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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

Band of Brothers Part Eight 捕虜を捉えろ 後編

2013-09-18 12:14:24 | Band of Brothers
原題;Last Patrol


続きです。これで終わります。


マーティンが昨夜の報告をウィンターズさんにします。

「ジャクソンが自分の投げた手りゅう弾で負傷。死亡しました。」
それを聞いたウィンターズさんの表情が悔しそうです。

「君に責任はないぞ」と、マーティンに言います。

そしてまた今夜も斥候があると聞き重い空気の漂うE中隊。
苦しかったバルジの戦いが終わり戦況が好転してきた今は「生きて帰れるかもしれない」そんな思いが
隊員たちの中に芽生えてきたこともあり、こんなところで死にたくないと思うのかもしれません。


ウィンターズさんとニクソンが対岸を見つめています。
「捕虜は口を割ったよ。補給問題やヒトラーの好きな色、大した情報は持っていなかったよ」
そう話すニクソンに「では、なぜ今夜も斥候に出すんだ」と言うウィンターズさん。
「シンク大佐は自慢したいだけだよ。斥候に成功したから今夜もやらせるんだ」とニクソンが言うと「成功か・・・」とため息。
などと話しているとシンク大佐が現れました。
「隊員たちに誇りに思うと伝えてくれ」

ウィンターズさんが今夜の斥候の説明をしに隊員たちの待機場所に来ました。
斥候のメンバーは昨夜とほとんど変わりません。
地図を広げながら「今夜は更に奥のこの場所に襲撃する」などと真面目に説明しています。

「作戦変更は?」とマーティンが聞きますが「無いよ」ときっぱり言います。
「出発は昨日と同じ場所。ただし時間は01:00から02:00に変更する」

「わかったら朝までよく眠るように」
「?」な顔の隊員たちに更に言います。
「明朝、私に報告しろ。川を越えて敵陣に入ったが捕虜は取れなかったと」
ぽかーんとしている隊員たちに「分かったな?」と確認し「明日は前線を離れる」と最後まで真面目な顔で部屋を出ていきます。

ひと呼吸おいたあと実感が湧いたのか隊員たちはやっと笑顔になりお互い握手して喜びます。
しかも前線からの解放のおまけつきです。
ジョーンズも何となく薄っすら笑顔です。「なるほど」とでも思っているんでしょうか。

良い上司が手本で良かったね、ジョーンズ君。

大した成果もなく必要でもない斥候に大事な部下たちを出すのを一番怒っていたのはウィンターズかもしれません。
ニクソンが「新戦法だな」などとからかっていますが「俺が大佐にうまく報告しておくよ」なんて嬉しそう。


次の日
指揮所ではラズが物資の仕分けをサボりながら向かいの部屋を一生懸命見ています。

部屋からはウィンターズさんの声が聞こえてきます。
「リプトン軍曹。今日から軍曹の任を解き少尉に任命する」

リプトンの昇進が正式に決まりました。
ニクソンもハリー(戻ってきたんですねー)もみんな嬉しそうにリプトンを囲みます。
ラズも嬉しそうです。
バストーニュでの雨のような爆撃の時にリプトンと一緒にタコツボに入り凌いだ仲です。
その時目の前に落ちてきた不発弾に固まりながらも運の良さを実感した2人でした。
あの時リプトンは初めてラズから煙草をもらって吸っていましたね。
リプトンもちらっとラズの方を見て微笑みます。

続けてウィンターズさんはジョーンズに中尉への昇進が決まったことを伝えます。
連隊付きなのでジョーンズは異動になります。

ラズが「また小隊長不在になるのか」とぼやきますが、それを見ていたウェブスターは少し嬉しそうでした。

「おっと忘れてた」
ニクソンがそう言いながら小さな四角い箱をウィンターズさんに渡します。
「プロポーズですか?ニクソンさん」一瞬そう思った私はそうとう腐ってます。。。ごめんなさい。

箱の中はもちろん指輪ではなく階級章でした。
ウィンターズさんはいよいよ少佐に昇進します。

ハーゲナウからアルザスに向かうためトラックに向かうウェブスター。
トラックの前ではジョーンズがマーティンたちとお別れをしていました。
ウェブスターと目が合うと頷きながらジープに乗り込みます。

