、精神異常系の話で、すっとんでない分、ひたひた怖い。
みっつめの「まゆかの恋慕」は一見、純愛もの?って思うんだけど、やっぱ主人公からしてみれば、ストーカーにつきまとわれたあげくの無理心中ともとれなくもなく、悲劇。
で最後の「英吉の部屋」自分だけしか愛せない、超ご都合じじいのたわごと。
どれもこれも、偏愛。変愛。しかも超絶なグロさだった!(面白かったけど) 
オレやっぱおかしいかも。…9点。(出た!短編最高得点!)

「溝鼠」 新堂 冬樹 読了!

2014年07月17日 15時25分02秒 | 作家 さ行
「溝鼠」[幻冬舎文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.7.16読了 。


復讐を請け負う代行屋、鷹場。他人の不幸とカネを愛し、対象者に恥辱と絶望を与えるのが生きがいだ……。人間の欲望を抉る暗黒エンタテインメント。


ほんとに、どいつもこいつもくそったれしか出てこないめずらしい小説。
むかつく奴等の、むかつく行為。
読んでいて、むかつく。吐き気がする。
それがこの小説の肝。なんだろうきっと。
ここまで酷ければ、賞賛に値するのではないだろうか。…7点。

「カリスマ」 新堂 冬樹 読了!

2014年07月11日 17時05分55秒 | 作家 さ行
「カリスマ」(上・中・下)[幻冬舎文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.7.11読了 。


妻の病を治したい、子供を一流中学に入学させたい…。人の弱みにつけこむ勧誘方法で、「神の郷」は設立から十年、二千人の教徒を有する宗教法人に成長した。教祖の神郷宝仙は、金銭欲や性欲などあらゆる欲望の滅失を説く一方、自身は三百五十億の金を教徒から毟り取り、六百人の女性教徒と関係を持つ。金や情欲に溺れる神郷の過去に何があったのか―。

六欲滅失を誓うマントラ唱和、過去の罪を詰られる懴悔の行、全裸で赤子や動物になりきる自我滅失の行…。一日二十時間の修行を強いる神の郷の洗脳セミナー。参加者の一人、城山麗子は自殺した神郷の母親に似すぎていた。麗子を自分のものにすべく神郷は、心身困憊、意識が朦朧とする中で帰依心を抱き始めた彼女を出家させるよう幹部教徒に命じた。

乱れる髪、墨を塗ったような隈、黄色く澱んだ白目。セミナーで変貌した麗子は息子にマントラ唱和を強要し、夫の信康に神の郷への金を無心した。信康は脱会カウンセラーに助けを求めて麗子の洗脳を何とか解くも、二人は神郷に拉致される…。信康はかつての家庭を取り戻せるのか。新興宗教の内幕を凄まじく抉った暗黒エンターテインメント。


いやー、上中下巻あわせて1500ページ超えです。
でも、下巻なんか一気読みです。寝る間も惜しみます。
どんでんがえしもあり、下巻は最高の盛り上がり。
しかし、このカリスマの神郷は小心者の俗物の極み。
対決する信康も見栄っ張りの嘘つきの小心者。対決する小心者対小心者。
小説の主人公がこんだけどうしようもないとそれはそれで成り立つんですね。
氷室が一番かわいそうだったけど、一番うれしそうに死んでいったのも氷室。
いやー、まとまらんね…9点。


「恋人よ」 野沢 尚 読了!

2014年07月01日 16時13分33秒 | 作家 な行
「恋人よ」(上・下)[幻冬舎文庫] 野沢 尚 (著)  2014.6.30読了 。


お腹の子供の父親はあなたではないかもと告げられた航平。夫となる男を愛しきれぬまま結婚式を挙げようとする愛永。二人の男女はそれぞれの結婚式の直前に運命的に出会う。ホテルの一室で交わした二秒のキス。二人は不確かな再会を誓って、それぞれの式にのぞんだ。それから半年後、愛永夫婦が航平たちの隣りに偶然、越してきた―。
航平と愛永は、郵便局の私書箱を使って手紙のやりとりをはじめた。一方、航平の妻・粧子のお腹はどんどん大きくなり、嵐の夜、ついに女の子を出産する。だが生まれてきた子供は航平の子ではなかった。そしてその父親とは…。運命を引き受けた大人たちが、つまずきながらも、狂おしいほど人を想う。愛することの喜びと、苦しさを描く恋愛小説。


やっちゃならんと思いながら、一日(とその日の夜も)で上下刊読破。ページをめくる手が止められなかった。前半ちょっと偶然が多すぎる気もするが…。これぞ純愛小説の傑作!…8点。