くろにゃんこの読書日記

マイナーな読書好きのブログ。
出版社など詳しく知りたい方は、記事下の書名をクリックするとamazonに行けます。

たまには児童文学

2009年06月26日 | 国内文学 その他
わが人形劇サークルの今年の新作は、以前記事にも登場した「こびとといもむし」に決まりました。 「こびとといもむし」という絵本は、ちょっと見には可愛らしくて優しさのあるお話しですが、じつはとてもメッセージ性が高いんです。 なぜ、こびとの世界に貧乏という価値観があるのか。 なぜ、こびとはひとつしかもちを拾えないのか。 この二つに私はひっかかりを覚えました。 主人公のこびとは、働き者ですが貧乏で、春の神さ . . . 本文を読む

夏の終わりのミステリー

2007年09月04日 | 国内文学 その他
夏休みも終わり、やっと子どもたちが学校へ行くようになると、なんと午前中の時間の長いことか。 洗濯も掃除もスイスイはかどる。 嬉しいじゃないか。 寝坊はできなくなるけれども。 終わってしまった夏休みだが、その期間、ちょっと変わったことがあった。 それは、このブログのアクセス数の変化である。 遠藤周作「沈黙」の記事のアクセス数が異常に多いのなんのって。 もともと「沈黙」の記事はアクセスが多かったけれ . . . 本文を読む

おとぎ草子

2007年06月01日 | 国内文学 その他
一寸法師のリサーチのために借り出した「おとぎ草子」だけれど、ひさしぶりに古典を読むのも楽しいので、そのまま一冊読んでしまいました。 本書にあるのは「一寸法師」「道成寺縁起」「横笛草子」「鏡男絵巻」 「鉢かづき」「長谷雄草子」「猫の草子」の7編。 むかしばなしとしてよく知っているのは「一寸法師」「鉢かづき」でしょうか。 「鉢かつぎ」ではなく「鉢かづき」。 「かづき」はくっつくという意味で、ず~っと間 . . . 本文を読む

「沈黙」に付随する日記など 

2006年07月07日 | 国内文学 その他
遠藤周作『沈黙』を文庫版で読んだわけですが、解説を読んでみると、単行本にはどうやら著者あとがきが付いているようでした。 文庫本をふってもひっくり返してもあとがきは見つからず、それならと思い新潮社から出版されている『遠藤周作文学全集』の第2集を借りてきました。 第2集の解説には、あとがきの全文があり、さらには、『フェレイラの影を求めて』なる日記があるということを知りました。 そこで、全集の12巻、13巻を借り出しまして、関係のありそうな箇所を拾い読みいたしました。 . . . 本文を読む

沈黙 遠藤周作

2006年07月03日 | 国内文学 その他
私が「沈黙」を最初に目にしたのは中学生のころで、小説の一部が教科書に載っていたからです。 教科書に載っていたのがどこの部分なのかは、今ではもうさっぱり思い出せませんが、<神の沈黙>に、なにかとても不条理なものを感じた記憶があります。 その後、「沈黙」を通して読んだのですが、記憶に残っているのは、やはり<神の沈黙>、「神よ、何故、あなたは黙ったままなのですか?」という悲痛な訴えでありました。 まあ、中学生ですから、「沈黙」をそのように誤解してしまっていたのも無理はないでしょう。 大人になり、もうちょっと人生についての経験値が上がってくれば、昔は見えてこなかったことも、今度ははっきりと浮かび上がっていくるというものです。 それが、再読する楽しみであるといえるでしょう。 . . . 本文を読む

江戸の笑い 少年少女古典文学館 24 興津要

2006年04月02日 | 国内文学 その他
この前読んだ小泉八雲「怪談・奇談」には、「狢」という話があります。 いわゆる<のっぺらぼう>で、大変有名なお話ですから、知らない人はそうはいないと思います。 ジブリのアニメ「平成たぬき合戦ぽんぽこ」にも「こんな顔だったかい?」というシーンがあるくらいです。 私が、この話を最初に知ったのはいつだったか忘れましたが、やはり小学校とか、そのあたりだと思うんです。 だから「狢」はとても怖い話だと思っていたんですね。 角川版「怪談・奇談」を読んだときも、怖い話のひとつだと思って読んだわけです。 ところが、学術文庫版を読んでみますと、なにやら滑稽で笑えることを発見したのです。 どうして? 解説を読んでみますと、「狢」の原拠は「百物語」となっています。 百物語といえば、怖い話を一夜にして百話話し、一話ごとにろうそくを吹き消していって、最後の一本を吹き消したときに、大変怖いこと(大きな音や風が巻き起こるとか)が起こるというあれです。 古典の怪談話が子供のころから好きだった私は、もちろん小学生のころに「百物語」をジュニア版で読んでいます。 しかし、この「狢」が収録されている「百物語」は、最後の一本を吹き消すと、たんすに目鼻が現れて「なんだんす」としゃべり出す。 . . . 本文を読む