ウェブスターもジョーンズを見送ったあと第2小隊のトラックに乗り込もうとした時、
リーブゴットが手を差し伸べてきました。

ウェブスターはやっと仲間に戻れたようです。

最後はウェブスターの独白で終わります。
「故郷のものに兵士の苦しさがわかるだろうか。アメリカはすでに平和ムード。
競馬やナイトクラブが賑わいマイアミにも客が溢れていた。兵士たちの苦痛と恐怖など想像できまい。
ノルマンディやバストーニュを知らない者には」


E中隊が参加したヨーロッパ戦線はイギリスからフランス、オランダ、ベルギーへと続きました。
間もなく彼らはドイツへと進軍します。


Band of Brothers Part Eight 捕虜を捉えろ 中編

2013-09-11 12:21:32 | Band of Brothers
原題;Last Patrol


前編の続きです。

ウェブスターとジョーンズは砲撃を潜り抜けながら第2小隊のいる家に向かいます。
小隊長はまだ決まっていなかったのでウェブスターはひとまずマラーキーに紹介します。

そこでジョーンズは今夜の斥候の話をします。
その話を聞いていたリープゴットたちはマラーキーがここの状況をジョーンズに説明している隙に
ウェブスターを呼び斥候隊に誰が出るのか聞き出します。

最初はトボけていたウェブスターですがあっさりバラしちゃいます。
第2小隊からはへフロン、ラミレス、マクラングの3名が選ばれました。
と、同時にマラーキーがみんなに向かって斥候隊の話を始めます。
後ろでジョーンズが「私から話す」と言っていますがマラーキーは構わず話し続けるのでジョーンズ君、苦い顔です。

食料などの補給が届きました。
そしてシャワータイムです。マラーキーが順番を待っているとリプトンがやってきてマラーキーに耳打ちします。
「わかったな?」とリプトンは確認するとマラーキーは頷きながらも肩を落とします。
マラーキーは第2小隊を集めリプトンから指示されたことを話します。

斥候隊の指揮はマラーキーが執る事、そして斥候隊にはグラント、リーブゴット、ウィン、ジャクソン、シフティ、
そしてウェブスター、つまり第2小隊は全員メンバーになっていました。

隊員たちはみな不満タラタラでしたがその中でもマラーキーは親友たちを失った上に休みも無くかなり弱っているようでした。

そこでウェブスターは斥候に行きたがっているジョーンズにひとつ提案をします。
「マラーキーはかなり参っているのでマラーキーの代わりに行けばどうですか?将校はひとりもいないんだし」
ジョーンズはとりあえずマラーキーに承諾を貰い、ウィンターズさんに直訴することにしました。

マラーキーはもちろん快諾しました。あとはウィンターズさんのお心ひとつです。

届いた物資をラズが仕分けしています。
それを見ながらマーティンがチョコ10個くらいくれよーとおねだりしています。
「数がないんだよ」とラズが諌めているとリーブゴットたちもわらわらと寄って来ちゃいました。子供かよ。
彼らのじゃれ合いはホントに可愛いいです。仲良しなんだね。


ジョーンズがウィンターズさんに再度お願いします。
君に指揮は無理だと隣にいたスピアーズさんにも言われちゃいましたが、引き下がりませんでした。
「マラーキーには休養が必要です。彼は交代してもいいと」結局ジョーンズのこの言い分に一理あると許可されました。


17:00
指揮所で斥候の説明が行われるため集まっています。
マラーキーの代わりにマーティンが加わり指揮をすることになりました。
今回襲撃するのは指揮所と思われる建物で、4名が襲撃し後の者は援護にまわります。
襲撃後、捕虜を確保した後爆弾を仕掛けて退却します。
マーティンが襲撃メンバー4名を選抜しドイツ語の通訳としてウェブスターを指名します。
「話せるな?」と聞かれたウェブスターは「少しなら」と答えます。

