「人間以上」の装丁を見て、おおっ、懐かしい!と思われる方もおられるでしょう。
この本は、私の実家にあったもので、親の処分を免れた一冊であります。
奥付をみてみると、昭和54年7月3刷で、定価は460円。
もちろん紙面はすこぶる黄ばんでいます。
ところがですね、私は今の今まで読んでいなかったのです。
姉が購入したものであることは確かで、私としてはそのころスタージョンには興味がなかったのですね、
実家 . . . 本文を読む
「宇宙消失」は、量子力学における観測問題を軸にしたSF小説。
いわゆるシュレーティンガーの猫である。
猫が生きているのか死んでいるのかは、箱を空けることで確認されるが、箱を空けるまでは生きている/死んでいるという状態が重なり合っている。
確立は50パーセント/50パーセントだ。
「宇宙消失」は、イーガンの長編のなかでは、読みやすいほうではないかと思うが、考えれば考えるほど観測問題の厄介なところに行 . . . 本文を読む
奇想コレクションが発刊されたあたりから、ぱっと目を引くイラストや明るいパステル調の色合いの装丁が多くなってきているような気がします。
装丁につられてついつい手にとってしまう私は、出版社の策略にまんまとひっかっているわけですね。
小難しい小説は、いまちょっと避けたい気分なので、続けてコニーウィリスの短編集を読むことにしました。
『マーブル・アーチの風』はハヤカワのプラチナファンタジーの一冊。
ロン . . . 本文を読む
コニー・ウィリスの長編は、「航路」と「ドゥームズディ・ブック」「犬は勘定に入りません」と読んでいるけど、短編集は初めて。
この短編集は作品の前にちょっとした著者の覚え書が入っていて、それを読んでから本編を読み、さらに覚え書を読み返すことで、著者に近づいたような気分になれます。
「見張り」はドゥームズディ・ブックシリーズの一つで、久しぶりにキヴリンやダンワージィ教授に会えて嬉しさを感じる一方、もや . . . 本文を読む
私がハマって読んでいたギリシア悲劇でいうディアスポラとは、離散伝説のことで、トロイア戦争後の敗者であるトロイア側の生き残りが離散していく過程、およびその末路を意味します。
良い運命が待っているとはとても思えないですよね。
確かにそうなのですが、なかにはその子孫から、偉大な血脈が現れたりすることを考えると、悲惨なだけではなく、未来に対する展望も感じ取れる、私にはそういう用語のイメージがあります。
文 . . . 本文を読む
「万物理論」を読んだあと、やはり量子力学を勉強しなきゃいかんと思い立ち、入門書をリサーチしてみたけれど、どうにも数式を避けて通れないという確信が強まるばかり。
基本からやり直しだわ。
というわけで、思い立ったが吉日とブックオフへGo!
半額セールと言うこともあって、いつもは買わないようなこんな本を買った。
物理学の歴史的な流れを追いながら、基本的な考え方を学ぶにはベストな一冊。
だがしかし、 . . . 本文を読む
面白いと評判が高いグレッグ・イーガンに手を染める。
え、今頃?
と思う人も少なくなかろうが、あまり流行に頓着しない人種なので、そのへんのところは勘弁してもらいたい。
どこからかのうわさで、イーガンはかなりハードなSFだと聞き及んでいたのだが、実際に読んでみると、そうでもない。
確かに、サイエンスフィクションとしての部分は、かなりハードである。
現実的にどうかということではなくて、フィクションと . . . 本文を読む
久しぶりにSFを読む。
がっちりしたSFを読むのはちょっとかったるいので、手ごろなやつを家の本棚から引っ張り出してみた。
選んだのは「12モンキーズ」と「アンドリューNDR114」。
「アンドリュー」は映画を観ていたけれど「12モンスターズ」は観ていなかったりして。
じゃあ、なんで「12モンキーズ」のノベライズの単行本を持っていたのかと言えば、
著者がエリザベス・ハンドだったからという、ただそれだ . . . 本文を読む
ドーキンス「神は妄想である」を捲って最初に飛び込んでくるのは、
ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイクガイド」の一文。
なんとドーキンスとアダムスはお友達だったのです。
あ~、なるほど。
「銀河の果てのレストラン」はそういうことだったのか。
納得。
ドーキンスに触発されて、しばらく放っておいたヒッチハイクガイドシリーズの
続きを手に取りました。
あれ、なんで地球があるんだ?
