ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「煉獄の使徒(上・下)」 馳星周

2024年06月04日 16時35分01秒 | 作家 は行
煉獄の使徒 上・下 (角川文庫)
馳 星周 (著)

〈真言の法〉のカリスマ教祖と侍従長。組織に罪を背負わされ失脚した警部補。暗躍する権力者――。欲望と狂気に憑かれた男たちの思惑が業火の中で絡み合う。著者畢竟の大作にして圧巻の群像サスペンス。
カリスマ教祖がサリン撒布計画を実行に移す――。一方、彼らと手を組んだ警部補は権力者たちの暗闘に搦めとられていく。男たちが辿り着くのは天国か地獄か、それとも……。著者最大巨編、驚天動地の完結。



大好物故に最高に面白かった。9点。

「邪香草」 柴田よしき他アンソロジー

2024年04月09日 17時13分17秒 | 作家 あ行
邪香草: 恋愛ホラ-・アンソロジ- (祥伝社文庫) 2024.4.9読了。
柴田 よしき (著)他

願い,ゆりあ,あおいちゃん,虞美人草,コワス,真珠の価値,銀の鋏 他



いじらし系の恋愛ホラーで、わりと好み。柴田さん目あてで読んだけどほかの作品も面白かった。最後の「ぬるい水」だけはわからんかった。6点。

「早期退職」 荒木源

2024年04月04日 13時32分23秒 | 作家 あ行
早期退職 (角川文庫) 20204.4.4読了。
荒木 源 (著)

辻本壮平、52歳。菓子メーカー営業課長。妻子あり、住宅ローンはほぼ完済ずみ。 ある日突然、早期退職募集が開始される。辞めるべきか、会社にとどまるか、どちらが得かで悩む辻本課長の選択は――。



主人公がどうも好きになれない。最後、ちょっとうまく行きすぎ。5点。

「黒豹の鎮魂歌(上・下)」 大藪春彦

2024年04月03日 16時31分04秒 | 作家 あ行
黒豹の鎮魂歌(上・下) (光文社文庫) 2024.4.1読了。
大藪春彦 (著)

京葉工業地帯開発の利権に群がった元首相と結託する男たちの非道な仕打ちで、両親と妹二人を失った新城彰。日本を追われヨーロッパへと渡った新城は、フランス軍秘密部隊を除隊後、日本人観光客の夜のガイドに身をやつしていた。心の奥底に復讐の念を燃やし続ける彼の前に、ついに仇敵の一人が現れた! 圧倒的な戦闘力と頭脳を武器に、いま孤独な戦いの火蓋が切られる!
元首相・沖がヨーロッパに貯めこんだ厖大な隠し金を壊滅へと追い込んだ新城は、復讐のシナリオを胸に帰国。一人、また一人と仇敵らを確実に仕留めてゆく。政治家お抱えの暴力団同士の抗争を巧みに煽り、巨大な権力の本丸へと迫ってゆく新城。鉄壁の要塞に守られた醜悪な権力者たちを斃すことができるのか!? 時代を超えて読み継がれるべき不朽の傑作。



時代が時代だから、ちょっとくどいが今も面白く読めるところが凄い。コンプライアンスなんてものないしね。6点。

「疾き雲のごとく」 伊東潤

2024年03月22日 17時34分25秒 | 作家 あ行
疾き雲のごとく (角川文庫) 2024.3
伊東 潤 (著)

坂東の獅子・北条早雲の猛き生き様ここにあり!
時代は血なまぐさい戦乱の世に突入した。将軍家に連なる名門・今川家は、家督争いによって二つに分裂する。一方、この内紛に目をつけた隣国の上杉定正は、名将・太田道灌を送り込むことで介入を目論んだ。道中、道灌は宿泊した寺院で、「宗瑞」を名乗る眼光鋭い青年僧と邂逅する。二人の運命的な出会いが、歴史を動かそうとしていた……。周囲の人々の眼を通して戦国の風雲児・北条早雲の生涯を描いた、疾風怒濤の歴史小説。