ウィンターズさんたちが去った後リーブゴットが「ウェブスターは俺と同じくらいドイツ語できるじゃん」と毒づいています。
リーブゴットはユダヤ系の移民なのでドイツ語を話せます。
その言葉にウェブスターはウィンターズさんのところに行きドイツ語話せる隊員はひとりでいいのでは?と話し、
ウィンターズさんはリーブゴットをメンバーから外すことにしました。苦労するねーウェブスターも。

それから、作戦開始の01:00まで隊員たちは食事をしたり武器の手入れをしながら待機しています。
川の向こうには今夜襲撃する建物が見えていました。

15名が川を渡り捕虜を確保して退却するうまくいけば10分ほどで終わる作戦でしたが、
どんな作戦でも失敗すれば負傷者や死者も出る可能性があります。

01:00
作戦開始です。15名がボートに乗って川を渡ります。

マーティンの指示の元、暗闇の中迅速に建物に近づいていきます。
窓の下から撃ったマーティンの手りゅう弾が爆発し、さらにジャクソンが手りゅう弾を投げ込むと爆発を確認しないうちに
家の中に入ろうとしました。「ジャクソンまだだ!」マーティンが叫ぶと同時に爆発が起こりジャクソンが倒れます。

ウェブスターとマーティンがすぐに建物に入るとドイツ人が3人いましたがひとりは爆発で重傷を負っていたので
2人を捕虜として連れていきウェブスターが爆弾を仕掛けジャクソンを担ぎながら退却します。
マーティンのリーダーシップもすごいです。
ジョーンズが懸命に合図の笛を吹き対岸からの大隊の援護射撃も始まります。
ドイツ側の攻撃と大隊の援護射撃の砲弾が飛び交う中ボートに乗り込み対岸へ渡ります。

ジャクソンは重傷でした。
今回初参加のヴェストが「殺してやる!」と捕虜のドイツ人に飛びかかろうとしますがジョーンズが止めに入ります。
「殺したら苦労が水の泡になる!」ヴェストに掴みかかり怒るジョーンズくん、頑張っています。

ユージーンが到着しジャクソンの治療をします。
ジャクソンにライターの火を見るように言い、状態を見た後「診療所に運んで」と担架に乗せます。

運ぼうとした時ジャクソンは急に暴れ「死にたくない」と言いながらやがて息を引き取りました。

年齢を偽り16歳で入隊したジャクソンはこの時20歳でした。

後編に続きます。



Band of Brothers Part Eight 捕虜を捉えろ 前編

2013-09-04 12:19:38 | Band of Brothers
原題;The Last Patrol



前回のエピソード7でフォアを陥落した後ノヴィルの教会の場面になりましたが、実はノヴィルでも厳しい戦いがありました。
ドイツ軍は虎の子の戦車隊をドイツ国内に撤退させようとしていたのでその退路を断つためでした。
E中隊はまたしても林を抜け野原を突っ切るという作戦で戦いました。
今までで一番厳しい寒さだったとウィンターズさんは回想しています。

そうしてノヴィルからラシャンプまで戦い抜きラシャンプの教会で休息しているのが前回の最後の場面です。
ここでやっと彼らの長く厳しかったバルジの戦いが終わります。
この戦いで彼らは伝説になりました。

しかしこの戦いで多くの隊員が戦死し或は負傷しトコア基地からの隊員はわずかになっていましたが、
バストーニュで傷を負わなかった者はいないとウィンターズさんは言います。
身体が無傷であっても誰もが苦しみ傷を負っていたと。

隊員のひとりはこう言います。
「一番恐ろしいのは死ぬことではなくこの戦いにこの苦しみに何の意味も持たなくなる事だよ」
これはアメリカに限らず日本やドイツ、他の国の兵士誰もが思う事ではないでしょうか。
彼らは愛する人や愛する自国を守るため、そのために苦しい戦場に身を置き懸命に闘っていたのだと思います。
結果がどうであれ自国の戦士に対する感謝する気持ちを忘れないようにしたいですね。

ラシャンプではE中隊は休暇を取る予定でしたがドイツ軍が戦車などの救出のためアルザスで陽動作戦を決行することになり、
E中隊もアルザスまで出動することになりました。

