わが人形劇サークルの今年の新作は、以前記事にも登場した「こびとといもむし」に決まりました。
「こびとといもむし」という絵本は、ちょっと見には可愛らしくて優しさのあるお話しですが、じつはとてもメッセージ性が高いんです。
なぜ、こびとの世界に貧乏という価値観があるのか。
なぜ、こびとはひとつしかもちを拾えないのか。
この二つに私はひっかかりを覚えました。
主人公のこびとは、働き者ですが貧乏で、春の神さ . . . 本文を読む
夏休みも終わり、やっと子どもたちが学校へ行くようになると、なんと午前中の時間の長いことか。
洗濯も掃除もスイスイはかどる。
嬉しいじゃないか。
寝坊はできなくなるけれども。
終わってしまった夏休みだが、その期間、ちょっと変わったことがあった。
それは、このブログのアクセス数の変化である。
遠藤周作「沈黙」の記事のアクセス数が異常に多いのなんのって。
もともと「沈黙」の記事はアクセスが多かったけれ . . . 本文を読む
一寸法師のリサーチのために借り出した「おとぎ草子」だけれど、ひさしぶりに古典を読むのも楽しいので、そのまま一冊読んでしまいました。
本書にあるのは「一寸法師」「道成寺縁起」「横笛草子」「鏡男絵巻」
「鉢かづき」「長谷雄草子」「猫の草子」の7編。
むかしばなしとしてよく知っているのは「一寸法師」「鉢かづき」でしょうか。
「鉢かつぎ」ではなく「鉢かづき」。
「かづき」はくっつくという意味で、ず~っと間 . . . 本文を読む
遠藤周作『沈黙』を文庫版で読んだわけですが、解説を読んでみると、単行本にはどうやら著者あとがきが付いているようでした。
文庫本をふってもひっくり返してもあとがきは見つからず、それならと思い新潮社から出版されている『遠藤周作文学全集』の第2集を借りてきました。
第2集の解説には、あとがきの全文があり、さらには、『フェレイラの影を求めて』なる日記があるということを知りました。
そこで、全集の12巻、13巻を借り出しまして、関係のありそうな箇所を拾い読みいたしました。 . . . 本文を読む
私が「沈黙」を最初に目にしたのは中学生のころで、小説の一部が教科書に載っていたからです。
教科書に載っていたのがどこの部分なのかは、今ではもうさっぱり思い出せませんが、<神の沈黙>に、なにかとても不条理なものを感じた記憶があります。
その後、「沈黙」を通して読んだのですが、記憶に残っているのは、やはり<神の沈黙>、「神よ、何故、あなたは黙ったままなのですか?」という悲痛な訴えでありました。
まあ、中学生ですから、「沈黙」をそのように誤解してしまっていたのも無理はないでしょう。
大人になり、もうちょっと人生についての経験値が上がってくれば、昔は見えてこなかったことも、今度ははっきりと浮かび上がっていくるというものです。
それが、再読する楽しみであるといえるでしょう。 . . . 本文を読む
(続)から読むことになった「古典落語」ですが、落語の原型を集めているというものですから、順番があるわけではありませんので、別にどちらから読んでもよかったんです。
ただ、読みたい!と思ったときに無いと悔しいものですよね。 . . . 本文を読む
すごいぞ、講談社学術文庫!
ということで、図書館にいきまして、「古典落語」を借りようとしましたところ、無い!
誰かが借りているらしい。
しょうがなく「続」から読むことに相成りました。 . . . 本文を読む
この前読んだ小泉八雲「怪談・奇談」には、「狢」という話があります。
いわゆる<のっぺらぼう>で、大変有名なお話ですから、知らない人はそうはいないと思います。
ジブリのアニメ「平成たぬき合戦ぽんぽこ」にも「こんな顔だったかい?」というシーンがあるくらいです。
私が、この話を最初に知ったのはいつだったか忘れましたが、やはり小学校とか、そのあたりだと思うんです。
だから「狢」はとても怖い話だと思っていたんですね。
角川版「怪談・奇談」を読んだときも、怖い話のひとつだと思って読んだわけです。
ところが、学術文庫版を読んでみますと、なにやら滑稽で笑えることを発見したのです。
どうして?
