That's awesome

海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

THIRD STAR その10

2016-09-17 00:26:22 | 僕が星になる前に
Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。

ラストはオリジナル脚本でいってみましたがSivell文章、難しい・・・
映画にはない場面がありますが、スチールで公開されている場面もあるので
撮影はしたけど削除したのかもしれません。



その夜、今までとはくらべものにならないほどの壮絶な痛みがジェームズを襲います。
ジェームズは何とかデイヴィーを呼びますがモルヒネの入ったバッグがない事にデイヴィーが気づき、
ビルはマイルズと探しに行きます。
息もできないほど苦しむジェームズにただそばにいる事しかできないデイヴィー。


暗闇をライト一つで探し出したビルとマイルズがテントに戻るとすぐにモルヒネを飲ませます。
ジェームズの表情はすぐに和らぎましたが、その痛みはジェームズの体力をかなり消耗させました。

夜明け前。
テントで仮眠しているデイヴィーをマイルズが起こします。


テントにジェームズがいませんでした。
マイルズに尋ねると波打ち際までデイヴィーを連れていきます。
そこにはビルに支えられたジェームズが座っていました。
ジェームズはビルに頼んで連れてきてもらっていました。


ジェームズはひどく弱っていました。
彼らは月明かりに照らされたバラファンドル湾を見ていました。
あたりはクジラたちが交信する音に包まれ、静かな水面を打ち破り息継ぎをしています。
彼らはお互いに顔を見合わせ笑いますが無言でした。


ジェームズをその場に残し3人はテントの近くのたき火を囲んでいました。
彼らは夜の出来事に打ちのめされていました。
海を見ていたマイルズはビルに視線を移します。
ふたりはしばらくの間お互いを見つめ、気づいたデイヴィーも彼らを見ます。
マイルズはゆっくりとビルに頷くと再び海の方を見ます。
ビルはデイヴィーを見て、それからたき火を見つめます。
(あんな苦しみをこれ以上味合わせる事などできない、3人は決心しました。)

ジェームズはひとりで海岸に座っています。
寄せては返す波に海がきらめいていました。


3人はジェイムズを見ていました。
ジェームズがゆっくりと彼らの方を振り返ると笑顔を見せます。

早朝、ビルは立ち上がると目に涙をためながらジェームズに歩み寄ります。

J:僕たちまた会えるような予感がするんだよね。
B:俺たちはフリッカーライトの中で舞ってるただのチリだけどな。
J:元気でね、ビル。

微笑んだビルの頬を涙が伝います。ジェームズは心からの笑顔を見せます。

B:俺、震えてる・・・止められない。
J:ビル、ビル!・・・お前は強い男じゃないか!またすぐに会えるよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。


デイヴィーが来ます。彼はショックを受けていました。
D:こんなの無理だ。
J:キツイよね。でもお前も言ってたじゃないか。来て良かったって。
状況を考えればそれだけでもすごく価値があったんだよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。けれどデイヴィーはジェームズを見る事ができません。
J:お前に愛される人たちが僕は羨ましいよ。


ジェームズはマイルズを見ます。

J:ありがとう。

顔を見合わせながら笑いますが次第にその笑顔は消えていきます。
その顔は幼く、そして脅えているようでした。

M:やるんだったらうまくやれよ。

突然、ジェームズから恐怖心が消えました。彼は笑って、そして海に向かって慎重に歩きます。
J:ここにいるとお前らも風邪をひくぞ!

ジェームズは海に入り浅瀬を泳いでいきます。
デイヴィーは泣き叫びながら首を振っています。
ジェームズは彼らを振り返りながら周りをゆっくりと見渡し泳ぎ始めます。


マイルズがポケットの中身を探るとわずかなコインと白い羽が出てきました。
彼はそれを見ると意を決したように投げ捨て海に向かって走り出します。

ビルがあとに続き遅れてデイヴィーも追いかけます。
ジェームズに追いついたマイルズは彼のすぐ近くを泳ぎ、反対側にはビルがいました。
泳ぎの苦手なデイヴィーは後方にいます。
ジェームズは嬉しそうでした。彼らは静かに泳いでいきます。


突然、デイヴィーがもがき始めます。
ジェームズたちは、何をふざけてるのかと顔を見合わせましたが
デイヴィーが本気で溺れているのがわかりビルが慌ててデイヴィーを救けにいきます。