エピソード8はアルザスの途中、フランスのハーゲナウから始まります。
そして今回の主役はウェブスターくんです。エピソード4で負傷したため中隊から離れていました。

ウェブスターは本来かなりのエリートで読書家で随筆家でもあったため原作では度々ウェブスターの日記から引用されていました。
また、本人は隊にあっては最後まで昇進を拒み一介の兵士を貫き、お父さんも政治的に影響力を持つ人物だったため、
幾度となく帰国するように言われましたがそれも拒否しE中隊にいることを望みました。

そしてもう一人の主役がヘンリー・ジョーンズ少尉役のコリン・ハンクスで彼はこのドラマの制作に名を連ねている
トム・ハンクスの息子さんです。

色白でお肌もつるんとしていて見るからに育ちのいいお坊ちゃんです。
コリンはこの後ちょこちょこドラマや映画に出演していますがあまり目立った活躍はしていないような気がします。
うーん、やはり偉大な父を持つと難しいのでしょうか。

そしてヘンリー・ジョーンズは士官学校をD-dayの日に卒業しました。あのアイゼンハワーの息子と同期になります。


前置きが長くなりましたが本題に戻ります。ウェブスター復帰から始まります。


1945年2月9日。
ハーゲナウでは対岸から砲声が響いていました。
復帰できて嬉しいウェブスターは第1小隊に合流しようと笑顔でマーティンたちのいるトラックに乗り込もうとしますが、
うちより第2小隊の方が人が足りないからそっちに行ってね、と冷たくされてしまいます。

それでも気を取り直して第2小隊のトラックに行きますが、やっぱりみんな暗いです。
バストーニュで地獄を見たのに休みも取れずにいたので彼らは疲れ果てているようでした。
第2小隊はコンプトンがリタイアしトイとガルニアも負傷していたのでマラーキーがまとめているようでした。

トラックに乗り込んだウェブスターは向かいに座っていたリープゴットに
「4か月も何してたんだ。病院はそんなに居心地良かったのか。」と言われちゃいます。
そこでウェブスターはバストーニュで沢山の隊員が戦死や負傷をした事、そしてバストーニュに参加していない自分が
溶け込める雰囲気ではない事を知ります。

気持ちはわかりますよね。
会社で、ものすごく忙しくて大変な時にずっと休んでいる人がいたとして、倒れる人続出の修羅場の中死ぬ思いでやっと
業務をこなし落ち着いた頃に休んでいた社員が何も知らず笑顔で戻ってきたとしたら、何も言わず歓迎できますか?
私はきっとできないでしょうねー(笑)やっぱり愚痴のひとつでも言いたくなってしまいます。心狭くてすみません。。。

対岸から砲弾が飛んでくる中ウェブスターはE中隊指揮所に中隊長のスピアーズに挨拶しに行きます。
ほとんど廃屋が並ぶこの町でもE中隊指揮所はかなり広く豪華な装飾がされていました。

リプトンは肺炎にかかっていました。
肺炎にかかった当初は軍医に入院を勧められるほど重症でしたがその時に滞在した部屋のひとつしか無いベッドを
スピアーズに使うよう命令され、尚且つ住民からりんごの焼き菓子とお酒をもらい何と一晩でかなり回復してみせました。
その時にスピアーズがウィンターズと連名でリプトンの昇進を申請し後にシンク大佐と面談をしています。

「第2小隊に入るよう言われました」ウェブスターがリプトンに告げると「今から配属を決めるからそこで待ってて」と言います。

その頃ウィンターズさんとニクソンは対岸を見つめながら斥候について話していました。
対岸に斥候隊を出し捕虜を取り情報を得るためでした。


指揮所では新しく配属されたジョーンズ少尉が挨拶に来ました。

この少尉も多分に漏れず経験もないまま出世のために配属されてきた将校でした。
スピアーズがどこからか戻ってくるとすぐにウィンターズとニクソンもやってきました。
「今夜斥候を出す」ウィンターズさんが言うとすかさずニクソンが「俺のアイデアじゃないぞ。シンク大佐の命令だ」