解説を読んでみますと、「狢」の原拠は「百物語」となっています。
百物語といえば、怖い話を一夜にして百話話し、一話ごとにろうそくを吹き消していって、最後の一本を吹き消したときに、大変怖いこと(大きな音や風が巻き起こるとか)が起こるというあれです。
古典の怪談話が子供のころから好きだった私は、もちろん小学生のころに「百物語」をジュニア版で読んでいます。
しかし、この「狢」が収録されている「百物語」は、最後の一本を吹き消すと、たんすに目鼻が現れて「なんだんす」としゃべり出す。 . . . 本文を読む
小泉八雲といえば、日本に帰化したアイルランド人で、本を探そうとして検索をかけるときは、ラフカディオ・ハーンと両方で検索をかけないといけません。
「茶碗の中」という作品が読みたくて、図書館で検索をした時の反省です。
私は、さる10年ほど以前に、角川文庫版で「怪談」を一度読んでいるんですが、どうにも「茶碗の中」の話が思い出せなかったんです。
今回、図書館で借りたのは、講談社学術文庫の小泉八雲名作選集というもので、小泉八雲が参考にしたであろう原拠が巻末に載っており、八雲の作品を読んだら、原拠である古典と読み比べることができるという優れもの。
もともと、古典の怪談話が好きな私は、とても面白く読むことができました。 . . . 本文を読む
本書は、先日紹介した小川未明同様、日本幻想文学集成(国書刊行会)の一冊です。
室生犀星のお魚愛にあふれたお魚アンソロジーで、まさにお魚天国。
金魚、鯉、鮠(はや)、うなぎなどいろいろなお魚が登場します。
魚類好きには、こたえられないでしょう。
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『赤いろうそくと人魚』は、私が少女時代に観ていたTV番組『まんが日本昔ばなし』のなかのひとつだったと思います。
かなり怖かったという記憶と何より印象に残ったのは、赤い色です。
私の記憶によれば、黒と赤のコントラストで画面が構成されていたと思うのですが、実際はどうだったか今となってはわかりません。
何かの拍子に、娘と『赤いろうそくと人魚』の話題になり、
「あの話、私は知っているけど、知らない人も多いよね」
と言われました。
何にしても、むかし話や童話の普及は、昔の子供たちに比べ、現代の子供たちのほうが劣っていますね。
『まんが日本昔ばなし』というTV番組の力というのは偉大だったんだなぁと思います。
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本当は、太宰のレビューを書くはずでした。
『駈込み訴え』を読み、イスカリオテのユダの愛するが故の憎悪、愛する自分への依存という、生々しい感情を目の当たりにして、こんな小説を書く人は心中するのも当たり前だなぁと思い、『女の決闘』を読み始めたところで「そろそろ、この辺りから私(DAZAI)の小説になりかけていますから・・・」という文を見たとき、ああ、このまま読み進めては発狂してしまう、と危機感を感じ、やめました。
精神的に繊細な人は、太宰を一時にたくさん読んではいけません。
そこで、『死霊の恋』を読むために借りていた、ちくま文学の森『変身ものがたり』に収録されている泉鏡花『高野聖』を読むことにしました。
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数日前に図書館に行ったときのこと。
「七悪魔の旅」を読んだあと、悪魔と地獄についてもっと詳しく知りたくなった私は、
ギュスターヴ・ドレ挿絵のダンテ「神曲」を借りてウキウキしながら、
新着図書の棚の前を通りかかったのです。
すると、なにやら視線を感じます。
そう、新着図書の棚の中のある一冊が、私を呼んでいるのです!
魔法にかかったかのごとく、フラフラと棚に近寄り、
手にとってみると「ねむり姫」というタイトルです。
おや、おとぎばなしですか、と作者を確認してみると、なんと、澁澤龍彦ではありませんか!
即、カウンターへ向かいました。 . . . 本文を読む
SF、なんだよねぇ、帯にもそう書いてあるし。
確かにトンデモ本だと思うけど、う~ん。
何でしょうねぇ、SFとするには気が引けるなぁ。
思い切って純文学に入れちゃう?
「新化」は「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」で絶滅したハネネズミなるネズミのその後の研究をレポートしたもので、
メインはハネネズミ再生プロジェクト。
ハネネズミとは、永遠に近い生命をもち、 . . . 本文を読む