昨年3月、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチン同時接種後に死亡例が相次いで社会問題化しました。
厚生労働省が検討会を開き「ワクチン接種と明らかな因果関係は認められない」としてワクチンを再開し、現在に至っています。
しかし、厚労省の説明では受ける側の不安をぬぐいきれず、個別接種を希望される家族がたくさんいて予防接種の現場の混乱は続いています。不利益を被るのは、結局は子ども達なのに。
そんな折、以下の記事が目にとまりました;
■ ヒブ・肺炎球菌・HPVワクチンの安全対策は現状維持ー厚労省専門家委員会が評価
(2011.1.17:薬事日報)
厚生労働省の専門家委員会は16日、インフルエンザ、子宮頸癌、Hib、小児用肺炎球菌のワクチンについて、昨年11月末までの接種に関する副反応の報告状況を評価し、いずれも特段の問題は見当たらず、新たな対応は必要ないと結論づけた。
今シーズンのインフルワクチンの推定接種は5130万回で、副反応報告が医療機関から328人(うち重篤46人)、メーカーから36人と、過去の動向と比べて頻度は高くなかった。死亡は1月10日現在で7人報告されているが、いずれもワクチンとの直接的な因果関係は認められなかった。
また、化学及血清療法研究所のワクチンでアナフィラキシー関連副反応の報告が昨シーズンより多かったものの、10万接種に1未満で2009・10年シーズンの新型インフルワクチンにおける発生率と比較すると高い値ではなかった。
子宮頸癌ワクチンについては、従来と同じように接種後の失神が他のワクチンより多かった。ただ、「これまでと比べて発現頻度に大きな変化はない」とし、転倒などによる被害防止の注意喚起を引き続き徹底することとした。
Hibと小児用肺炎球菌では、同時接種や単独接種の後の死亡が、9月の前回集計以降に4人報告されたが、現段階で明確な因果関係は認められなかった。
私がいつも疑問に思うこと。
新聞社やメディアは「危険だ!」と不安を煽る記事ばかり垂れ流しにして、このような「安全である」というニュースを伝えないことです。報道姿勢の良識を疑い、不信感がつのるばかり。
昨年12月にロタウイルスワクチンが接種できるようになりました。
当院でも導入準備を進めていますが、2つハードルが残っています。
1.同時接種をしないとスケジュールが組めない
ロタウイルスワクチンは生ワクチンなので、接種後4週間開けなければ次のワクチンができません。乳児期前半には他にBCG、三種混合(DPT)、ヒブ、肺炎球菌ワクチンなどがひしめき合っており、個別接種を希望されるとスケジュールを組むのが困難を極めます。
「同時接種を希望される方限定で予約受付」という条件にする必要があるかもしれません。
2.「行政措置予防接種」認定の有無
行政措置?・・・一般の方には耳慣れない言葉と思われますが、大切なことです。
説明の前に予備知識の確認を。
予防接種は公費補助のある「定期接種」とない「任意接種」に分かれることはご存じかと。
この2つの違いは接種費用だけではなく、実は副反応で後遺症が残った際の補償も差があるのです。
★ 「予防接種健康被害救済制度について」(厚生労働省)
3ページに給付額の比較表があります。極端な比較ですが、死亡した際に給付される一時金は「定期接種では4270万円、任意接種では711万円」と6倍近く差があることが読み取れます。
「行政措置」とは、任意接種ではあるけれど定期接種レベルの補償を受けられるように配慮した保険に自治体が加入することを意味します。目に見えにくいけれど有り難い子育てサポートですね。
実際に栃木県大田原市や群馬県高崎市では既にロタウイルスワクチンも行政措置がカバーしています。当地域の自治体にも働きかけていますが、残念ながら今のところ反応がありません。
接種を受ける子どもと家族、接種する医師共々、安心して実施できる体制に一歩でも近づけて欲しいものです。
厚生労働省が検討会を開き「ワクチン接種と明らかな因果関係は認められない」としてワクチンを再開し、現在に至っています。
しかし、厚労省の説明では受ける側の不安をぬぐいきれず、個別接種を希望される家族がたくさんいて予防接種の現場の混乱は続いています。不利益を被るのは、結局は子ども達なのに。
そんな折、以下の記事が目にとまりました;
■ ヒブ・肺炎球菌・HPVワクチンの安全対策は現状維持ー厚労省専門家委員会が評価
(2011.1.17:薬事日報)
厚生労働省の専門家委員会は16日、インフルエンザ、子宮頸癌、Hib、小児用肺炎球菌のワクチンについて、昨年11月末までの接種に関する副反応の報告状況を評価し、いずれも特段の問題は見当たらず、新たな対応は必要ないと結論づけた。
今シーズンのインフルワクチンの推定接種は5130万回で、副反応報告が医療機関から328人(うち重篤46人)、メーカーから36人と、過去の動向と比べて頻度は高くなかった。死亡は1月10日現在で7人報告されているが、いずれもワクチンとの直接的な因果関係は認められなかった。
また、化学及血清療法研究所のワクチンでアナフィラキシー関連副反応の報告が昨シーズンより多かったものの、10万接種に1未満で2009・10年シーズンの新型インフルワクチンにおける発生率と比較すると高い値ではなかった。
子宮頸癌ワクチンについては、従来と同じように接種後の失神が他のワクチンより多かった。ただ、「これまでと比べて発現頻度に大きな変化はない」とし、転倒などによる被害防止の注意喚起を引き続き徹底することとした。
Hibと小児用肺炎球菌では、同時接種や単独接種の後の死亡が、9月の前回集計以降に4人報告されたが、現段階で明確な因果関係は認められなかった。
私がいつも疑問に思うこと。
新聞社やメディアは「危険だ!」と不安を煽る記事ばかり垂れ流しにして、このような「安全である」というニュースを伝えないことです。報道姿勢の良識を疑い、不信感がつのるばかり。
昨年12月にロタウイルスワクチンが接種できるようになりました。
当院でも導入準備を進めていますが、2つハードルが残っています。
1.同時接種をしないとスケジュールが組めない
ロタウイルスワクチンは生ワクチンなので、接種後4週間開けなければ次のワクチンができません。乳児期前半には他にBCG、三種混合(DPT)、ヒブ、肺炎球菌ワクチンなどがひしめき合っており、個別接種を希望されるとスケジュールを組むのが困難を極めます。
「同時接種を希望される方限定で予約受付」という条件にする必要があるかもしれません。
2.「行政措置予防接種」認定の有無
行政措置?・・・一般の方には耳慣れない言葉と思われますが、大切なことです。
説明の前に予備知識の確認を。
予防接種は公費補助のある「定期接種」とない「任意接種」に分かれることはご存じかと。
この2つの違いは接種費用だけではなく、実は副反応で後遺症が残った際の補償も差があるのです。
★ 「予防接種健康被害救済制度について」(厚生労働省)
3ページに給付額の比較表があります。極端な比較ですが、死亡した際に給付される一時金は「定期接種では4270万円、任意接種では711万円」と6倍近く差があることが読み取れます。
「行政措置」とは、任意接種ではあるけれど定期接種レベルの補償を受けられるように配慮した保険に自治体が加入することを意味します。目に見えにくいけれど有り難い子育てサポートですね。
実際に栃木県大田原市や群馬県高崎市では既にロタウイルスワクチンも行政措置がカバーしています。当地域の自治体にも働きかけていますが、残念ながら今のところ反応がありません。
接種を受ける子どもと家族、接種する医師共々、安心して実施できる体制に一歩でも近づけて欲しいものです。