「川を渡って対岸に行き、そこにある3階建ての建物を襲撃する。人員は15名。慎重に選べ。通訳も必要だ」
そして「大隊が援護する。決行は今夜午前1時だ」
更にウィンターズとニクソンはスピアーズに安全を確保するように言います。ここで危険を冒すなと。

スピアーズはこうしてみるとやっぱりかっこいいですね~。マシュー・セトルと言う方なんですが、
ゴシップガールで活躍しているようです。今でもやっぱりかっこよかったです。

と、そこにジョーンズが「斥候に志願します」と言いだしちゃいます。経験値が欲しいジョーンズでしたが、
ウィンターズさんにあっさり無視されました。
スピアーズがリプトンと斥候隊の選出を始めたので再度チャレンジしましたが結局経験不足を理由にお断りされました。
そしてウェブスターと一緒に第2小隊に行く事になりました。


続きます。

Band of Brothers Part Seven 雪原の死闘 後編

2013-08-28 12:22:39 | Band of Brothers
原題:The Breaking Point


中編からの続きです。


その後元の陣地に戻りましたが、リプトンはコンプトンに続いて更に親友二人を失ってしまったマラーキーを心配します。
いつもマックやペンカラと一緒にいたマラーキーでした。
形見の十字架をじっと見つめて涙ぐむマラーキーにリプトンが話しかけます。

「お前、弟にルガーを持ち帰りたいって言ってたよね。処分しようと思ってたけどこれ。持って帰れよ。」
そう言ってリプトンがフーブラーのルガーを渡すと、マラーキーの表情が少し明るくなります。
「ここを離れてしばらく後方にいくか?」リプトンの申し出にマラーキーはみんなと一緒にいたいと断りますが、
「じゃ、せめてコンプトンにお別れを言ってこいよ」
コンプトンはアメリカに帰る事になったため、マラーキーはお別れを言いにいきます。

連続での砲撃は隊員たちに大きなダメージを与えました。
リプトンは隊員たちの様子を見ながら話しかけ、限界点に達していないか確認します。
フォイの侵略が近づいています。E中隊はその先鋒を担うことになるのに相変わらず指揮官は不在でした。
フォイの街を見下ろしながらリプトンはある決意をします。

その夜、リプトンはウィンターズさんに会いに行きました。
ダイクはいつも不在で役に立たないこと、決断を下さないので頼れない事、
そしこのままでは更に沢山の隊員が死ぬということを訴えました。

ウィンターズさんは黙ってリプトンの話を聞いていましたが、自分の考えを話すことはしませんでした。
やがてリプトンが話し終わると少し冷たいくらいに「下がってよし」と言うに留めました。
落胆したように立ち去るリプトンの後姿をじっと見つめるウィンターズさん。
ダイクは上層部にかなり強力なコネを持っていたのでウィンターズさんの発言でダイクを交代させることは不可能だったのです。


E中隊はフォアの西の防御線から退き村の南に移動しました。
攻撃の先鋒を担うE中隊は村に向けてゆるやかに下るおよそ200メートルの雪に覆われた野原を全身をさらして突撃します。
ドイツ軍はレンガ造りの家に隠れどの窓にでも機関銃を据えて応戦できることができる状況にありました。
つまり、工夫や複雑な動きなど一切不要でただ突進し手りゅう弾を投げられる位置まで接近し敵を家から追い出すことになります。
なのでいかに早く野原を渡りきるかが鍵になります。
隊員たちが頑として退かない覚悟で突進し援護射撃が十分であればきわめて単純に成功しますが、
少しでも立ち止まったら大きな損害が出ることは間違いありませんでした。
ウィンターズさんはダイクに作戦を伝えます。

「了解」ダイクの返事を聞いてウィンターズさんが立ち去るとあくびをするダイク。完全になめています。

援護射撃が始まりE中隊が野原を走り始めます。
「立ち止まるな」リプトンも叫びながら走り続けます。
左翼にはフォーリー率いる第1小隊がドイツ軍が潜む小屋にたどり着き、慎重に小屋を包囲しドイツ兵をあぶりだします。
しかし、ダイクからは第1小隊の姿が見えなかったので左翼が裸同然になってしまったと感じました。
そして、リプトンが懸念した通り最悪の命令を下します。
「E中隊、全員止まれ」
野原の真ん中でダイクはE中隊の動きを止めてしまいます。
後方で見守っていたウィンターズさんが「走れ、前進しろ!」と叫びますがダイクは干し草の山に身を隠します。

