ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「神よ憐れみたまえ」 小池真理子

2024年02月29日 19時06分46秒 | 作家 か行
神よ憐れみたまえ(新潮文庫) 2024.2.25読了。
小池真理子 (著)

昭和史に傷跡を遺す「魔の土曜日」。
その同日、少女の両親は惨殺された――。
拭えぬ悪夢を抱えた一人の女性の生涯を紡ぐ、魂の叙事詩。
昭和38年11月、三井三池炭鉱の大爆発と国鉄の多重衝突という二つの事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその同じ夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。何不自由ない家庭に生まれ育ち、母ゆずりの美貌と音楽の才能を併せ持つ、未来を約束された少女を襲った悲劇。事件は拭いされない悪夢として胸のうちに巣食い、不運の連鎖が彼女の運命を揺るがしていく――。10年の歳月を費やし、一人の女性の数奇な生涯を描破した、著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)



たぶん、最後の書下ろし長編になるんだろうか? ひしひしとその覚悟が垣間見える。堂々とした一篇。8点。

「センセイの鞄」 川上弘美

2024年02月19日 15時13分02秒 | 作家 か行
センセイの鞄 (新潮文庫) 2024.02.16読了。
川上 弘美 (著)

ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。年齢のはなれた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋情を描き、あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。



おとぎ話だけど(普通に考えたら気持ち悪いとか)。あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。とか解説に書いてあるけど、とりこになったのは老人(男)だけなんじゃないのか。選考委員もそのあたりが多くてとか。まあ、読んでみて良かったからなんでもいいけど。8点。

「沈黙のひと」 小池真理子

2024年02月09日 20時04分00秒 | 作家 か行
沈黙のひと (文春文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作! 吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰!



沈黙の中にどんな思いが秘められていたのか、人の心の中は覗いてみなければわからない。8点。

「無花果の森」 小池真理子

2024年02月09日 19時59分52秒 | 作家 か行
無花果の森 (新潮文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。



いいんだよ、老齢の女性画家も、おかまも、、、8点。

「東京アクアリウム」 小池真理子

2024年02月09日 19時55分00秒 | 作家 か行
東京アクアリウム (角川文庫) 2024.1読了
小池 真理子 (著)

夜景が美しいカフェで親友が語る不思議な再会に震撼する表題作、施設に入居する母が実家で過ごす最後の温かい夜を描く「猫別れ」など8篇。人の出会いと別れ、そして交錯する思いを描く、珠玉の短編集。



そう、短編もうまい。7点。

「コゴロシムラ」 木原音瀬

2023年01月23日 16時35分09秒 | 作家 か行
コゴロシムラ (講談社文庫) 2023.1.23読了。
木原音瀬 (著)

カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが…。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。
木原音瀬が挑んだ、ホラー&ミステリーの傑作。流麗な中村明日美子のイラストや、文庫オリジナルショートストーリーにも注目!




ホラーだろうか。あまり怖くもない。でも、しっかりストーリーは練られていて退屈しない。事件の裏に隠されていた事実とは?てな感じ。また違った意味でちょっと驚かされる小説ではある。6点。

「柔らかな頬」上・下 桐野夏生

2022年09月30日 18時40分16秒 | 作家 か行
柔らかな頬(上・下) (文春文庫) 2022.9.30読了。
桐野 夏生 (著)

私は子供を捨ててもいいと思ったことがある――。衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。カスミには、家出して故郷の北海道を捨てた過去がある。だが、皮肉にも北海道で幼い娘が失踪を遂げる。じつは夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。罪悪感に苦しむカスミは一人、娘を探し続ける。四年後、元刑事の内海が再捜査を申し出るまでは――。

私は子供を捨ててもいいと思ったことがある――。衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。野心家の元刑事・内海も、苦しみの渦中にあった。ガンで余命半年と宣告されたのだ。内海とカスミは、事件の関係者を訪ね歩く。残された時間のない内海は、真相とも妄想とも夢を見始める。そして二人は、カスミの故郷に辿り着いた。真実という名のゴールを追い続ける人間の強さと輝きを描き切った最高傑作!




まさか、犯人がわからないとは、、、たしかに推理小説じゃないということは読み終わってみれば理解できるが、最初はだれが犯人で、伏線はこれじゃないか、事件の真相はこうで、とか考えなが読んだ。そして訪れただれが犯人かわからずじまいのラスト、真犯人も事件の真相も霧の中。確かに小説としてはまあ面白いのだが、、、人間の身勝手さは計り知れない、だから誰が犯人でもおかしくないということなのか。6点





「ダーク」上・下 桐野夏生

2022年09月16日 19時56分29秒 | 作家 か行
ダーク (上・下) (講談社文庫) 2022.9.16読了。
桐野 夏生 (著)

「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。
「朴美愛(パクミエ)」偽造パスポートを手に入れたミロは海峡を越え韓国に渡る。偽ブランド品を手がける現地の男と即座に愛人契約を結ぶが、彼は自分の身代わりとなって撃たれ下半身の自由を失ってしまう。深い愛情で結びついた二人は復讐を決意した。覚醒剤、レイプ、殺人。善悪を超えて世界を圧倒する壮絶な魂の遍歴。



たしか、初めて読んだときはミロやその他の登場人物の変わりように嫌悪感を抱いたはずだったが、再読の今はそれがない。終わりや変化がなければ次のステージには進めない、これあったからのちの名作も次々と生まれてきたのだろう。ミロシリーズはこれにて完結、シリーズを壊す必要があった。ダークなミロシリーズ完結編、大変面白かった。7.5点

「ローズガーデン」 桐野夏生

2022年09月12日 20時08分13秒 | 作家 か行
新装版 ローズガーデン (講談社文庫) 2022.9.11読了。
桐野夏生 (著)

高校二年生のあの日。薔薇(ばら)が咲き乱れる自宅のベッドで、ミロの口から「義父と寝た」という驚くべき話を聞かされた。「俺」は激しい嫉妬に囚(とら)われ興奮した──。ジャカルタで自殺した前夫・博夫の視点で、村野ミロの妖艶な青春時代を描いた表題作など、4つの事件簿からなる短篇集。「ミロシリーズ」第3弾!



「ミロシリーズ」第3弾!でございます。これはたぶん読んだことないですね。よって、再読ではありません。その当時、これ短編集だし、本筋とはたぶん関係ないだろうとということで、脇によけといた部類ですね。今回読んでみましたが、たぶん、当時の私正しい判断だったと思います。たぶん、これ関係ないです。何と関係ないかはアレですが、本としては面白くないわけじゃないのですが、とにかく飛ばしていいと思いました。5点


「天使に見捨てられた夜」 桐野夏生

2022年09月09日 15時10分36秒 | 作家 か行
AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!



ミロシリーズ第二弾でございます。こちらも再読なんですが、ほんとすっかりなんにも覚えていない。いいですね。ミロシリーズ!この第二弾は前作より好きですね。女流作家が、女探偵を主人公に書いている独特のこの雰囲気が良いです。8点