ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「ポトスライムの舟」 津村記久子

2023年12月22日 14時52分15秒 | 作家 た行
ポトスライムの舟 (講談社文庫) 2023.12.22読了。
津村 記久子 (著)

29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のために、「時間を金で売る」虚しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気付くが――。ユーモラスで抑制された文章が胸に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。



現代の勤労者小説、さすがの芥川賞受賞作。8点。

「優しい死神の飼い方」 知念実希人

2022年12月07日 17時04分59秒 | 作家 た行
優しい死神の飼い方 (光文社文庫) 文庫 2022.12.7読了。
知念 実希人 (著)

犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。




まず、タイトルがいい。タイトルだけで読み始めちゃう。死神が犬の中に入ってバラバラの肉体と精神とにバランスをつけ、そして、興味のなかった人間に犬ならではの親近感で好感を抱いていく様は滑稽であり、そして楽しい。ミステリーとしては中途半端かもしれないが、ハートフルファンタジーとして十分面白いんじゃないか。6点。

「自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ」 高村友也

2021年03月26日 20時11分02秒 | 作家 た行
自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫) 2021.3.26読了。
高村 友也 (著)

好きなだけ読書したり寝たりできる。誰にも文句を言われず、最低限の生活ができる。そんな場所の作り方。解説_かとうちあき 推薦文_髙坂勝



面白かった。こんな生活に憧れるけど、ここまでは自分ではできないだろうな。せいぜい、安い郊外のアパートでも借りて、最低限の物で、お金をかけずにつつましやかに暮らすぐらいかな。6点。

「スモールハウス」 高村友也

2021年02月12日 13時38分55秒 | 作家 た行
スモールハウス (ちくま文庫) 2021.2.11読了。
高村 友也 (著)

家が小さければ…「物に縛られず身軽になれる。」「ローンや高い家賃に縛られず、生き方を選べる。」「過剰な消費社会から距離を置ける。」「環境負荷が少ない。」「独りの時間を大切にできる。」アメリカ、オーストラリア在住の6人のスモールハウスを例に、経済的にも精神的にも自由になれる「小さな暮らし」の魅力を伝える。



実に興味深かった、が、この手の本は、もっと若かりし頃に読みたかったな。…6点。

「ツナグ」 辻村深月 読了!

2020年02月10日 18時14分07秒 | 作家 た行
ツナグ (新潮文庫) 2020.2.10読了。
辻村 深月 (著)

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。



やべえ、4編目の「待ち人の心得」で、電車の中なのに泣かされそうになり困った。
クライマックスに向かって終章で色々回収しつつ、フィナーレに向かうんだけど、自分的には4編目の「待ち人の心得」が山だった。最終章でもうひと転びするのかなー?とか思っていたが、伏線の回収に終始して新たな展開はなかった。ちょっとここが期待外れ。ではあるが、小説として面白いんで文句ないけど。…6点。

「小説 秦の始皇帝」 津本陽読了!

2019年08月05日 18時01分58秒 | 作家 た行
「小説 秦の始皇帝」 文庫 2019.8.3読了。
津本 陽 (著)

「余は神に選ばれた王だ。王のなかの王、皇帝になるのだ」―西紀前二五九年、正月、乱世の中国大陸に、一人の男が生を享けた。血族の謀略に身を起こし、遂には天下統一を成しとげ、皇帝にまで登りつめた男の名は政。男は自らを“始皇帝”と名乗った。数奇な運命に翻弄され、壮絶な戦いに明け暮れ、不死を夢見た秦の始皇帝の生涯を、雄渾華麗に謳いあげた大英雄伝。



まるで、歴史資料をそのまま引用したような小説だ。淡々と史実に忠実に書かれているのだろうが、もっと小説にはエンターテイメント性を求めちゃうよなぁー。感動とかもしたいし。…3点。

「夫の彼女」 藤堂志津子 読了!

2018年07月31日 22時48分13秒 | 作家 た行
夫の彼女 (幻冬舎文庫) 2018.7.30読了。
藤堂 志津子 (著)

「おれを独身にもどしてくれないかなあ…」夫がつぶやくようにそう言ったのは、結婚後も勤めていた会社を辞めて、一年が経とうとした頃だった。矛盾と気まぐればかりの夫に翻弄される、妻・涼紀。見知らぬ「夫の彼女」に思いをめぐらせ、納得のいかない別居生活が始まったが…読み出したら止まらない、自分さがしのユーモア恋愛結婚小説。



なんか、どんどん展開がぐだぐだに。
そして、夫はどんどん煮え切らなくなり、
ラストもいまいちスッキリとしない終わり方だし、
ほんと、不完全燃焼な小説でした。…3点。

「依存症ビジネス」――「廃人」製造社会の真実 デイミアン・トンプソン 読了!

2018年07月10日 20時06分37秒 | 作家 た行
依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実 単行本 2018.7.10読了。
デイミアン・トンプソン (著), 中里 京子 (翻訳)

もはや病気ではない。最強最悪のビジネスモデルである。iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、フェイスブック、アングリーバード、オンラインポルノ…私たちは、なぜこうも簡単に「病みつき」になるのか?元アルコール依存症のライターが、人間の意志の弱さにつけ込むテクノロジーとビジネスの共犯関係に迫る!



目新しいことはなかったけど、一番儲かる会社は、消費者を自社の商品の依存症に落としいれ、なんの苦もなく売り続け、儲けをせしめるわけで。酒も、タバコも、オンラインゲームもおんなじようなもんだ。国は絶対助けてくれない、自分は断固、抵抗するぞ!…5点。

「ソープランドでボーイをしていました」 玉井次郎読了!

2017年09月27日 02時39分00秒 | 作家 た行
ソープランドでボーイをしていました 文庫 2017.9.27読了。
玉井 次郎 (著)

地震でカネも職も失った仙台在住の中年オヤジが、一念発起し東京・吉原ソープランドのボーイに転職。強烈な同僚と泡姫たちに囲まれて働く過酷な日々。〝男性従業員目線〟で語られる風俗ノンフィクション!



風俗ではなくお仕事ノンフィクションです。入ってみなけりゃわからない現場のリアルが書かれています。こういう本は貴重だし、面白い。
震災で職をなくし家族を養うため否応なくソープランドのボーイとして働くが、この本も書けたし、得るものも色々あったようだ。改めて、妻と息子への愛情にも気づけたし。かなり人間として、強くなったことだろう。もうちょっといやらしい話があってもよかったのになぁ~。なんか意外と真面目な本なんよー。著者がスゴイ真面目だよね…6点。

「カンナ 飛鳥の光臨」 高田崇史読了!

2017年09月20日 20時41分34秒 | 作家 た行
カンナ 飛鳥の光臨 (講談社文庫) 2017.9.20読了。
高田崇史 (著)

伊賀忍者の末裔にして、出賀茂(いずかも)神社のお気楽跡取り・鴨志田甲斐(かもしだかい)。しかし、その平穏は、秘密の社伝『蘇我大臣馬子傳暦(そがのおおおみうまこでんりゃく)』の盗難によって破られる。謎を追って、現役東大生のアルバイト巫女・貴湖(たかこ)と飛鳥へ向かった甲斐は、そこで密室殺人事件に巻き込まれ……。



なんか読んだ感じ、「QED」のライト版という感じ。
「歴史は覚えるものではなくて、考えるもの」。このメッセージから新シリーズが始まる。でもなんか物足りないんだよなー。それに「QED」の方がキャラがたってるかな。…6点。