そして無線でフォーリーを呼び出しこちらにくるように命じます。
フォーリーは小隊を率いてダイクのいる方向に進みますがこの時点で陣形は崩れてしまい、ドイツ軍の格好の的になってしまいます。
身を隠したままのダイク。たどり着いたフォーリーやリプトンが「指示を出してください。このままではやられます」と迫り、
ウィンターズさんもダイクを無線に出せと命じますが、ダイクは固まったまま動かなくなります。

それを見たウィンターズさんは銃を持ち自分が乗り出す勢いで前方に進もうとしますが、
思い直して後方で待機していたスピアーズを呼びます。
「ダイクと交代しろ」
スピアーズは命じられるとすぐに野原を走り出し、ダイクのところにたどり着くと「交代します」とだけ告げ
隊員たちにテキパキと指示を出し始めました。

立て直したE中隊はやがてドイツ軍がひそむ家々の近くまでたどり着きドイツ軍の先にいるI中隊と
連携をとる手はずでしたが無線の応答がありません。
するとスピアーズがリプトンに「ここで待て」と指示すると、ドイツ軍に向かって走り出します。

ドイツ軍もまさか敵が自分達の前を通過するとは思わないので、あっけにとられたようにスピアーズに攻撃もしませんでした。
スピアーズはI中隊のところまでたどり着き作戦を伝え再びリプトンの待機するところまで戻ってきました。
硝煙が立ち込める中ひたすら走り続けるスピアーズは無敵のスーパーマンのようでした。
リプトンの顔には思わず笑みがこぼれていました。

E中隊は侵略に成功します。
家の中に隠れるドイツ兵を捕獲し、戦車の上ではみんなで記念撮影をしています。

しかし、突然銃声が聞こえ隊員たちが倒れていきます。隠れていたドイツ兵がいました。
すぐに身を隠し、ドイツ兵の姿を探しますがどこにいるかわかりません。
そこでリプトンがシフティに自分がおとりになるからドイツ兵が見えたらすぐに撃てと命じ、走り出します。
銃を構えるシフティはドイツ兵を目視するとすぐに仕留めます。シフティ久しぶりの活躍でした。


ノヴィル、ラシャンプと戦いに勝利した隊員たちはラシャンプの修道院に泊まります。
屋根のあるところで一夜を過ごすのは1か月ぶりでした。

讃美歌を聞きながら隊員たちは疲れた身体を癒しながらじっと讃美歌に耳を傾けます。
もうすぐ休暇の予定だったこともあって隊員たちは安らいでいました。
しかし、ヒトラーが反撃に出たので休暇は撤回されてしまいますがこの時はまだ誰も知らず平和に過ごしています。

リプトンは人員を調べます。
ベルギーに入った時は145名いましたが現在は63名になっていました。
コンプトンが去りトイやガルニアは重傷、フーブラー、マック、そしてペンカラが死亡しています。あ、ダイクも去りました(笑)
ここでE中隊のレギュラーメンバーがかなり減ってしまいました。寂しいです。
特にコンプトンは頼れるお兄さんで好きだったのでかなりがっかりです(笑)

無能なダイクは去りましたが代わりに有能な指揮官スピアーズを得ました。
リプトンはスピアーズをじっと見つめます。視線を感じたスピアーズは「噂が本当か聞きたいんだろう」と言い、
その手の噂はすぐ広まるんだよ、誰も現場をみたわけでもないのに、とローマの歴史を例えながら続けます。
リプトンは否定しないから広まるんですよ、と言うと「非情な男と思わせておきたかったんだろう」と返し思わずリプトンは微笑します。
そして「隊員たちは噂など気にしません。優秀な指揮官を得てみな喜んでいます」と伝えます。
「優秀な指揮官なら前からいるって聞いたぞ。激しい砲撃の中部下を支え士気を高め的確な指示を出した優秀な指揮官だ」
スピアーズの言葉に「何言ってるんだろう?」て顔をしながらじっと聞き入るリプトンにスピアーズはこれ以上ない優しい笑顔で
「君の事だよ。君が隊をまとめてきたんだ。」そしてリプトンの昇進が決まったことを伝えます。
リプトンは近いうちに少尉となることが決まりました。

