ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「パライゾの寺」 坂東 眞砂子 読了!

2014年02月27日 13時24分51秒 | 作家 は行
「パライゾの寺」 [文春文庫] 坂東 眞砂子 (著) 2014.2.27読了 。

明治2年、長崎・浦上村の隠れ切支丹たちが土佐の漁村・天浜へ流罪となった。志操堅固な信徒たちに手を焼く村の顔役たちは、遊郭の女郎たちをけしかけて戒律を破らせ、棄教に追い込もうとする。表題作など、宮本常一とおぼしき民俗学者が採集した回顧譚の体裁で語られる、濃密なエロスとグロテスクな哄笑に満ちた7つの物語。
坂東/眞砂子
昭和33(1958)年、高知県生まれ。奈良女子大学居住学科卒業後、イタリアに2年間留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後フリーライターとして働きつつ童話を発表、57年、第7回毎日童話新人賞優秀賞を受賞。平成6年「蛇鏡」「桃色浄土」が連続して直木賞候補に。8年「桜雨」で第3回島清恋愛文学賞受賞。9年、「山妣」で第116回直木賞受賞。14年「曼荼羅道」で第15回柴田錬三郎賞を受賞


あれ? これは、ホラーじゃないんだ。
伝奇的というか民俗学的なお話なんだ。
と、思いきや、やっぱり、最後の短編で見事なオチが。
そんで、やっぱ、全部、ホラー的になってしまう。
読み終わっていた6編の短編全部がなんかホラーだったような感じがしてきてしまう。
なんか、すごいな。
連作じゃなくて、短編なのに、いや、連作なのか?
最後の1編を読んだ後と読む前とでは、本一冊としての味付けが変わってくる。
そういう仕掛け、なのか?
7つの短編なんだけど、ランダムに読まずに、ぜひ、最初から順番に読むことをお勧めします。…8点。(短編なのに)

「黒い春 」 山田 宗樹 読了!

2014年02月21日 21時35分46秒 | 作家 や行
「黒い春 」 [幻冬舎文庫] 山田 宗樹 (著)  2014.2.21読了 。

覚醒剤中毒死を疑われ監察医務院に運び込まれた遺体から未知の黒色胞子が発見された。そして翌年の五月、口から黒い粉を撤き散らしながら絶命する黒手病の犠牲者が全国各地で続出。対応策を発見できない厚生省だったが、一人の歴史研究家に辿り着き解決の端緒を掴む。そして人類の命運を賭けた闘いが始まった―。傑作エンタテインメント巨編。


ウイルスパニック小説なんだろうなぁと思って読みはじめ、知らぬうちに伝奇謎解きものに、はたまた夫婦をめぐる愛情、勇気や友情のヒューマンものに。でもやっぱりこの小説の肝は後半の主題、愛するものを失いそうになっているとき、愛する者との別れが確実に近づいてくるとき、人はどのように生きていったらいいのか? そんな時に、前向きにひたむきに時間と運命に立ち向かえる強さがほしいと思えました。…8点。

ただ、ストーリー的には尻切れトンボなんだよなぁ。どうなるんだろうなぁ、ここから。

「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記」 木藤 亜也 読了!

2014年02月12日 21時30分44秒 | 作家 か行
「1リットルの涙―難病と闘い続ける少女亜也の日記」 [文庫] 木藤 亜也 (著)  2014.2.12読了 。

「神様、病気はどうして私を選んだの?」 恐ろしい病魔が15歳の少女亜也の青春を奪う。友達との別れ、車椅子の生活、数々の苦難が襲いかかる中、日記を書き続けることだけが亜也の生きる支えだった。「たとえどんな小さく弱い力でも私は誰かの役に立ちたい」 最期まで前向きに生き抜いた少女の言葉が綴られた感動のロングセラー、ついに文庫化。



小説じゃなくて日記だからこそ、こころの奥にしみてくる言葉。真っ直ぐな思い。リアルな感情。だから、後半に読みすすめていくうちに、胸の痛みは増していく。
みんな、読んだ人は思うと思うんだ、五体満足でありながら、不平ばかりを口にして、毎日漫然と日常を生きている自分が恥ずかしいと。亜矢ちゃんはこんな状態でも、不平不満を口にせず、つらくてもがんばりやさんで、人に感謝し、人の役に立ちたいと望んでいた。それを思うと、今の自分がたまらなく嫌になるんだ。だから少しは、ほんの少しでも、この本を読んだ後、人の役に立ちたいと思った。
この日記は20才が最後になっている。彼女がなくなったのが25才だから4年から5年文字が書けない状態だったのだろう。この間が本人もご家族もほんとに辛かっただろう。そのことを思うとまた胸がいたむ。