ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「教団X」 中村文則

2023年10月17日 15時51分54秒 | 作家 な行
教団X (集英社文庫) 2023.10.16読了。
中村 文則 (著)

突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国の根幹を揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、そして光とは何か。
宗教、セックス、テロ、貧困。今の世界を丸ごと詰め込んだ極限の人間ドラマ! この小説には、今の私たちをとりまく全ての“不穏"と“希望"がある。



2つの教団と、アフリカの原始宗教過激派、公安警察。それと主な登場人物たち。これがバラバラにまとまりなく進行していくお話し。読んでいて非常にまとまりを感じない。小説としての一体感がたりない。素粒子論とビッグバンを中心とした世界観や宇宙観なども主要なコンテンツとして出てきて、ますます混沌とする。ま、それでつまらなかったとはならないんだから大した小説なのか?どうなんだ?5点。

「奇想博物館」 日本推理作家協会 (編集)

2022年11月24日 19時25分31秒 | 作家 な行
奇想博物館: 日本ベストミステリー選集 (光文社文庫) 2022.11.24読了。
日本推理作家協会 (編集)

予想を裏切る『至宝』の数々!驚きのトリックに、思いがけぬ結末。ミステリーの醍醐味を詰め込んだ豪華アンソロジー!



いろんな作家さん(15人)の短編が一冊で読めるアンソロジー。新たな作家さんとの出会いを求めて読んでみるが良かったのは宮部みゆきさんの「野槌の墓」、湊かなえさんの「長井優介へ」であった。(ミステリーだけじゃなく、いろんなジャンルが詰まっています)5点。

「苦役列車」 西村賢太

2022年10月04日 15時15分15秒 | 作家 な行
苦役列車(新潮文庫) 2022.10.1読了。
西村賢太 (著)

私小説の逆襲。芥川賞受賞作!
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)




卑屈なんだけど、最終的には必ず相手を罵倒する。感情移入なんていらないんだ純文学なんだからの芥川賞!5点

「テミスの剣」 中山七里

2022年07月20日 14時54分32秒 | 作家 な行
テミスの剣 (文春文庫) 2022.7.19読了。
中山七里 (著)

豪雨の夜の不動産業者殺し。
強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。
だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。
隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、
最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった!
どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。



司法国家とは? 国家権力とは? 司法が腐敗していて、自己保身しかない警察のくだらない足の引っ張り合い、冤罪ってなくならないわけだな。何時自分がやってもいない事件で逮捕されてしまうかもしれない。そう思うと恐ろしい。途中のストーリーもどんでん返しも良かった。渡瀬警部の足跡が知れてちょっと得した気分。6点

「連続殺人鬼カエル男ふたたび」 中山七里

2022年07月11日 16時24分32秒 | 作家 な行
連続殺人鬼カエル男ふたたび (宝島社文庫) 2022.7.10読了。
中山七里 (著)

凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。十ヵ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男の報復に、渡瀬&古手川の刑事コンビもふたたび動き出す。さらにカエル男の保護司だった有働さゆりもアクションを起こし……。



渡瀬&古手川コンビにふたたび会えたのはうれしかったが、ハードルも上がっちゃってるし、前作の方が数段良かったなぁ~。5点。

「連続殺人鬼カエル男」 中山七里

2022年06月13日 15時53分58秒 | 作家 な行
連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫) 2022.6.10読了。
中山七里 (著)

マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは?どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。



どんでん返しものの多くは、後半だけが面白く、程度の差こそあれ途中までだらだらと読み進めるものも多いが、これは違う。ちゃんと序盤から物語に没入できる。主人公やその上司など、キャラもたっていて、一人の若い刑事の成長物語としても面白い。もちろん最後はどんでん返しの連続でほんとに最後まで気が抜けない。7点。

「緩やかな反転」 新津きよみ

2022年05月30日 13時10分09秒 | 作家 な行
緩やかな反転 (角川文庫) 2022.5.30読了。
新津 きよみ (著)

亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた! 加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。



いやー、面白かった。どうなるのか先が気になって気になって、ページをめくる手が止まらず、ほぼ徹夜。こんなこといつ以来だろう。最初から最後まで面白いなんてスゴイ。9点。

「男役」 中山可穂 読了!

2018年07月14日 14時16分01秒 | 作家 な行
男役 (角川文庫) 2018.7.14読了。
中山 可穂 (著)

トップ就任後二日目に舞台事故で亡くなった50年前も伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、新人公演に大抜擢された永遠ひかるに待ち受ける試練と奇跡とは―。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて愛と運命の業を描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。



最初はどうなることやらと思ったけど、そこは作者さんを信じてほっぽったりしない。後半加速して引きずり込まれて、感動のフィナーレへ。愛と喝采の物語。でも、やっぱものたりなーい。…6点。(自分的には宝塚はもう結構です)

「ゼロ・アワー」 中山可穂読了!

2017年10月05日 23時16分37秒 | 作家 な行
ゼロ・アワー 単行本 2017.10.4読了。
中山可穂 (著)

殺し屋に家族全員を殺され、ただ一人生き残った少女は復讐を誓う。その男にたどり着く手がかりはタンゴとシェイクスピア。東京とブエノスアイレスを舞台に、“ロミオ”と“ハムレット”の壮絶な闘いが幕を開ける。アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた復讐劇はどこへ向かうのか?タンゴのリズムに乗せて破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。美しく、激しく、圧倒的な切なさが胸を撃つ、著者新境地のノワール長篇。



ハードボイルドだ。心臓をつかまれるようなヒリヒリする恋愛小説(そんな恋愛小説は中山可穂しか書けないだろうけど)もいいけど、そういえば、この手の小説も文体からして、ぴったりだ。
スピード感があり、読む手が止まらなくて、もったいなくもあっという間に読み終えてしまった。
この小説に出てくる人間の孤独も冷徹さも、ストイックさも、猫も、シェイクスピアも、タンゴも、全部含めて中山可穂以外のなにものでもない。また、新刊が読めて良かった。…8点。

「娘役」 中山 可穂読了!

2017年01月10日 15時40分12秒 | 作家 な行
「娘役」 単行本  2017.1.9読了。
中山 可穂 (著)

宝塚の娘役と、ひそかに彼女を見守り続ける宝塚ファンのヤクザの組長。決して交わるはずのない二人の人生が一瞬、静かに交差する――。
宝塚歌劇団雪組の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの先輩・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長とバラキとのコンビ愛。そんな彼女をひそかに遠くから見守り続ける孤独なヤクザ・片桐との、それぞれの十年をドラマティックに描く。『男役』に続く、好評の宝塚シリーズ第二弾。



最近の中山さんの作品にしては、薄っぺらい。物語は単純。
しかし宝塚歌劇団が舞台の小説なんて中山さんの本じゃなければ読むこともなかったろう。宝塚歌劇団独特の事情なども書かれていて、その点では興味深かった。…5点