この笑顔にはちょっとびっくり。役者って怖いって思った瞬間です(笑)スピアーズさんが女性に人気があるのがわかりますね。
そしてこの最後はちょっと泣けました。
リプトンの昇進もそうですが何より今までのリプトンの苦労がちゃんと上官にはわかっていたのが嬉しかったですね。
この昇進の申請はスピアーズがしましたがこれをウィンターズさんが承認しているので強力に後押ししたんでしょうね、きっと。
よかったねーリプトン。

以下、原作からの抜粋です。
厳しいバジルの戦いが終わろうとしています。
バストーニュで戦った者たちはすべて大きな苦しみを味わっていました。
彼らが戦い抜けたのは固いきずなで結ばれた兄弟の一団となったからでした。
あのフォア郊外の雪の中生きるか死ぬかの瀬戸際で彼らが結束を失わなかったのは先任軍曹のリプトンと
彼の仲間の下士官たちが統率と気概と団結を与えたからでした。
そして彼らの大半があのトコア基地の出身でした。
中隊長、将校たちそして隊員たちが新しく入れ替わっていく中でE中隊の精神が失われなかったのは下士官たちのおかげでした。
また第2大隊副隊長のウィンターズが事実上の大隊長を務めたことも大きかったようです。

エピソード8に続きます。

Band of Brothers Part Seven 雪原の死闘 中編

2013-08-21 12:13:37 | Band of Brothers
原題:The Breaking Point


続きです。



一時的にD中隊の配属されていた第1小隊ではD中隊長スピアーズの噂話をしていました。
「いう事を聞かない部下を撃った」「捕虜にたばこを勧めてそのあと全員撃ち殺した」
スピアーズの伝説は沢山あるようです。噂は尾ひれつきますからね。そんな話をしていたらご本人登場しちゃいました。

任務を確認した後「たばこいるか?」と真顔で聞くスピアーズさん。隊員たちが凍り付いていました。

1月3日
ウィンターズさんは、第1小隊を残し第2、第3をフォアの町を見下ろす古巣に戻ることになりました。
この頃第101空挺師団のほとんどの中隊は兵力が50パーセント以下になっていたので防御線を維持するために、
ほかの部隊の援助を必要としていたからでした。

先頭を進んでいた分隊が暗くなる前にたこつぼに帰ろうと野原を横切って近道をすることにし、
他の分隊も続きましたがドイツ軍はこれを見ていました。
林にはあたり一面砲弾が開けた穴があり砕け散った枝や木の破片があちこちに散乱していたのでドイツ軍が自分たちの
陣地に照準を合わせていたことを知ります。
命令するまでもなく隊員たちはたこつぼを強化するべく、作業を始めました。
と、そこに突然ドイツ軍の砲撃が始まります。

リプトンやコンプトンが「逃げろ!身を隠せ」と叫びます。
トイはたこつぼに入らず部下たちに退避を促していたため、砲撃が彼の頭上で爆発しひどい重傷を負ってしまいます。

ドイツ軍の砲撃は唐突に終わりました。E中隊が受けた攻撃の中でも最も激しい砲撃でした。
リプトンは「まだたこつぼから出るな」と叫びながら隊員たちの様子を見回ります。
ガルニアも「穴から出るなよ、出たら敵の思うつぼだぞ」とそこに留まりますが、
足がほとんどちぎれて動けないトイの声を聞きつけ助けに飛び出します。

立てないトイをひきずりながら連れ出している時に再び砲撃が始まります。
砲撃を一時中断すれば隊員たちは負傷者を助けにタコツボから出てくるので、そこを狙ってまた攻撃を開始する、
ドイツ軍の巧妙な作戦でした。
2人を見てとったコンプトンが助けに行こうとした瞬間、目の前で爆発します。
そしてまた砲撃が止まります。

