ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「奇譚を売る店」 芦辺拓

2022年10月26日 14時58分09秒 | 作家 あ行
奇譚を売る店 (光文社文庫) 2022.10.25読了。
芦辺 拓 (著)

「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく……。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全6編の悪魔的連作短編集!



古書収集家がまたもや買ってしまった古書に没入し、在らぬ妄想の世界に埋まって出てこれなくなるお話し。全体の雰囲気もいいし、挿絵もいい!5点。

「さあ、地獄へ堕ちよう」 菅原和也

2022年10月12日 14時17分02秒 | 作家 さ行
さあ、地獄へ堕ちよう (角川文庫) 2022.10.12読了。
菅原 和也 (著)

SMバーでM嬢として働くミチは薬とアルコール漬けの日々を送っていた。だが、幼馴染のタミーとの再会からミチの日常が変容していく。タミーが関わっているという残虐な死体写真が集められた“地獄へ堕ちよう”という裏サイトの存在。さらに自らにおぞましいほどの身体改造を求める、店の同僚リスト。出口のない欲望が絡み合い、凄惨な事件が起こる―。最年少で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞した衝撃の暗黒青春ミステリ。



主人公が住んでいるアパートがありえない。何があっても通報しない、苦情も出ない。だれも住んでいないという想定なのか?そんなわけないだろ。他にもありえないこと多々。警察も無能すぎるし。このグロい小説のラストシーンが爽やかでなんだかなぁという感じ。5点。

「苦役列車」 西村賢太

2022年10月04日 15時15分15秒 | 作家 な行
苦役列車(新潮文庫) 2022.10.1読了。
西村賢太 (著)

私小説の逆襲。芥川賞受賞作!
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)




卑屈なんだけど、最終的には必ず相手を罵倒する。感情移入なんていらないんだ純文学なんだからの芥川賞!5点