古書街で文献を漁り、91年から独学で始めたオイルプリントだが、当時日本に話し相手など皆無である。海外のネット上のサークルに参加してみた。世界中から集って情報交換している気の良い人たちの集まりで、私がロバート・ジョンソンのオイルプリントを投稿すると、英語がサッパリの私を補足してくれるように、このブルースミュージシャンは十字路で悪魔と契約し、などといってくれる人が現れたり、なんだこれは、と驚かれ、チヤホヤしてくれる。日本の反応と随分違うな、と気を良くしたものである。だがしかし。ほとんどが懐古的な連中で、テーマが古臭い。なつかしの故郷や、ゴシックロマン調の城郭など、カビ臭くてしょうがない。技法が古いのにテーマまで古いのでは話にならない。どいつもこいつも、しょうがねェな。と遠のいてしまった。ところが今手がけているのがエドガー・ポーである。日本には撮りたくてもゴシック調の城郭などない。バチが当たったというべきか。
※世田谷文学館にて展示中
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