バークリーといえば、一風変わったミステリー作家と認識されておりますが、小説家としてのスタートはA・B・コックスという名義でロマンスやユーモアを書いていたんです。
本書は、その初期のころの一冊で、ミステリー的なニュアンスを含んだ、ロマンス色の強いユーモア小説であります。
クーリア誌(!)に寄稿している友人ドイル氏に言わせると、キャベツで蕪でペポカボチャでカタツムリな(要するに興奮もなくつまらない生 . . . 本文を読む
アイルズの作品は、ミステリーではあるけれども、起こった事件を探偵役の登場人物が解決するような、そんなお決まりなものではない。そう、絶対に無い。
事件はいかにして起こるのか、その犯人の性格や心理とは、
というのがアイルズの示すところなのだ。
「レディに捧げる殺人物語」では、被害者となる女性の愛しすぎる性格をとことん追求していて、アイルズは本当に男性なのかと思ってしまうほどでした。
読者が女性であれ . . . 本文を読む
バークリーといえば、かのミステリー黄金時代の奇才と言われていた作家ですが、この「シシリーは消えた」は、わりとオーソドックスな作品であるとの印象を受けると思います。
私などは、ロジャー・シェリンガムシリーズの大ファンですので、この作品では、少々物足りなさを感じてしまいます。
なんてったって、読了感が爽快なのです。
バークリーなのに。
しかし、この作品が幻の1作といわれるゆえんを見てみますと、
それだ . . . 本文を読む
訳出版されているロジャー・シェリンガムシリーズの中で、唯一読んでいなかったのが本書「ウィッチフォード毒殺事件」。
本書は「レイトンコートの謎」の次に書かれたシリーズ2作目にあたり、前作同様、ロジャーとアレックの迷探偵コンビは健在です。
ロンドン近郊の閑静な高級住宅地ウィッチフォードで事件がおきた。
フランス出身の夫人が、実業家の夫を毒殺した容疑で逮捕されたのだ。
裕福な階級でおきたこの事件は、連日新聞で取りざたされるほどの熱狂ぶりで、全てのイギリス人が彼女、ベントリー夫人を有罪だとみなしている。
ベントリー宅から、多量の砒素が発見されたことに疑問を持ったロジャーは、友人アレグザンダーを伴い、一路ウィッチフォードへ。
2人はアレックの親類の家に滞在し、独自の視点と行動で、捜査に乗り出す。
果たして夫人は本当に犯人なのか? . . . 本文を読む
ブックオフに行くと、たまにお宝を発見する。
先日、文庫本をあさりに行ったとき見つけたのがこの本でした。
(ちなみにレム「宇宙創世記ロボットの旅」も見つけた。こちらはほんとにお宝だ)
しかも105円なんて。絶対に買いです。
フランシス・アイルズといえば、アントニイ・バークリーの別名義で、
犯罪心理をテーマにしている小説を書いている。
有名なのは「殺意」。
私は、フランシス・アイルズ名義は読んだこと . . . 本文を読む
絹靴下とはストッキングのこと。
ストッキングで人が殺せるのか?(しかも絞殺)という疑問をもたれると思いますが、1928年に書かれていることを考えてみるとナイロンではなく、ほんとに絹でできていて、強度もずっと強かったのでしょう。
ロジャー・シェリンガムシリーズの第4作目にあたり『ヴェインの謎』と『毒入りチョコレート事件』の間の事件ということになります。
『ヴェインの謎』では、主席刑事のモーズビーと協 . . . 本文を読む
2002年度『闘うベストテン』を見て「レイトンコートの謎」を読んで以来、ロジャー・シュリンガムの大ファンです。
あの、はた迷惑で豪快な性格は榎木津伯爵に近いものがあります。
しかし、ロジャーはバークリーの「名探偵だって失敗もすれば間違った推理だってする。」という探偵哲学の元、榎木津伯爵のように百発百中では無く、かなり思い込みの激しい推理を展開して間違った推理をしたりするのです。
「レイトンコート~」を読んだ時は、ユーモアセンスのよさと読者にフェアなプロットの展開にすっかりとりこになりました。
本書の「毒入りチョコレート事件」はロジャーの破天荒な性格はほとんどといっていいくらいなりを潜めています。 . . . 本文を読む