早雲のかかわった人物と事象を短編で描き、早雲の人となりを描いた短編集。長編の方が好き。6点。

「僕のなかの壊れていない部分」 白石一文

2024年03月22日 17時28分04秒 | 作家 さ行
僕のなかの壊れていない部分  文春文庫 2024.3
白石 一文 (著)

美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。それは、
昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。
東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に
3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを
結ぼうとしない。その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、
絶望なのか渇望なのか。彼の特異な過去を知った枝里子は。
「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」



きっと、読む人を選ぶ。でも傑作。8点。

「黎明に起つ」 伊東 潤

2024年03月11日 19時47分11秒 | 作家 あ行
黎明に起つ (講談社文庫) 2024.3.9読了。
伊東 潤 (著)

11年ものあいだ、京を荒廃させた応仁の乱。関東の地に新天地を求めた伊勢新九郎は、伊豆での激戦に身を投じることとなった。民を生かす世を希求する新九郎は守旧勢力を駆逐できるのか。若き日の挫折から覇権を打ち立てるまでの東国の雄・北条早雲を描く疾風怒濤の戦国小説。



6点。

「いくつになっても 江戸の粋」 アンソロジー/細谷正充・編

2024年03月06日 19時20分41秒 | 作家 あ行
いくつになっても 江戸の粋 (光文社文庫) 2024.3.6読了。
細谷正充 (編)

現代よりだいぶ早くに隠居し、余生を生きた江戸の人々。
悠々と生きる者、ひと癖ある知恵者、嫌われ者、虐げられた者。
己の場で、江戸のお年寄りたちが魅せる命と心の輝き。
そして次の世代に伝えてゆく、自らの意気と生き様とは。
名手たちによる短編3編と、書下ろし短編3編を収録。
笑えて、泣けて。年を取るのも悪くないと思えてくる、傑作ばかりの時代小説アンソロジー。
【収録作品一覧】
三筋界隈 青山文平
つはものの女 永井紗耶子
いくばくも 泉 ゆたか (書下ろし)
ひと夏  志川節子 (書下ろし)
ほおずき長屋のお豪 坂井希久子 (書下ろし)
五郎治殿御始末  浅田次郎
編・解説 細谷正充



浅田さんお目当てで読みましたが、まあ、期待したほどでは。5点。

「憑神」 浅田次郎

2024年02月29日 19時10分24秒 | 作家 あ行
憑神(新潮文庫) 2024.2.28読了
浅田 次郎 (著)

時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。だが、跡継ぎを授かったとたん離縁され、実家に出戻るはめに。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、なんと神様があらわれた。だが、この神様、神は神でも、貧乏神! 果たして、貧乏侍vs.貧乏神の行方は……!? とことんツイてない男が最後に選んだ真実の生きる道とは――。抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。最近ツイてない、ツキが欲しいと思っている人、必読。


面白おかしく話は進み、感動のラストへ。7点。

「神よ憐れみたまえ」 小池真理子

2024年02月29日 19時06分46秒 | 作家 か行
神よ憐れみたまえ(新潮文庫) 2024.2.25読了。
小池真理子 (著)

昭和史に傷跡を遺す「魔の土曜日」。
その同日、少女の両親は惨殺された――。
拭えぬ悪夢を抱えた一人の女性の生涯を紡ぐ、魂の叙事詩。
昭和38年11月、三井三池炭鉱の大爆発と国鉄の多重衝突という二つの事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその同じ夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。何不自由ない家庭に生まれ育ち、母ゆずりの美貌と音楽の才能を併せ持つ、未来を約束された少女を襲った悲劇。事件は拭いされない悪夢として胸のうちに巣食い、不運の連鎖が彼女の運命を揺るがしていく――。10年の歳月を費やし、一人の女性の数奇な生涯を描破した、著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)



たぶん、最後の書下ろし長編になるんだろうか? ひしひしとその覚悟が垣間見える。堂々とした一篇。8点。