ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「絶叫」 葉真中顕

2022年06月27日 15時53分13秒 | 作家 は行
絶叫 (光文社文庫) 2022.6.27読了。
葉真中 顕 (著)

マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!




いろんな要素を詰め込んだエンターテインメント。主人公はどちらか?鈴木陽子か女刑事か。どう転ぶんだか先が気になって、ガシガシ読み進めた。女の人生の幸福とはなにか?ほんと何が幸せで、何が不幸だなんて本人にもよくわからないんじゃないかと思わされた。これは転落の物語なのか?それとも、、、ただ読み終わったときに「絶叫」はしなかった。8点。



「連続殺人鬼カエル男」 中山七里

2022年06月13日 15時53分58秒 | 作家 な行
連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫) 2022.6.10読了。
中山七里 (著)

マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは?どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。



どんでん返しものの多くは、後半だけが面白く、程度の差こそあれ途中までだらだらと読み進めるものも多いが、これは違う。ちゃんと序盤から物語に没入できる。主人公やその上司など、キャラもたっていて、一人の若い刑事の成長物語としても面白い。もちろん最後はどんでん返しの連続でほんとに最後まで気が抜けない。7点。

「だれかの木琴」 井上荒野

2022年06月03日 15時19分41秒 | 作家 あ行
だれかの木琴 (幻冬舎文庫) 2022.6.3読了。
井上荒野 (著)

主婦・小夜子が美容師・海斗から受け取った、一本の営業メール。それを開いた瞬間から、小夜子は自分でも理解できない感情に突き動かされ、海斗への執着をエスカレートさせる。明らかに常軌を逸していく妻を、夫の光太郎は正視できない。やがて、小夜子のグロテスクな行動は、娘や海斗の恋人も巻き込んでゆく。息苦しいまでに痛切な長篇小説。



この主人公たち気に入らない。夫婦の倦怠期をストーカーらしき行為で穴埋めするみたいな、犯罪を犯すわけでもなく、夫婦喧嘩するでもなく、誰でもいいような顔もよく覚えていないような美容師に執着しているようなストーカーのまねごとをして、夫の気を引こうとする。夫は夫で何でもかんでも見なかったこと、なかったことにして、女を外で買ってその残像で次回の妻とのセックスを乗り越えようと考えているような奴だし。家にその美容師と彼女に怒鳴り込まれて、一応、その美容師へのストーカー行為は止まったみたいだけど、最初からこの美容師のことなんかどうでもいいんだからそりゃーそうだよね。おかげでこの美容師は彼女と別れたみたいだけど、いい迷惑だ。で、今度は性懲りもなく夫の同僚にストーカーのまねごとを始めたみたいですよ。ほんと暇で金に困っていないっていうのも困ったもんなんだね。まあ、いずれにせよ退屈せず最後まで読めたし、小説としては不快だったけど何も残らないようなものよりは良かったんだろうね。なんか腹立つなぁ。6点

「リピート」 乾くるみ

2022年06月02日 15時13分59秒 | 作家 あ行
リピート (文春文庫) 2022.6.1読了。
乾 くるみ (著)

もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。



いやー、参りました。設定が大好物なんでまずはずれはないとは思いましたが、予想をはるかに超える面白さでした。ミステリー、SF小説、RPGゲームなんかをごちゃまぜにしていいとこどりしたようなエンターテインメントだと思った。8.5点