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ダンスとか。

東京ELECTROCK STAIRS 『水平線サイコ』

2011-01-21 | ダンスとか
浅草・アサヒ・アートスクエア。
ストレートな意味での「ダンス」を否定することなしに、どうやってその向こう側へ進むのかがKENTARO!!の課題になっているとすれば、この作品はとりあえず、言葉を発したり演劇的な所作を使うことで、ダンスをダンスでないものによって相対化する、という段階にあるといえるだろう。言葉にも所作にも深い意味はなさそうで、あくまでも形式として使われているのだと思う。ダンスと非ダンスを連関させることで何がどうなるのかはまだ見えて来ていない。しかし一ついえるのは、バレエ/モダンダンスの基盤の上でこういうことをやる場合に比べ、ストリートダンスはあからさまに「ダンス」であるため、ダンスしている人とダンスしていない人とが共存していたりする時、また特にすれ違ったりする瞬間に、そのコントラストははるかに強烈であるということだ。いわゆる「コンテンポラリーダンス」でよく見かける、緊張した身体と弛緩した身体のコントラストではなく、弾性のある身体と停滞した身体のコントラスト、あるいは自動化した身体と意識にとらわれた身体のそれとでもいえばいいだろうか。9人のダンサーがとにかくよく踊っていて、一人一人の個性も鮮明に出ているから、見応えはあったし、KENTARO!!本人のソロはちょっとフォーサイスみたいな多重心に接近している感じで素晴らしかった。しかし単なる「芸能」じゃないダンスにとっては、それはゴールではなく、あくまでも創造のための資源と見なされるべきだろう。
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