その様子を見ていたジェームズとマイルズ。
ビーチに引き返すふたりに「ごめんね。」とジェームズ。



M:デイヴィーが先に死ぬとこだったぞ。

ジェームズは笑いますが突然苦しみだし浮いていることが出来なくなったので、
マイルズは自分の方へジェームズを引き寄せます。
落ち着きを取り戻したジェームズはマイルズの腕をほどき、立ち泳ぎをします。

彼らは少しの間、見つめ合います。
ジェームズの体力は消耗しきっていましたが力を振り絞ると自ら沈んでいきます。
マイルズはどうしていいかわからずにいました。彼はビーチにいるビルとデイヴィーを見ます。
そして上昇してくる気泡を見ます。静かでした

突然、ジェームズは水面から飛び出すとあえぎながらマイルズに手を伸ばしマイルズが手を取ります。
彼らは見つめ合い、そして笑います。しかし次第に笑顔が消えてきます・・・


M:お前のせいで今回の旅が台無しだよ。家に帰ろう?頼むよ。
ジェームズは悲しそうに首を振ります。
J:すまない。もし無理ならそう言ってく。
僕は出来る限り泳ぐ・・・できればひとりではなく一緒にいてほしいけど。
:ジム。俺は人とは違うんだと言ってるけど、そんな振りをしてるだけなんだ・・・
ジェイミー・・・見せかけてるんだよ。俺は怖い。何もかもだ。俺を気に掛ける奴なんて誰もいない。
J:マイルズ・デヴィッド・へクター・クラベル、お前は誰よりもすごい男だ。
お前にはヒーローの資質が備わってるんだ。逃げ出す奴じゃない。

マイルズは息ができませんでした。
ジェームズは彼にはできないのだろう事を見てとりますが何とか失望感を押し殺します。
J:マイルズ、お願いだ。これをやるのは恐ろしいかもしれないけど僕にとっては素晴らしい事なんだ。
ジェームズの頬に涙が流れ落ちます。ジェームズは深呼吸をします。震えで浮かんでいることができなくなっていました。
J:マイルズ!


マイルズは彼をしっかりと支えます。彼らはじっと見つめ合います。限界でした。
ジェームズは疲れ果て弱り切っていました。彼はビルとデイヴィーを見ます。
海を見て、そして空を見上げます。彼は解放されたように笑います。


彼はマイルズを見ます。マイルズも彼を見つめ続けています。
彼が身をこわばらせているのがジェームズにはわかりました。
彼らは熱い視線を交わし続けています。

J:我々は誰もが皆、夢を紡ぎながらこの短い人生を生きているのだ・・・
M:それは俺の父の最後の言葉じゃないか。
J:うん。お前の本を読んだから。

マイルズはわずかに頷きます。
彼はジェームズの肩をつかみ、そしてお互いを見つめます。


J: Godspeed

※Godspeedはアポロ計画の時に管制官が宇宙飛行士に贈った言葉で、
成功を祈る、とか幸運を祈る、とかそんな意味の言葉だそうです。

ダラダラとすみません。次で終わります。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うるうる~ (マラカイト)
2016-09-18 21:36:37
こんばんは
台風がやばいところを行こうとしてますね。
被害とかないように祈ってます。

さて、Third Starも大詰めですなぁ
もうね、ここいらへんは涙でぐちゅぐちゅでよく見えてなかったでしょうね。
で、dicoさんのスクショ画像がさぁジェームズとマイルズの思いのこもった顔を写してるでしょ
ジェームズの悲しそうで何故か満足気な表情とマイルズの真剣で現状をいまだに問うような表情がなんとも言えないですよね。
物語では、この薬を無くしてジェームズがあり得ないくらい苦しんだのを見て今まで入水反対だったみんなが考え直したんですよね。
製作者の方のブログを和訳されてた(多分セリさん)のを読んだときベネさんが演じたジェームズの痛みの叫びがしばらく耳から離れなかったみたいなのを読んであぁこれか…って、痛々しさが半端ないですもんね。
それと、今回読んでで思いだしたのがお祭りの時の天使小僧の羽がカーディガンのポケットから出てきたこと。
かなり心情をわしづかみにされちゃいましたね。
泳げないのにジェームズを追いかけて入水しちゃったディヴィーもオイオイって思いながら涙出ちゃうし
でもでも、本当の涙はこの後ですよね。いや、涙より鼻水だったかも・・・
返信する
Re.うるうる~ (dico)
2016-09-18 23:15:23
マラカイトさん
こんばんは。
体調はいかがですか?
台風は連休明けにこちらに向かってくるようです。
かなり大きな台風らしいですね。
ありがとうございますー!

