徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

オミクロン株にマスクは有効か ~感染者がマスクをしていて1m以上距離があれば、15分間会話しても感染確率は0%~

2022年02月04日 07時18分37秒 | 小児科診療
スーパーコンピューター「富岳」による新型コロナウイルスの感染シミュレーションは以前から行われてきましたが、先日、オミクロン株を想定した解析結果が報告されました。

マスクの有無、
人と人との距離、
というパラメーターを色々変えての解析結果は、
危険の認識にとどまらず、
どこから安全か、というリアルワールドでの感染対策に役立ちます。

「マスクなし15分間の会話で感染確率は60%」──理研、富岳でオミクロン株の感染リスクをシミュレーション
松浦立樹(2022年02月02日、ITmedia)より

実験では、オミクロン株の感染力をデルタ株の1.5倍に設定したそうです。
結論から申し上げますと、安全圏は、
感染者がマスクをしていて1m以上距離があれば、15分間会話しても感染確率は0%
というもの。
距離とマスクの有無で感染確率は変わります。
・マスクなし → 60%
・50㎝以内  → 30%

他のシミュレーションにおけるポイントを抜粋して列挙します;

(カラオケボックス)
・感染者が右隣の人と1時間会話をした場合、マスクを着用していても隣人の感染リスクが40%あるという。
・室内の人数が多いほど感染するリスクが増加する。1部屋当たりの人数を減らす他、歌う場所をエアコンの排気口の下にするなど、飛沫の発生場所を限定することでも感染確率を下げられる。

(飲食店)
・16人程度が入る小型飲食店に感染者が1人おり、30分間大声で話をしている場合でシミュレーションをし、換気機能が働いていて、さらにパーティションも取り入れることで感染リスクは3分の1程度まで下がる。
・法令に定められている換気だけでは、オミクロン株の新規感染者数が必ず増える状態にあると分かった。換気やパーティションなど対策を施すことでリスクを3分の1まで下げられる。

あれ?
パーテーションは空気がよどんで喚起効率が悪くなるから推奨されない、と聞いていましたが、それは否定されたのかな・・・。


↑ マスクを着けず、15分間話す感染者と対面した時の感染リスク。
縦軸が感染リスクで横軸が距離。実線は平均値で、最大値は一点鎖線、最小値は破線で変動


↑ マスクを着けて、15分間話す感染者と対面した時の感染リスク


↑ 1m(マスク非装着)と50cm(マスク装着)の距離での感染確率と時間の関係 

↑ (飲食店)1時間滞在で新規に発生する感染者数の期待値 

↑ (カラオケボックス)新規感染者の期待値。室内の人数(左)と歌唱場所による違い(右) 


同じデータを用いたNHKの記事では以下のように伝えています。
こちらの方がわかりやすいかな。



会話とマスクの有無
・感染している人と15分間対面で会話したときの平均の感染確率は、
感染者がマスクをしている場合、
→ 1メートル以上の距離ではほぼ0%
→ 50センチ以内の距離ではおよそ14% 
感染者がマスクをしていない場合、
→ 1メートルの距離でおよそ60%
→ 50センチ以内の距離ではほぼ100%

・会話する時間が長くなると感染確率は上昇し、50センチの距離で1時間会話すると、マスクをした状態でも感染確率は平均でおよそ10%、最大では27%余りになる。

イベント会場
・イベント時に隣に座った人と会話をしたシミュレーションでは、
→ 感染者がマスクをした場合、隣の人は40%
→ 感染者がマスクをしていない場合、周囲の人に50%近い感染確率
→ 感染者がマスクをして1席分の間隔を空けて座った場合には、感染リスクを大幅に抑えられる。   

・学校の授業などはマスクをして十分な距離をとれば感染リスクは低いと指摘し、近い距離で会話することが増える休み時間は飛まつが充満しないよう短時間で複数に分けて取ることも対策の一つ 。
 
飲食店
・飲食店での感染のリスクについても分析。シミュレーションは、およそ44平方メートルの飲食店で16人の客がマスクを外して1時間滞在し、感染している客の1人が大声で30分間会話するという想定で行われた。

→ 法律で店内に設置することが義務づけられている換気装置だけが作動している場合と、それに加えて、エアコンも作動させた場合を比較すると、
エアコンも作動させた方が、感染確率が2割から3割程度、減少する。
→ちゅう房の換気扇を作動させ、テーブルにパーティションを設置すると、
感染確率は3分の1程度まで下がる。 

カラオケボックス
カラオケボックスで歌う際に座る位置で感染リスクがどう変わるか。
およそ8平方メートルの定員9人のカラオケボックスに、マスクを着用せずに1時間滞在し、感染者が1人いた場合を想定。

・定員いっぱいの9人では、
→ 全員が大声で歌い続けた場合、平均の感染確率は35%で、2.8人の新規感染者の発生が予測された
→ 1人ずつ自分の席で歌った場合には、平均の感染確率は9%で、新規感染者数は0.7人に抑えられた。

・グループを分割して、同じ部屋に入る人数を減らすことで感染リスクを低く抑えられることも分かりました。

・部屋の排気口の下で1人ずつ歌った場合は、平均の感染確率は4%、新規感染者数は0.3人と、自分の席で歌った時に比べ感染リスクを半減できる。

・歌う場所を決めることで、飛沫の発生か所が限定され、感染リスクの低減が期待できる。

・歌う人以外がマスクをすることで、新規感染者の発生が2分の1から3分の1ほど低減できる
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