くろにゃんこの読書日記

マイナーな読書好きのブログ。
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アイザック・B・シンガー イディシの世界

2009年12月06日 | ノーベル賞作家
文学のフロンティア「愛のかたち」の中に所収されていたシンガー「幻影」は、貧しくとも高潔なラビの娘の結婚にまつわる出来事をある老女が語るというもので、ユダヤのしきたりとその世界観が、何の知識もない私にはたいへんものめずらしくもあり、小さな閉ざされた世界を覗きこんだような感覚を覚えました。 シンガーは、ユダヤ系アメリカ人で、1935年にポーランドから渡米しています。 その後、ポーランドのユダヤコミュニ . . . 本文を読む

シグリ・ウンセット

2007年08月10日 | ノーベル賞作家
世界女流作家全集北欧編に所収されていたシグリ・ウンセットは 「こっくり人形」と「生死を共に」の2編でした。 「こっくり人形」は、フランスの一家族についてのごくつつましい短篇ですが、読者である自分が、いつしか作品中の「私」になっている感覚、平たく言えば共感するということですが、その感覚があまりにもスムーズに、自然になされてしまって本当に驚きました。 「生死を共に」は、いわゆるサガを題材にしたもので、 . . . 本文を読む

ラーゲルレーヴをまとめ読み

2007年08月02日 | ノーベル賞作家
最近、古事記の記事ばかりが続いておりましたが、ホントのところはそれに隠れてラーゲルレーヴを一気にまとめて読んでいたんです。 イシガオサム訳「エルサレム第1部」を貸していただけるという、たいへんラッキーな機会にめぐり合えまして、じっくり再読し、かつ、感動いたしました。 あれがこうなって、これはああなると分かっているにも関わらず、 胸がいっぱいになるのはなんと素敵なことでしょう。 幸せを噛みしめながら . . . 本文を読む

エルサレムⅡ セルマ・ラーゲルレーヴ

2007年02月04日 | ノーベル賞作家
エルサレムⅠから続く第二部の舞台は、スウェーデンから聖都エルサレムへと移ります。 エルサレムに到着した彼らは友情と喜びを持ってゴードン派に迎え入れられ、ゴードン派の人々は、農夫たちの善良さに驚かされます。 しかし、寒い地方からやって来た彼らにエルサレムの夏は暑すぎ、 病気によって亡くなる人も多く、何度か迷いが生じることがありますが、その度にしるしがあり、 その度に強い意志をあらたにするのです。 し . . . 本文を読む

エルサレムⅠ セルマ・ラーゲルレーヴ

2007年02月01日 | ノーベル賞作家
そろそろ大作「エルサレム」を読んでみましょうと思い立ちまして、図書館に出かけたところ、エルサレム第1部はけやき書房から出版されている「イングマルソン家の人びと」(1996年)、第2部は岩波文庫「エルサレム第2部」(1952年)という組み合わせでしか手に入りませんでした。 「イングマルソン家の人びと」は、ラーゲルレーブを優れた英訳で紹介したV・S・ハワードの訳をさらに日本語に訳したもので、解説によれ . . . 本文を読む

地主の家の物語 ラーゲルレーヴ

2007年01月29日 | ノーベル賞作家
「地主の家の物語」は、「沼の家の娘」と同様に北欧三人集に所収されているものです。 こちらも、たいへん素敵なロマンスで、旧仮名なんてなんのその、読み始めたら止まらず、いったい次はどうなるのかという思いから、ついつい夜更かししてしまいました。 地主の息子であるグンナアル・ヘエデが不幸に陥って、正気を失うのですが、かつて芸人と一緒に旅していた娘イングリッドによって、回復を果たすという物語。 彼ら2人は . . . 本文を読む

「ニルス・ホルゲルソンの不思議なスウェーデン旅行」と「ムーミン谷の冬」

2007年01月26日 | ノーベル賞作家
ラーゲルレーヴ「沼の家の娘」が大変面白かったので、 続けて「ニルス・ホルゲルソンの不思議なスウェーデン旅行」を、さらに先記事でも紹介したトーベ・ヤンソン「ムーミン谷の冬」を読みました。 どちらも名高い児童文学ですから、幼少時代に読んでいらっしゃる方も多いでしょう。 私は読まないで大人になってしまいましたが(笑) そんな人でも大丈夫。 「ニルス」も「ムーミン」も、大人になってから読んだとしても面白く . . . 本文を読む

北欧の児童文学とラーゲルレーヴ

2007年01月16日 | ノーベル賞作家
北欧の文学というと、とっつきにくいと言いますか、日本ではあまりメジャーではないですよね。 じゃあ、「ニルスのふしぎな旅」「小さなバイキングビッケ」「ムーミン」はどうですか? 年齢的なものもあるでしょうけど、私ぐらいの年代にはおなじみのキャラクターたちですよね。 「ニルスのふしぎな旅」「小さなバイキングビッケ」はスウェーデン、 「ムーミン」はフィンランドの児童文学です。 「ムーミン」の新シリーズは、 . . . 本文を読む

バラバ ラーゲルクヴィスト

2005年11月09日 | ノーベル賞作家
ウィキペディアで、キリストの磔刑というキーワードで検索をすると、 芸術・作品の項目では「文学では、ノーベル文学賞作家、ラーゲルクヴィスト著の『バラバ』が有名である」という記述があります。 この小説は、過越祭の赦免を受けて、民意の元にその罪を免れた男、 バラバの一生を描いた物語です。 バラバは助かり、磔にされたのは痩せて弱弱しい男。 何かしらその痩せた男に不思議なところを感じていたバラバは、なぜだ . . . 本文を読む

アハスヴェルスの死 ラーゲルクヴィスト

2005年11月02日 | ノーベル賞作家
本作品は「巫女」に登場する名もなきよそ者が平安を見出す物語。 「巫女」のあとがきをしっかり最後まで読んだ方なら、 この彷徨える男の行く末が気になったことでしょう。 ところが本作品は主婦の友社「キリスト教文学世界13」で紹介されたのみで、 現在では入手不可能な存在です。 私の場合は、ブログ仲間ntmymさまから譲っていただきました。 持つべきものは同好の士です。 ネットの持つ、一瞬にして仲間が集まる . . . 本文を読む

巫女 ラーゲルクヴィスト

2005年09月16日 | ノーベル賞作家
ーデルフォイを見下ろす山腹に立つ小さな家に、一人の老婆が白痴の息子と住んでいたー という一文から始まる物語。 デルフォイ、そして巫女とくれば、古代ギリシア、時は紀元1世紀ごろ。 神がかり、狂気じみた巫女が、神の言葉を伝える、つまり神託をする。 老婆は、もともと偉大な力を持つ巫(かんなぎ)として神殿に仕えていたが、神を裏切ったことから、デルフォイの人々にのろわれ、その地を追われた。 そして、もう一 . . . 本文を読む

ノーベル賞文学全集11より 「刑吏」「こびと」 ラーゲルクヴィスト

2005年09月06日 | ノーベル賞作家
半透明記録からの紹介本です。 ラーゲルクヴィストはスウェーデンの作家で、1951年にノーベル文学賞を授与されています。 が、恥ずかしながら、わたくし知りませんでした(汗) 半透明日記に紹介されているいくつかのレビューを読んで、とても興味を持ちました。 以前から、キリスト教にまつわるものには魅力を感じていたんです。 私や、多くの日本人は、信仰心をそれほど持っていないですよね。 結婚式はチャペルか神式 . . . 本文を読む