怪談・奇談 小泉八雲

2006年03月22日 | 国内文学 その他
小泉八雲といえば、日本に帰化したアイルランド人で、本を探そうとして検索をかけるときは、ラフカディオ・ハーンと両方で検索をかけないといけません。 「茶碗の中」という作品が読みたくて、図書館で検索をした時の反省です。 私は、さる10年ほど以前に、角川文庫版で「怪談」を一度読んでいるんですが、どうにも「茶碗の中」の話が思い出せなかったんです。 今回、図書館で借りたのは、講談社学術文庫の小泉八雲名作選集というもので、小泉八雲が参考にしたであろう原拠が巻末に載っており、八雲の作品を読んだら、原拠である古典と読み比べることができるという優れもの。 もともと、古典の怪談話が好きな私は、とても面白く読むことができました。 . . . 本文を読む

♪さかなさかなさかな~室生犀星「蜜のあはれ」他

2006年01月07日 | 国内文学 その他
本書は、先日紹介した小川未明同様、日本幻想文学集成(国書刊行会)の一冊です。 室生犀星のお魚愛にあふれたお魚アンソロジーで、まさにお魚天国。 金魚、鯉、鮠(はや)、うなぎなどいろいろなお魚が登場します。 魚類好きには、こたえられないでしょう。 . . . 本文を読む

小川未明「赤いろうそくと人魚」他

2006年01月05日 | 国内文学 その他
『赤いろうそくと人魚』は、私が少女時代に観ていたTV番組『まんが日本昔ばなし』のなかのひとつだったと思います。 かなり怖かったという記憶と何より印象に残ったのは、赤い色です。 私の記憶によれば、黒と赤のコントラストで画面が構成されていたと思うのですが、実際はどうだったか今となってはわかりません。 何かの拍子に、娘と『赤いろうそくと人魚』の話題になり、 「あの話、私は知っているけど、知らない人も多いよね」 と言われました。 何にしても、むかし話や童話の普及は、昔の子供たちに比べ、現代の子供たちのほうが劣っていますね。 『まんが日本昔ばなし』というTV番組の力というのは偉大だったんだなぁと思います。 . . . 本文を読む

高野聖 泉鏡花

2006年01月04日 | 国内文学 その他
本当は、太宰のレビューを書くはずでした。 『駈込み訴え』を読み、イスカリオテのユダの愛するが故の憎悪、愛する自分への依存という、生々しい感情を目の当たりにして、こんな小説を書く人は心中するのも当たり前だなぁと思い、『女の決闘』を読み始めたところで「そろそろ、この辺りから私(DAZAI)の小説になりかけていますから・・・」という文を見たとき、ああ、このまま読み進めては発狂してしまう、と危機感を感じ、やめました。 精神的に繊細な人は、太宰を一時にたくさん読んではいけません。 そこで、『死霊の恋』を読むために借りていた、ちくま文学の森『変身ものがたり』に収録されている泉鏡花『高野聖』を読むことにしました。 . . . 本文を読む

ねむり姫 澁澤龍彦

2005年11月29日 | 国内文学 その他
数日前に図書館に行ったときのこと。 「七悪魔の旅」を読んだあと、悪魔と地獄についてもっと詳しく知りたくなった私は、 ギュスターヴ・ドレ挿絵のダンテ「神曲」を借りてウキウキしながら、 新着図書の棚の前を通りかかったのです。 すると、なにやら視線を感じます。 そう、新着図書の棚の中のある一冊が、私を呼んでいるのです! 魔法にかかったかのごとく、フラフラと棚に近寄り、 手にとってみると「ねむり姫」というタイトルです。 おや、おとぎばなしですか、と作者を確認してみると、なんと、澁澤龍彦ではありませんか! 即、カウンターへ向かいました。 . . . 本文を読む

新化 石黒達昌

2005年10月18日 | 国内文学 その他
SF、なんだよねぇ、帯にもそう書いてあるし。 確かにトンデモ本だと思うけど、う~ん。 何でしょうねぇ、SFとするには気が引けるなぁ。 思い切って純文学に入れちゃう? 「新化」は「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」で絶滅したハネネズミなるネズミのその後の研究をレポートしたもので、 メインはハネネズミ再生プロジェクト。 ハネネズミとは、永遠に近い生命をもち、 . . . 本文を読む