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ダンスとか。

進化する身体

2007-01-27 | ダンスとか
半蔵門・arts1st。
鈴木ユキオの金魚などで、最近ますます気になっているのが横山良平という存在。どんな状況でもこの人が舞台に現れさえすればとりあえずその場は形になってしまうため、演出する側がむしろ手をこまねいてしまっているように思えることも多い。とにかく独特の間をもっていて、余計なノイズを出さない体そのものがスリルを孕んでいる。とにかくこの人には何かある。そのようなわけで、村田峰紀と横山良平によるユニット(?)「進化する身体」のパフォーマンスというか展示というかを見てきた。会場はギャラリーで、中に入ると二人がいて、壁のメニューから選んで100円払って注文する(二人でやる作品は200円)。とりあえずソロの『オン』と『ストーン』と『キル』を注文してみた。偶然、全て横山良平による作品で、『オン』は、釣竿を持って、糸の先を壁に括りつけ、じっと座って待つ。ある瞬間(魚がかかったかのように)、思い切り合わせる、そしてリールを巻きながらそのまま後へグッと仰け反る。目一杯仰け反り、まだまだ仰け反りながらリールを巻く。顔を赤くして舌を出して声を上げながら力強く仰け反ってリールを巻く。そのうち釣竿が勃起した男根に見えて来る…。おもむろに終わり、『ストーン』に入る。小さな穴がプツプツと空いた岩を腹部に乗せ、仰向けになって呼吸で腹を上下させる。岩が動く。呼吸をじっと見てしまう。上下動を早くしたり遅くしたりする。ここまでは独りで見ていた。そのシチュエーションもどうかと思うが、ここでもう一人、女のお客さんが来た。『キル』は会議室にあるような長机のボロボロになったものを置いて、離れたところでしばらく構える。この間、そして机に向かってダッシュするその切れのいい決断が横山良平を感じさせる。ガッと衝突すると長机の反対側の脚が折れて斜めになり、立っている側を抱えて横山は卑猥にピストン運動する。ずっとする。ちょっと休んでまたする。気まずさが崇高さへと転化しそうな錯覚…。女性が『ストッキングベイビー』を注文、ぼくも100円払って見る。これは村田峰紀が全裸になって現われ、ストッキングに両腕を通し、頭を突っ込み、突き破って、体を通し、全身が抜けたところで終わるというもの。デュオも見たかったので一つ、しかし何を選べばいいかわからないから、「今一番やりたいのはどれですか」と注文してみた(客と店の間の、受動と能動の関係が逆転することになったので、我ながら良いコミットの仕方であると思った)。二人が相談して『パワフル』をやることに。これは段ボールを二人で持って、千切れるまで引っ張り合うというもので、千切れるとさらに小さい断片を持って引っ張り合う。小さくなればなるほどバトルは激しくなる。一通りやり尽くすと、週間漫画誌を半分にしたもので再開、これはいよいよ本気勝負になる。二つの体がねじれ、ひきつり、四肢が絡まる。ほとんどの部分が直接コントロールされていない。見ていて思わず知らず力が入ってしまう。千切れて抵抗がなくなった瞬間に吹っ飛ぶ時、横山良平の体勢のバランスの取り方がまた奇妙に思えた。自然と人為のギリギリの境目のところで発露する個性というものを見た気がした。時間が来たのでここでおいとまする。どれもシンプルな作品ではあったが、そのことより、どれも純粋に「力」を志向する、あるいは「力」の宿る場としての身体にフォーカスする作品であるようなところが、極度にシンプルであり、見かけよりもそのことの方がこのパフォーマンスにとっては本質的である気がする。
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