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ダンスとか。

上海歌舞団

2004-11-21 | ダンスとか
神奈川県民ホール(大ホール)。
▼陳維亜 『秦俑魂』
Chen Weiya, Soul of the Terracotta Worriors
2年前の「日韓・日中韓PAC2002」という企画で一度見た作品。その時はダンサー6人だったのだが、その同じメンバー+11人+主演の黄豆豆という大編制。テラコッタの像がバーンと割れて人が動き出しキメキメに舞い踊る。黄は確かに凄いが他にも何人か凄い人がいる。12分。
▼楊月林 『旦角』
Yang Yuelin, The girl in Beijing opera
女性ダンサー(Wu Jiaqi)によるソロ。中国の「伝統舞踊」というやつは曲芸との区別がとても曖昧だ。体を斜めに傾けた姿勢のまま、正面やや下向きに顔を付けた高速回転など。6分。
▼黄豆豆 『棋』
Huang Doudou, Chinese chess
男女群舞。白チームと黒チームに分かれた幾何学的な構成の合間に短いソロやデュオなどが挟まれる。後からタイトルを見て笑った。8分。
▼黄豆豆 『甲骨随想』
Huang Doudou, Calligraphy
今日の目玉というべき黄のソロ。恐ろしくキレのある回転と跳躍。9分。
▼顔安 『上善如水』
Yan An, Like water
一転して「コンテンポラリー」な感じの男女デュオ。キリアンとかそういうものの浅薄な模倣。この振付家の『春の祭典』を「日韓・日中韓PAC2002」で見たが、あの時も洋物の真似っ子だった。5分。
▼近藤良平 『肚子餓了、肚子真的餓了!〈腹が減った!とにかく腹が減った!〉』
男性13人による即席コンドルズ。初見の観客の前でこの大人数の一人一人にキャラを振り分けるわけにもいかず、群舞や、同じ動きをするデュオを3組並べたりする他に、若干の小芝居(リンゴを奪い合う)を入れた作品になっている。途中から近藤良平がピアノを弾く。厳しい訓練を受けているであろうダンサーたちの体や動きは、必ずしも杓子定規だったりクソマジメだったりするわけではないのだが、中途半端に整っていて、コミカルなはずの作品を強張らせてしまう。彼らなりの遊びの流儀はあるのだろうけれども、それと近藤良平の遊びの流儀がすれ違ってしまっているのだと思う。12分。
▼馬愛国 『剣似飛鳳』
Ma Aiguo, Sword looks like the Phoenix
女性5人による剣の舞。ここの女性ダンサーは精彩を欠く。5分。
▼黄豆豆 『黄土地』
Huang Doudou, Yellow Land
原始人のような男たち女たちが大暴れする凄いスペクタクル。凄すぎて薄笑いを飲み込んでしまう。女を捕まえて箱に押し込め生贄の儀式。黄の動きが凄い。信じられないほど高くジャンプして、ジャンプの頂点で下半身を首より上にグイッと持ち上げてしまう。目を疑う。群舞では男性ダンサーの中に手を抜いていい加減にやっている人がたくさんいた。タン・ドゥンの音楽。23分。
全体に見て、黄豆豆は確かに凄いが、基本的に身体能力を誇示するようなアクロバットであり、別にそんなものが見たくてダンスを見ているわけでないという不満がまず一つ(アクロバット批判というのはヨーロッパのダンス史に繰り返し出てくる議論だが)。それから中国の「伝統舞踊」なるものの概念を自明視したままそこに何かを足し算するという発想が完全に過去のものだ。パッチワーク。「スーパー歌舞伎」みたいな。歴史的に形成されたテクニックを分析的に解体していくアプローチはもうそんなに珍しくないはずだが、中国の国営団体にそこまで望めるとも思えないし、上海歌舞団を呼ぶならシェン・ウェイ・ダンス・アーツを呼ぶべき。
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