クリスティーのシリーズものといえば、ポアロとミスマープルが真っ先に思い出されますが、作品数は少ないながらもトミーとタペンスも欠くべからざるものでしょう。
諧謔ぎみの言い回しとサスペンス風味が利いた作風で、主人公2人の青年期から老年期にかけてをそのシリーズのなかでたどることができます。
年代順に並べれば「秘密機関 (クリスティー文庫)」「おしどり探偵 (クリスティー文庫)」「NかMか (クリスティー . . . 本文を読む
あけましておめでとうございます。
ぽつぽつとしか記事を書かないブログにお付き合いいただきありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、新年最初の記事はR.D.ウィングフィールドの「フロスト気質」です。
イギリスではTVシリーズにもなっているフロストシリーズですが、こうして続刊が上下巻で発売されるところを見ると、日本での人気も高いようですね。
これまでに出版されている文庫は、「 . . . 本文を読む
コーネル・ウールリッチのブラック・シリーズをとりあえずある分だけでも読んでみましょうと「黒いカーテン」「黒いアリバイ」「黒い天使」を図書館から借りてみました。
ところで、ブラック・シリーズって何作あるのかな。
一番薄いからという理由で、最初に手に取ったのは「黒いカーテン 」。
かなり実験的な小説で、記憶喪失の男が記憶を取り戻したところから始まり、記憶をなくしていた間に、自分の身に降りかかったと思 . . . 本文を読む
このところ、どうもかったるい。
そうだ、こういうときこそミステリーだ。
あの本が溜まっている一画のどこかに、古本屋で買った古い早川ポケミスがあるはず。
ガサッ ドサッ
あった、あったぞ!
「幻の女」「妄執の影」
よし、有名な「幻の女」からいこう。
そんなわけで、購入してからはや一年が経過していたアイリッシュを読むこととなりました。
「幻の女」は、アイリッシュの代表作としても、古典ミステリの名作と . . . 本文を読む
私が中学生時代に読もうとして、途中で投げ出してしまったマープルは、
なにを隠そう「鏡は横にひび割れて」なのです。
マープルは耄碌したおばあさんだし、活力があんまり感じられない。
長年マープルを愛読んでいる読者なら、そこにマープルの他のシリーズとの違いや晩年の魅力を見出すところなのだけれど、中学生の子どもには理解しがたいところですよね。
読めなかったのも当然だったなぁと思いますが、その頃に無理に読ん . . . 本文を読む
クリスティのマープルにはまって、何冊か読んできましたが、ギリシア悲劇の影響があることは、わりと早い段階で気がつきました。
「カリブ海の秘密」「復讐の女神」は3部作を想定して書かれたものであることを知ったとき、おおっと思ったのは、言うまでもありません。
3部作構成といえば、3大悲劇詩人アイスキュロスの十八番ですから。
きっと「カリブ海の秘密」と「復讐の女神」は対称になっているはず。
3作目が、クリス . . . 本文を読む
ミステリーを読むとき、やはり自分で推理しながら読みますよね。
犯人はお前だ~~!
と確信するとき、ちょっと勝ち誇った気持ちになりますね。
ああ、やっぱりコイツだったかぁ~。
と思うときも、なんとなく優越感。
ああぁ~、だまされた~~!
と悔しがっても、気持ちよくだまされれば気分がいい(バカ?)。
ええ~、そりゃないよぉ~。
となるときは、フラストレーションがたまったりね。
まあ、こんなところがミス . . . 本文を読む
数日前にブックオフで岩波文庫ソポクレース「アンティゴネー」ヘーシオドス「仕事と日」を購入し、ギリシア悲劇に戻りたくなった私ですが、ラーゲルレーヴから悲劇では、あまりにも落差がありすぎる、リハビリをしなければとクリスティー「書斎の死体」「パディントン発4時50分」を読みました。
う~ん、まだ足りない、もう一冊。
ということで、以前ブックオフで購入しておいた「魔術の殺人」まで読んでしまいました。
はい . . . 本文を読む
「予告殺人」に引き続き、「バートラム・ホテルにて」を手に取りました。
いやあ、驚きました。
正統派本格ミステリというのは、こういうものを指す言葉なのですねぇ。
そりゃあ、つつけば甘いところも出てきますが、いいじゃないですか、娯楽小説なんですから。
あら捜しなんて無粋ですよ。
バートラム・ホテルというのは、エドワード王朝時代そのままの外観を残し、
そのたたずまいと同様に、昔ながらのイギリスを保って . . . 本文を読む
昨年末にBSでアガサ・クリスティー特集をやっていました。
ご覧になった方も多いかと思います。
我が家では、親子で鑑賞いたしましたが、熱心に観ていないと何が起こったのかわからなくなるというのが子供達の感想でした。
日本の2時間サスペンスと一緒にしちゃいかんよ。
相変わらず、グラナダTVはレベルが高いです。
それでも、次男はマープル伯母さんが気に入ったようです。
私は中学生時代にアガサ・クリスティーを . . . 本文を読む
数年前のことですが、思い立ってカドフェルシリーズを20巻まで固め読みしたことがあります。
読みやすく、面白いし、中世のイングランドという魅力的な時代背景もあいまって、
図書館から3冊くらいづつ借りては読んでいました。
しかし、図書館には20巻までしかなく、21巻目が無かったんですね~。
というか、新たに光文社から発行されたシリーズを見て、
21巻があるということを初めて知った愚か者です(笑)
本日 . . . 本文を読む
どういうわけだか、アメリカンミステリにあまり馴染みがない。
考えてみれば、学生時代によく読んだミステリはクリスティだったし、今でも好んで読むミステリはイギリス圏の作家が圧倒的に多い。
この本を読むことにした理由にしたって、イアン・ランキンがちょいと登場しているという情報をキャッチしたからという、これまたミーハーな理由。
記憶を辿ってみよう。
アメリカンミステリって、何読んだかしら。
覚えているの . . . 本文を読む
リーバス警部シリーズの第2作目。
1作目で刑事だったリーバスも、前作の連続少女誘拐絞殺事件を解決したことが認められ、警部に昇進しています。
しかも、自分専用の部屋が所内にあるらしい。
最新作では机も見当たらないリーバスに部屋。
もしかして、リーバスにとって一番いい時期じゃ? . . . 本文を読む
翻訳ミステリファンには垂涎の本書。
ところが私は、熱狂的なミステリファンではありません。
そんな私が、なぜこの本を図書館から借りたのかといえば、フランシス・アイルズが載っていたからです。 . . . 本文を読む
このところ忙しく、思うように本を読む時間が取れません。
こんなときは、読みやすくて面白い、そんな本がいいですね。
というわけで、今回はウィリアム・アイリッシュ短編集をチョイスしてみました。
アイリッシュといえば、「黒衣の花嫁」のウールリッチと同一人物。
「黒衣の花嫁」に比べますと、長編の冗長さがなく、コンパクトであるわりには、ひつひとつの濃度が高めかなと思います。
また、美しさや妖しさはあまり感じさせず、ユーモアや皮肉といった楽しみを味あわせてくれます。
. . . 本文を読む