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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



午後、アメリカから帰った妹と待ち合わせ、母の入っている老人ホームに向かう。妹と母が合うのは一年ぶりであろう。妹が買って来た昼食を3人で食べる。母は車椅子に乗っているが、リハビリの若い担当者が、今母に行っている施術を説明してくれる。かと思うと歯科医の日で、入れ歯が合わない所を修正してくれる。妹は行ったり来たり立ち働く若い職員が、みんな感じが良いことに驚き、安心していた。母はというと、車椅子からまずはシルバーカーで歩くことに執念を燃やしており、50メートル歩いたなどといっている。この婆さんはおだてれば木に登るタイプである。他の年寄に、食事を口に運んであげたり、世話を焼いているそうで、職員にお礼だと自分だけ飴やみかんを貰っていると自慢気である。余計なことをするな、というのだが、他人にそうすることが、自分が死んだ後も私や妹に帰ってくるのだ、といわれると何もいえなくなる。私達にあげようとみかんを取っておいたのだが部屋に忘れて来たという。いくつになっても親である。妹も安心したのか予定より長居した。 近々親類の結婚式に出席するのだが、喫茶店で妹と祝儀袋の書き方など検索していると、最近作に集中するうち、私は結婚式の日取りを3日間違えていたことに気付き、妹と話しながらメールで近所で礼服のクリーニングが間に合う店を探してくれるよう友人に頼んだ、すると折り返し電話が着てしまった。こんなことが隣の妹にバレたら大変なことになる。慌ててごまかし電話を切った。兄がこうだと、妹はこうなる、という恐ろしいくらいの典型なのである。すぐに妹と別れて友人に電話をすると幸い1軒見つかったという。安心してバスで帰るとバス亭目の前のクリーニング店でも大丈夫だという。すぐに持って行き、ホッとし過ぎて、飲みに出かけてしまった。

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』より

月刊ヘアモード12月号 no・693
不気味の谷へようこそ第9回 脳内イメージを表す人形写真

※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」

HP

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