くろにゃんこの読書日記

マイナーな読書好きのブログ。
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エウリーピデース 「メーデイア」

2006年12月31日 | ギリシア悲劇とその周辺
現代でも上演されることがあるギリシア悲劇としてあげられるのは、ソポクレース「オイディプース」、エウリーピデース「オレステイア」、「メーディア」でしょうか。 とはいえ、紀元前431年春のディオニューシア祭では、 「メーデイア」はそれほどの評価はされておらず、エウポリオーン(アイスキュロスの息子)、ソポクレースに続き3位という成績に甘んじています。 エウリーピデースの悲劇は、どちらかといえば神や神託に . . . 本文を読む

エウリーピデース 「アルケースティス」 

2006年12月16日 | ギリシア悲劇とその周辺
アイスクリーム、ソフトクリーム、え、売り切れ? のエウリーピデースに入りました。 アイスキュロスには素晴らしい構成力が、ソポクレースには詩の力強さがありましたが、エウリーピデースは静かだなぁというのが第一印象です。 「アルケースティス」は夫の死の身代わりとなって死んだ妻が、夫の友人であるヘーラクレースによって連れ戻され、ハッピーエンドを迎えるという物語。 悲劇でありながら、どこかユーモラスで、幸 . . . 本文を読む

アイスキュロス 「ヒケティデス」

2006年12月11日 | ギリシア悲劇とその周辺
「ヒケティデス」とは「嘆願する女たち」を意味します。 ギリシア悲劇では、いくつかの作品のなかで嘆願する者が登場します。 オリーヴまたは月桂樹の小枝に撚った羊毛を巻きつけたものを手に持ち、聖域や祭壇に取りすがり、自分より大きな力を持つ人間や神に援助を求める者たちのこと。 彼らは、ゼウス・ヒケシウス(嘆願者を守るゼウス)の庇護のもとにおかれ、彼らの願いを拒んだり、ないがしろにしたりすることはもってのほ . . . 本文を読む

アイスキュロス 「テーパイを攻める七人の将軍」

2006年12月09日 | ギリシア悲劇とその周辺
この作品は、ソポクレース「オイディプース王」で知られるテーパイ伝説を題材にしたもので、伝説の概要を知っていないと、いまひとつ理解しがたいかもしれません。 アイスキュロスは「ラーイオス」「オイディプース」「テーパイを攻める七人の将軍」サティロス劇「スピンクス」で紀元前467年の大ディオニューシア祭で優勝したそうです。 ソポクレース「オイディプース王」を読んでおられる方なら、なるほど、 と思わせる4部 . . . 本文を読む

アイスキュロス 「ペルサイ」

2006年12月07日 | ギリシア悲劇とその周辺
アイスキュロスの悲劇の魅力のひとつには、格調の高さがあげられると思います。 「ペルサイ」は、サラミースの海戦によって敗退したペルシア側の悲しみを崇高に謳いあげていて、ダーレイオスが亡霊であらわれるという仕掛けはあるにしても、凝った演出がほとんどありませんので、なおいっそう詩人としての能力の高さを感じとることができます。 「縛られたプロメーテウス」では、なにか足りないと思っていたんですが、「ペルサイ . . . 本文を読む

アイスキュロス 「縛られたプロメーテウス」

2006年12月04日 | ギリシア悲劇とその周辺
現在読むことが出来るアイスキュロスの悲劇は7編。 そのうちの3編はオレステイア3部作としての体裁を保っていて、アイスキュロスのスケールの大きさや職人的な芸の細かさ、仕掛けを十分に堪能できるものです。 本書、「アイスキュロス II ギリシア悲劇全集(2)」はその他の4編が所収されています。 今回は「縛られたプロメーテウス」を取り上げてみましょう。 プロメーテウスといえば人間を泥から創ったという神話 . . . 本文を読む

修道士カドフェルの出現 エリス・ピーターズ

2006年12月02日 | ミステリー 海外
数年前のことですが、思い立ってカドフェルシリーズを20巻まで固め読みしたことがあります。 読みやすく、面白いし、中世のイングランドという魅力的な時代背景もあいまって、 図書館から3冊くらいづつ借りては読んでいました。 しかし、図書館には20巻までしかなく、21巻目が無かったんですね~。 というか、新たに光文社から発行されたシリーズを見て、 21巻があるということを初めて知った愚か者です(笑) 本日 . . . 本文を読む