ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「ゴサインタン―神の座」 篠田 節子 読了!

2013年10月21日 14時44分33秒 | 作家 さ行

「ゴサインタン―神の座」 (文春文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.21読了 。


 第10回(1997年) 山本周五郎賞受賞
現代人の心の淵と魂の再生を描く圧倒的筆力
ネパールから来た嫁、次々と起きる奇怪な出来事。失踪した嫁を探して辿り着いた神の山、ゴサインタンとは? 


まいった。またしても、650ページ一気読み。読後しばらく呆けていた。たまらん…9.5点。


「アクアリウム」 篠田 節子 読了!

2013年10月18日 15時54分28秒 | 作家 さ行

「アクアリウム」 (新潮文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.18読了 。


長谷川正人は遭難したダイビング仲間を探すため、奥多摩の地底湖に潜った。そこは水没した鐘乳洞で、中は迷路のようだった。自分の位置を見失ってしまった正人は死を覚悟するが、突如現れた「彼女」に導かれ、奇跡的に生還した。あれは幻覚だったのか?それとも―正人は「彼女」の姿を求めて再び水底へと向かう。だが、そこで見たものは…。新感覚のサスペンス・ファンタジー。


しかし、これだけツッコミ所満載の小説も…。
たぶん少しストーリーに無理があるんだ。地底湖には恐竜。まじめな公務員の性格の急変。作ったこともない素人に爆弾がボコボコ作れたり。それがまた失敗もしないで、最初からガンガン爆発。その他、数え上げたらキリがない。そんな無理無理なストーリーをまとめ上げ、これだけ読ませてしまう作者の筆力に脱帽です(他の人が書いたら破綻していると思う)。…6点。


「仮想儀礼」 〈上・下〉篠田 節子 読了!

2013年10月16日 11時28分21秒 | 作家 さ行

「仮想儀礼」 〈上・下〉 (新潮文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.15読了 。


〈上〉ゲーム作家に憧れて職を失なった正彦は、桐生慧海と名乗って、同じく失業者の矢口と共に金儲け目当ての教団「聖泉真法会」を創設する。悩める女たちの避難場所に過ぎなかった集まりは、インターネットを背景に勢力を拡大するが、営利や売名目的の人間たちの介入によって、巨額の金銭授受、仏像や不動産をめぐる詐欺、信者の暴力事件、そして殺人など続発するトラブルに翻弄される。

〈下〉社会から糾弾され、マスコミと権力の攻撃のターゲットにされた「聖泉真法会」に、信者の家族が奪還のために押しかける。行き場を失い追い詰められた信者たちがとった極端な手段。教祖・慧海のコントロールも超えて暴走する教団の行方は―。人間の心に巣くう孤独感、閉塞感、虚無感、罪悪感、あらゆる負の感情を呑み込んで、極限まで膨れ上がる現代のモンスター、「宗教」の虚実。



金目当てに宗教団体を立ち上げるあたりは、「ほう、ほう」と面白おかしく読んでいく、途中からは、「もう、その辺でやめておけ」とか忠告したくなったり、後半の教団がエライ勢いで崩壊していくさまは、胸が苦しくて、苦しくて。でも、ページをたぐる手が止められない。まさに、物語の中にどっぷりとつからさせていただきました。

教祖におさまった、元ゲーム作家のなりそこないが、最後には、本当の宗教家になったのではなかろうか? まったく宗教を学んだことも、修行したこともないのに。教祖っていったい? 教団とは? 宗教とは? 祈る対象とは? いろんなことを考えさせられた。

笑いも、涙も、感動もてんこ盛り。この手にありがちの読後感の悪さもない。1200ページがまったく長さを感じない。こんな作品があるから、読書は止められない。…9.5点。


「女たちのジハード」 篠田 節子 読了!

2013年10月11日 14時30分52秒 | 作家 さ行

「女たちのジハード」 (集英社文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.10読了 。

 

保険会社に勤める異なるタイプの女性たち。結婚、仕事、生き方に迷い、挫折を経験しながらも、たくましく幸せを求めてゆく。現代OL道を生き生きと描く、第117回直木賞受賞作。(解説・田辺聖子)


なんか直木賞作品でこんなに面白かったのはじめて。変に期待して読むもんだからさ。

なんと生き生きと登場人物が描かれているんだろう! それに日常のことを書いているのに、ストーリーに深みがあるんだよね。


読み終わって、何かの折に実在しない登場人物の今を心配しちゃったり…。「今頃、あのトマトの営業やってる彼女は元気かなぁ?」とかね。…9点


「純愛小説」 篠田 節子 読了!

2013年10月04日 02時02分33秒 | 作家 さ行

「純愛小説」 (角川文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.3読了 。


純愛小説で出世した女性編集者を待ち受ける罠と驚愕の結末、影のように慎ましく生きてきた女性が抱く最初で最後の狂おしい想い、息子の恋人に抱いてしまったときめき、年齢を超え理不尽なまでの磁力で惹かれあう男女…成熟したからこそ逃れがたい「恋」という名の愚行がときに苦く、ときに危険なほど甘やかに綴られる4篇の物語。直木賞作家、円熟の筆が冴える、ほんとうの大人のための“ロマンティック・ラヴ”。


まれにみるハイペース。本読むのが。篠田節子さんがおもしろいのか? はたまた短編だからか? 仕事がひまなのか?

「純愛小説」「鞍馬」「知恵熱」「蜂蜜色の女神」の4篇を収録。恋愛小説なのかホラーなのか? 怖いのか、悲しいのか? 今回も面白かったっす。特に「鞍馬」、かなしっす。…7点。


「家鳴り」 篠田 節子 読了!

2013年10月02日 21時30分02秒 | 作家 さ行

「家鳴り」 (新潮文庫) 篠田 節子 (著) 2013.10.1読了 。


妻が際限なく太っていく―。失業中の健志を尻目に、趣味で始めた手芸が世間の注目を集め、人気アーティストとなった治美。夫婦の関係が微妙に変化するなか、ストレスとプレッシャーで弱った妻のために健志が作り始めた料理は、次第に手が込み、その量を増やして…(「家鳴り」)。些細な出来事をきっかけに、突如として膨れ上がる暴力と恐怖を描いたホラー短篇集。表題作を含む7篇を収録。


うーーん、とうなる短編集。全部面白い。だからめずらしく、7篇全部に一言書いちゃう。
「幻の穀物危機」大地震後のシュミレーション小説のような? 
「やどかり」だまされたと思ったら…実は この作品が一番印象に残った。悲しかった。 
「操作手」ボケおばあちゃんとロボットの恋? いや、おばあちゃんのひとり妄想。
「春のたより」ちょっと切な系のホラーかな?
「家鳴り」妻が食べ続け、家から出ることが出来ないぐらい太り…、しかし、そうなってもその妻に食わせ続けて喜ぶ旦那が頭おかしい。
「水球」これはありがちな話。
「青らむ空のうつろのなかに」どうしたらいいのか、どこに感情を移入したらいいのかわからなかった。なんかメッセージがこめられているのかもしれないが、私には読み取れなかった。時間をおいて、もう一度読んだらわかるかな?

すばらしい…8点。(短編で8点は最高では?しらんがな)