明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



以前から1カット欲しいと思っていた天才ダンサー、ニジンスキーのオリジナルプリントをオークションで落札した。これはプレス用の写真である。今年2月、同じような客船上で撮られたガラス製ネガが出品されたが、同じ船に乗り合わせた素人が撮影したもので、出回らない、ということにおいては、比べようのない貴重さであったろう。ネガそのものということもあり、とても手の届く物ではなかった。 落札したプリントで私が興味を持ったのが、1916年という撮影年である。同性愛の相手だったディアギレフの支配から逃れるように結婚をし、ディアギレフに解雇されることになったニジンスキーであったが、その後団長を兼務し、アメリカツアーを敢行することになる。しかし団員を掌握し、組織する能力など持ち合わせておらず、不本意な結果に終る。その心労もあってか狂気の兆候を見せ始めるのだが、表情を見る限り、アメリカに向かう船上であったかもしれない。偶然だが、件のガラスネガと同じ船上なのは、ニジンスキーや娘、妻などみても間違いがない。ニジンスキーを囲む取材中と思しき連中の中に、撮影者がいるかもしれない。  アメリカでは、カール・ストラスというドイツ系ユダヤ人に、牧神に扮した姿や、ティル・オイレンシュピーゲルを撮影されるが、特にティル・オイレンシュピーゲルを撮影したのは、おそらく4×5インチ用の、ストラス自らパテントを取得し販売した水晶レンズで、私は何かの縁と入手していた。つまりこれから、そのレンズで待ち構える、ストラスのいるアメリカに向かっているのかも、と想像すると私には感慨深いのである。
ところで、ついでにニジンスキーで検索していたら、何処の誰かは知らないが、私のHPの画像に富田勲の音楽まで使って、こんなものを作った人がいた。ご苦労にも程がある。
Nijinsky's artwork



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コメント
 
 
 
Unknown (マツカワ)
2009-10-02 18:09:24
すごい才能のある人ですね~富田勲も石塚先生も大好きです。贅沢ですね
先生の作品をみると音楽のイメージがわくのですね。
私は先生のタルホを見ると頭が「金平糖の踊り」になります(チャイコフスキーの)
あと、先生が親父さんのために頑張った樋口一葉との2ショットは
吉幾三の「うぉ~いかけて ゆきぐにぃ~」を聞きつつモツ食べたい
感じです。
 
 
 
本来 (石塚)
2009-10-04 09:34:06
著作権的に問題あるわけですが、つい観てしまいます。
いずれ映像をyoutubeで、と思っていたのですが、先を越されてしまいました(笑)
もっとも私の場合は、ただ作品をなめるように撮るだけのつもりですが。
 
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