このあたりのスクショは難しかったですが、そう言ってくださると嬉しいです。
そうなんですよね、ジェームズは吹っ切れているような表情に対して
マイルズはすごく葛藤している感じなんですよね。

ジェームズが今までとは比べものにならないくらいの痛みに襲われる場面、
いや、本当にあの場面のベネさんの演技が凄まじかったです。
あれを見たら、どうにかしてあげたいと思ってしまいそうですよね。
せりさんの和訳は私も昔読んだことがあります。すごく良い内容でした。

天使の羽、ここで出すんだーと感動しましたよ。
あの羽を見てマイルズが何を思ったのか、脚本には何も書かれていませんでしたが、
神が救わないなら俺が救ってやる!って言っているような投げっぷりでしたよね。
まさかあそこでデイヴィーが溺れるなんて、そこも意表を突かれましたが、
それでもジェームズのところに行こうとするデイヴィー(涙)
そうなんです、本当の涙はこの後です。
私も涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった記憶が・・・
返信する
既に涙が… (Misty)
2016-09-19 19:09:59
こんばんは。
ここ、更新されて割とすぐに読んだのですが、もう見てるだけで涙が出てきちゃいましたね。映画でも悲しかったんですけど、ひとつひとつの表情をじっくり見せてもらうと、余計に胸に迫るものがあって…マイルズ、あんな表情してたんですね。映画にはなかったシーンがどこかも気になるので、やっぱり見直すべきかなぁ…と思ったりもしますが、気合いがいりそうです。

マイルズとの関係、なんというか、“特別な感情”といっても、恋愛感情と呼んで片付けてしまうことはできないものな気がします。反発しながらも認め合う、自分にはない何かを羨望したり、でも強く惹かれる…とか、うまく言えないですけど。マイルズが誰にも言わなかった本音というか弱音を漏らすのも、そんな関係性に究極の状況が重なったからこそかな・・・と。そんなマイルズの本音に、自分も精いっぱいの本気のはげましを返して、ジェームズはそれで満足できたのかも。

最後の方、よく覚えていないのですが(辛すぎて消去されちゃったんでしょか・・・)、覚悟を決めつつお待ちしています。でも、ホントに私はいい作品だと思うんですけど。評判あんまり良くなかったんですか、これ?最後があんまり辛いからでしょうか…



返信する
Re.既に涙が… (dico)
2016-09-19 19:52:21
Mistyさん
こんばんは~、いつもありがとうございます!

実は私、ノベライズの意味をちゃんと考えていなくて・・・
やっとノベルとizeって事か、と今更ながら理解しています。遅・・・
同時に日本のノベライズの原作にあたるものを探しましたが、無かったんです。
という事はオリジナル脚本と映画で組み立てたんですね。
そうなるとオリジナル脚本のラストがどうにも気になってしまい、
結局、ペーパーバックを購入してしまいました(笑)
何が言いたいかというと、ジェームズがマイルズに思いを寄せているような、
そんな表現は無かったので、ノベライズを書いた方がそう捉えたのかなあと。
もちろんノベライズもそのあたりはボカシているので、
最終的には読者がどう捉えるかになりますが。
だからMistyさんの仰るように、恋愛感情では片付けられない、
お互い自分にはないものに惹かれあい、反発しながらも認め合うのが正解かもしれません。
マイルズは実際、父親がいない今はお前が唯一認める奴だと言ってましたし。
そう考えるとノベライズを書いた方はジェームズの複雑な感情をわかりやすく表現したのかもですね。
そして、最後にマイルズは誰にも言わない弱音を明かしたのですから、
確かにジェームズは満足だったんだと思います。
何かいいですね。
こういう友達以上恋愛未満の関係に弱いんですよ、私。

ラスト、消去しちゃったんですか(笑)
確かにあれは私も未だに直視できないです。
脚本には後日談のような場面があったのでそれも入れてみましたが
少し救われるようなラストかな?と思います。

評判が良くないのってこの映画ってショートフィルムな事もあって、
時間的にいろいろ端折ったせいかな、と思ったりもするんです。
そのせいで余計に救いのない終わり方になってるし。
でも美しい風景と彼らの心情がよくマッチしているし、いい映画だと私も思います~
返信する

コメントを投稿