ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「優しいおとな」 桐野 夏生 読了!

2014年12月19日 20時50分01秒 | 作家 か行
「優しいおとな」 [中公文庫] 桐野 夏生 (著)  2014.12.12読了 。

福祉システムが破綻した日本。スラム化したかつての繁華街“シブヤ”の野宿者・イオンは、闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。NGO「ストリートチルドレンを助ける会」、女性ホームレス集団「マムズ」…彼の「優しいおとな」はどこにいるのか。桐野夏生が描く、希望なき世界のその先とは。


近未来の渋谷が舞台なんだけど、これは近未来の話じゃないよね。
いまの日本、現実に格差が広がり、セーフティネットもあってないようなもん。
まして、ホームレスの人の中には、国の福祉の恩恵をまったく受けていない人たちも大勢いるだろう。
まさに、福祉システムが崩壊しているのと同じことだ。

主人公のイオンが、いろいろな経験をして愛という感情にめざめていくお話し。
哀しいけれど、どこか優しさに包まれるお話でした。…7点

「隣室のモーツアルト」 藤堂 志津子 読了!

2014年12月12日 14時43分10秒 | 作家 た行
「隣室のモーツアルト」 [文春文庫] 藤堂 志津子 (著)  2014.12.8読了 。

食道がんの手術のために入院した51歳の多花子。それは、半身不随の母をひとりで介護する暮らしの中で得たつかのまの休息だったが、隣の病室に昔の男がいることに気づいて…いくつもの人間模様を見届け、後半生をあるがままに受けとめ生きる女性の覚悟としなやかさ。不思議な迫力に満ちた傑作短編集。


まあ、こういうちょっといやな感じの小説、リアル感があってわりと好きなんだ。
かわいた感じだよね。…6点

「身も心も」 盛田 隆二 読了!

2014年12月08日 16時16分57秒 | 作家 ま行
「身も心も」 [光文社文庫] 盛田 隆二 (著)  2014.11.17読了 。

妻に先立たれ、毎日を無気力に過ごす礼二郎。彼を変えたのは、絵画同好会での幸子との出会いだった。やがて二人は恋に落ち、喜びも悲しみも分かち合いながら愛を育む。たとえ周囲の人間に後ろ指をさされようとも。だが、礼二郎は不意の病に蝕まれて…。ときめきを忘れかけていた男女が、限られた時の中で紡ぐ切実な恋愛模様を、まばゆいほどに美しく描く感動作。。


老いてから恋をするとどうなるのか?
いろいろと障害が立ちふさがる。
財産の問題や、狭い人間関係のなかのひがみややっかみ。
「いい歳こいて」っていう周りの目。
でも、結婚するとか子どもがほしいとか、家がほしいとか…、
当たり前だが、そういうことにはならない。
ただ二人で一緒にいれればそれでいいわけ、
老いてからの恋は、今生きている一分、1秒を愛おしくさせるのかもしれない。
ストーリーは特にドラマッチックなことがないまま展開されていく。
主人公の突然の病は衝撃的な出来事なのだろうか?
それとも老いてはそれも、日常なのだろうか?

だがしかし、盛田さんの作品としてはいまひとつ物足りないかも。…5.5点