京都・祇園甲部歌舞練場。
▼上方舞 東山名所 (照●満、佳つ文、真生、琴葉、満友葉、有佳子、鈴子、真織、小愛、若奈)
▼義太夫 上方唄 伊達奴 (井上安寿子)
▼一中節 夢の世 (井上奈加子、井上照千代)
▼地唄 長刀八島 (井上八千代)
▼地唄 袖香爐 (井上竹葉)
▼義太夫 上方唄 地唄 夕顔 (導師:井上八千代)
「東山名所」は黒の着物で芸妓が居並び、互い違いに立ったり座ったり、左と右で振りを受け渡し合ったりするレヴュー的なもの、「夕顔」も三十人の踊り手が導師を中心にフォーメーションを組む。とりわけ後者は一糸乱れぬユニゾンなど圧巻だが、日本舞踊にこういうものを求めてはいない自分を再認識。五世の娘である井上安寿子の「伊達奴」は若い踊り手特有のダイナミックな動きで、床上を滑らかにスライドして移動する際のヴィヴィッドな鋭さ、キレの良さなどが鮮やかだった。「長刀八島」は膝から落ちたり、オフバランスで重力を使って走り出したり、普通に踊るだけでも十分に見れてしまうだけの変化に富んでいるが、抑えに抑える五世の踊りのポーカーフェイスぶりもこういう時には活きてくる。渋く枯れた色遣いの茶と青の着物の「夢の世」は何だか妙に頽廃的で、くどいまでの隠微さに引いてしまった。
▼上方舞 東山名所 (照●満、佳つ文、真生、琴葉、満友葉、有佳子、鈴子、真織、小愛、若奈)
▼義太夫 上方唄 伊達奴 (井上安寿子)
▼一中節 夢の世 (井上奈加子、井上照千代)
▼地唄 長刀八島 (井上八千代)
▼地唄 袖香爐 (井上竹葉)
▼義太夫 上方唄 地唄 夕顔 (導師:井上八千代)
「東山名所」は黒の着物で芸妓が居並び、互い違いに立ったり座ったり、左と右で振りを受け渡し合ったりするレヴュー的なもの、「夕顔」も三十人の踊り手が導師を中心にフォーメーションを組む。とりわけ後者は一糸乱れぬユニゾンなど圧巻だが、日本舞踊にこういうものを求めてはいない自分を再認識。五世の娘である井上安寿子の「伊達奴」は若い踊り手特有のダイナミックな動きで、床上を滑らかにスライドして移動する際のヴィヴィッドな鋭さ、キレの良さなどが鮮やかだった。「長刀八島」は膝から落ちたり、オフバランスで重力を使って走り出したり、普通に踊るだけでも十分に見れてしまうだけの変化に富んでいるが、抑えに抑える五世の踊りのポーカーフェイスぶりもこういう時には活きてくる。渋く枯れた色遣いの茶と青の着物の「夢の世」は何だか妙に頽廃的で、くどいまでの隠微さに引いてしまった。