明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

骨灰  


子供の頃、家族で縁日に行くと、もらった小遣いを使わず、帰りにシャッターを半分閉めている書店の裸電球の下で、店主や家族を待たせて本を選んだのを覚えているが、縁日でいくつも買ったのが、陶製のリアルな動物だった。シートを広げたオヤジの、骨の粉を混ぜて作ってる、というセリフが猟奇少年の私をくすぐった。後に工芸学校で、ボーンチャイナなど、磁器の原料として普通に牛の骨灰を使うことを知った。 山口県の寿円禅師像は、寺伝によると、正平九年の干魃に際し、禅師は秋芳洞に籠り雨乞いをし、満願の日に雷雨に恵まれ、禅師は天に謝し洞内で水中に身を投じたという。その亡骸の灰を混ぜて作った禅師の像を『骨灰ノ像』と呼んでいるそうで、そんな像は各地にあるようである。 素材に混ぜるといえば、大分趣きの異なる話しだが、絵の具に自身の精液を混ぜて描いたピエール・モリニエという、風変わりなアーティストもいた。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 人間として作る 伝神写貌(で... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。