リプトンがタコツボから顔を出しすぐそばにいたラズに無事を確かめているとダイク中尉が近づいてきました。
「ここを頼む。私は救助を呼びに行く」そう言うとすぐにそこから立ち去って行きました。

「なんて奴だ」ラズが思わずつぶやきますがリプトンはひたすら茫然としているようでした。
「あの時の彼の低音の美声が今でも聞こえてくるよ」後にリプトンはこう語っています。

指揮官が現場を放棄し、さらには将校が敵前逃亡したのです。

同じころタコツボから出たコンプトンは目の前の惨状に衝撃を受けます。
その時のことを原作には次のように書いてありました。
タコツボから出たときコンプトンはあたり一面が完全な修羅場になっているのを見た。
その中でも一番近くにいた負傷者が親友のガルニアとトイだった。
2人とも足がほとんどちぎれてだらんとしており、流れる血がまわりの雪を真っ赤に染めていた。
コンプトンは後方に向かって走り出した。走りながら衛生兵でも誰でもいいから助けに来てくれと叫び続けた。
中略
コンプトンは1944年6月6日、ブレクール・マノールで銀星賞を授与された。その後ノルマンディとオランダで2度負傷した。
12月17日から1月3日までドイツ軍との激闘にすべて参加してびくともしなかった。
しかし、自分の第2小隊が壊滅させられ二人の親友がずたずたにされたのを見たとき限界に達したのだった。


実際に、限界点の問題はかなり深刻である新任将校などは自分で手を撃ち抜き後送されていました。
ウィンターズさんはこう語っています。
「バストーニュにしたとき、今度は必ずやられると確信した。遅かれ早かれ必ずやられる。あまりひどくやられなけれいいなとは
思ったがやられること自体は疑わなかった。しかし限界に達するのではないかと恐れたことは一度もなかった。」
この頃の制度では、長期にわたって継続して前線につかせ、兵員の損失は補充兵で埋めていました。
つまり、戦争が終わるまでは戦場を離れることはできず、ひどい負傷をするか戦死するかしか解放されませんでした。

リプトンが駆け寄るとガルニアは「ついに敵はこのガルニアさまを仕留めたよ」と相変わらず強気です。
トイはマラーキーに「ここではどうすれば殺してもらえるうだろうな」と言いますが2人とも後遺症は残りますが助かっています。
リプトンはラズにコンプトンの事を尋ねると、様子がおかしいので話しかけてください、と言います。

こんな時に何ですが(笑)ラズって目立たないけどよく見るとかなりハンサムくんです。

コンプトンは病院に収容されることになりました。


ダイクは相変わらず雲隠れしているようでしたが、E中隊はフォイの東を制圧し数日後には西も掃討しました。
ある夜、ラズが得意の物まねで砲撃の日のダイクのセリフを真似てマックたちに披露し、それを見たリプトンはラズに
「似てるけどもう2度とするなよ。」
無能と言えど、今回の事が広まれば指揮系統が崩壊する恐れもありそれはすなわち中隊の崩壊も招きかねないので
リプトンは中隊を守るために更に気を配ることになりました。
その時また砲撃が始まります。

タコツボに入るタイミングを逃したラズは、マックとペンカラのほうへ這いずりながら進みます。
2人も「早く来いよ、ラズこっちだ」と叫びます。
2人のタコツボまであと少しになったとき、タコツボに砲弾が爆発し一瞬にして2人は吹き飛ばされてしまいます。

ラズは呆然としながらも違う方向に走りようやくリプトンのいる穴までたどり着きます。
耳を劈くような砲撃の中、ラズは懸命にマックとペンカラのことを報告します。
隊員たちは閃光と爆風に耐え、ようやく静けさを取り戻す頃1発の砲弾がリプトンとラズの前に突き刺さります。
不発弾でした。

目の前の砲弾を見ながらラズが煙草に火をつけるとリプトンがそれをラズから取り上げて吸い始めます。
「・・・吸わないかと」
「吸わん」ストレスに耐えかねたのかリプトンはここから喫煙者になります。


後編に続きます。