3巻目ってどうなったん . . . 本文を読む
フレデリック・ブラウン「ミミズ天使」が読みたい。
すご~く読みたい。
と思って図書館検索をかけたところ、ナイ!
こうなったら、ブラウンなら何でもいいよ。
検索ページに表示されたリストとしばしにらめっこ。
「緑の地球」
なんか、惹かれる。
え?
児童書?
アンソロジー? . . . 本文を読む
クリケット、それはイギリス発祥のスポーツ。
野球に近いらしく、野球の原型とささやかれているらしいが、本当のところわからない。
もし、クリケットが銀河の大惨事としての記憶なら、野球もその記憶の保管に一役買っているということになる。
よし、これから野球を観戦するときはそのことを頭において、心して観ることにしよう。
クリケットについて詳しいことはウィキペディアを御覧あれ。
というか、是非見て欲しい。
面白いから。
そんな笑えるスポーツ、クリケットをギャグのネタにしたのが本書「宇宙クリケット大戦争」。
. . . 本文を読む
本書は「銀河ヒッチハイクガイド」の続編です。
なんといってもこの装丁ですよね!
アヒルちゃんですよ、アヒルちゃん。
これだけで顔がニヤつく人は、私とcountsheep99さまぐらいのものかもしれませんが(笑)
何が言いたいのかと言えば、「宇宙の果てのレストラン」は、とにかくイギリス的な笑いがふんだんにあって、その道に通じている人にとっては、「銀河」よりも面白いと感じるのじゃないかということ。
「銀河」のストーリィ展開の大胆さやスピード感は、誰が読んでも面白く感じるに違いないと思うのだけれど、イギリスのユーモアを愛する私にとっては、なにか足りない気がしてなりませんでした。
「レストラン」では、細かい笑いや、皮肉がいろいろと盛り込まれていて、本編にとってはどうでもいいような笑いが、なんともイギリスのユーモア小説らしく、楽しませてくれます。
ストーリィ的には、今後に期待というところなので、「銀河」に比べると、読者の選り好みがあるかもしれません。 . . . 本文を読む
世の中には、ユーモアSFというものがある。
途方もなくばかばかしい。
絶対、ありえない。
だが、笑える。
「銀河ヒッチハイクガイド」は、その代表格である。
どんな話かといえば、地球は銀河バイパス工事の障害物とみなされ、消滅。
工程は地球時間にして約2分。
自分の家をバイパス工事(こっちは普通の道路工事)から守ろうと泥の中に横たわっていたアーサー・デント1人を残して。
アーサーは、地球人でイギリス人でお友達だと思っていたフォード(しかし、本当はペテルギウス星付近の小惑星出身の宇宙人で、ヒッチハイカー)とともにヒッチハイクをするハメに陥る。 . . . 本文を読む
「未来のイヴ」の記事を書いたあとに、ほかの人の書いたレビューを見に行ったら、いくつかディック的であるというものがありました。
うん?そうかなぁと思っていたんですけれど、「火星のタイムスリップ」はちょっと似ているかも。
ストーリーの展開が、前半はエピソードの積み重ねで、後半になってやっと小説の全体像が見えてくるっていうところが。 . . . 本文を読む
この本は言わずと知れた超B級映画と名高い『ブレードランナー』の原作本。
私は、学生時代に映画化される以前に読んでいて、映画を見たときは「ずいぶん内容が変わっちゃったなぁ~」と思ったものです。
それでも、『ブレードランナー』は好きな映画のひとつですが。
レイチェルは美しかった。。。
そういえば、ギブスンはこの映画の街の外観を見て映画館を飛び出したとか。
心中お察しします。 . . . 本文を読む