プラチェット作品を読んだ後だったので、続けて梨木さんで大丈夫だろうか、頭がすぐに切り替わるかなと少し心配だったんですが、読み始めてみて、違和感をまったく感じませんでした。
皮肉交じりの文章にクスリとしながら、ああ、そうか、考えてみたら梨木さんに魅せられたのは、この英国的なセンスだった、と思い出したのです。
「西の魔女が死んだ」では、英国の古典的な魔女がおばあちゃんだし、「裏庭」では英国と日本が舞台で、「家守綺譚」では、イエイツの世界を髣髴とさせました。
日本人作家であっても、そこに変な気取りやいやらしさを感じさせず、
とても好感を持ったものです。
本書でも、さしはさまれる寓話に、さりげないく「叔母」や「ロック」などという言葉で英国的な気配を漂わせ、私をうれしがらせてくれました。 . . . 本文を読む
え~っと、やっと読みました。
梨木さんとは、「ミケルの庭」を読んだのが日付を見ると7月11日だから、ちょうど3ヶ月間のインターバルを置いたことになりますか。
梨木さんの描く世界は、独特の引きずり込まれるような感覚があって、「家守綺譚」のような軽い感じの作風でも、やっぱり何作も続けて読むことはできないんですよね。 . . . 本文を読む
この短編は、文庫版の「りかさん」に収録されているもので、単行本で読んだ方は、読んでいないんではないでしょうか。
私も、単行本で読んだため、「ミケルの庭」は読んでいなかったのです。
今回、「ミケルの庭」のためだけに、「りかさん」の文庫本を買いました。
相変わらず、某古本屋ですが。 . . . 本文を読む
「春になったら莓を摘みに」では、さまざまな国、文化、人に対しての<わかり合いたい>という欲求とそれに関する問題の提起がなされていました。
国として、民族として分かり合えることに対して、個人は何を為しえるのか。
これは「春になったら莓を摘みに」という言葉に、すべてが集約されているといえましょう。
「ぐるりのこと」では、さらに深く掘り下げ、
身近なことから日本に起こった事件、民族や世界の動きまで取り上 . . . 本文を読む
私は、エッセイというものがあまり得意ではないので、敬遠しがちなのです。
作家と作品は別物、と長らく思っていたんですが、梨木さんの本を読んでいるうちに、梨木さんがどのように物事を感じ、作品にしているのか、気になってきたのです。
梨木さんの描く物語は、単なる創作ではなく、にじみ出る作家の信条のようなものを感じます。
それに、こんなことを書くとおこがましいようですが、私となにやら似通っているところもあるのではないかと思ったりもしたりして。
そんなわけで、「村田エフェンディ」を横目で見ながら、「春になったら莓を摘みに」を読み始めました。
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梨木さん熱、ヒートアップ中ということで、
「りかさん」に続き「エンジェル エンジェル エンジェル」です。
出版年月を見ると単行本では1996年4月。
「丹生都比売」「西の魔女が死んだ」の後の、梨木さん3冊目の本なのです。
しかも「西の魔女が死んだ」は1996年3月で、続けざまに出版されているんですね。
これには、意味があるように思うんです。
本書を読んで感じたのは「西の魔女が死んだ」の対極にある . . . 本文を読む
「からくりからくさ」を読んだら、やっぱり「りかさん」も読まなくちゃ。
ここで気になるのが、どちらを先に書いたのかということ。
出版年月日を見ると、「からくりからくさ」の方が1999年5月、
「りかさん」の方が1999年12月。
続けて執筆しているのかしら。
まあ、そんなことを気にするのは本読みの性ですね。 . . . 本文を読む
梨木さんには、毎度毎度驚かされる。
この本について、いくつか他のブログで書評などを拝見していたのですが、単純に人形のりかさんが出てくる物語なんだなぁという、漠然とした印象しか持ってなかったのです。
これを見事にはずしてくれました。
確かに、りかさんにまつわる話を軸に物語りは進んでいくし、りかさんの存在感には目をみはるものがあります。
でも、それだけではないんです。
連想ゲームのような物語の進行に加えて、深い深いテーマがそこにはあり、メッセージとしてひたひたと心に染みてくるのです
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先日、まんださまのブログで、本書が紹介されていて、もう一度読みたいなぁと思っていたら、娘(中3)が、
「これ、面白かったよ。」
と言って、差し出した本が『裏庭』でした。
おおっ、こんな偶然もあるのだなぁ、とめぐり合わせの不思議を感じるとともに、嬉しく読み始めました。 . . . 本文を読む