現行のインフルエンザワクチンの効果は5〜6ヶ月しか維持できず、そのため毎年接種する必要がある、とテキストには書かれています。
でも、だんだん効果がなくなっていくのか、6ヶ月までは十分だけどその後ストンと効果が落ちるのか、についてはどこにも書かれていません。
そんな疑問に直球で答えてくれる論文が香港から発表されました。
ワクチンの効果は「徐々に」低下していくようです。
ワクチン接種後の有効率は、
(0.5〜2ヶ月)79%
(2〜4ヶ月)60%
(4〜6ヶ月)57%
(7〜9ヶ月)45%
とのこと。
一般にインフルエンザワクチンの有効率は50〜70%程度とされていますから、この報告の数字はまあ肯けます。
他のワクチンの有効率はふつう80〜90%ですから、インフルエンザワクチンに同等の効果が期待できるのは、接種後2ヶ月以内という寂しい結果ですね。
もっと効くワクチンができないかなあ・・・。
■ インフルエンザワクチンの有効性は予防接種後、時間経過とともに低下する
(原著)
・Feng S, Chiu SS, Chan ELY, et al. Effectiveness of influenza vaccination on influenza-associated hospitalisations over time among children in Hong Kong: a test-negative case-control study. Lancet Respir Med. 2018 Nov 12. pii: S2213-2600(18)30419-3; doi: 10.1016/S2213-2600(18)30419-3
(背景)
インフルエンザ予防接種による保護効果の持続期間は一般に一年以下と考えられるため、毎年再接種する必要がある。しかし、インフルエンザワクチンの有効性が一年中に低下する速度は不明である。このことは、インフルエンザ通年にわたり流行する地域で特に重要である。我々は、香港ではほぼ通年にわたりインフルエンザが流行することを活用して、予防接種から入院までの間にインフルエンザワクチンの有効性が時間間隔ごとにどのように変化するか評価することを目指した。
(方法)
この検査陰性症例対照研究では、連続する5年間(2012~2017年)に香港の病院に入院した子供(生後6カ月~17歳)におけるワクチンの有効性を解析した。発熱(≥38°C)、および鼻水、咳嗽または咽喉痛といった呼吸器症状により香港の公共病院4カ所の一般病棟に入院した患者を対象とした。直接免疫蛍光法および逆転写PCR法を用いてインフルエンザウイルス感染を検出し、子供のインフルエンザ予防接種歴を記録した。陽性例と陰性対照例の特徴を比較し、予防接種から入院までの間にワクチンの有効性が時間ごとにどのように変化したかを回帰解析により考察した。
(結果)
2012年9月1日~2017年8月31日に、呼吸器感染のため入院した子供15,695人を登録した。2,500人(15.9%)がA型またはB型インフルエンザ陽性、13,195人(84.1%)の検査結果が陰性であった。インフルエンザ陽性例159例(6.4%)およびインフルエンザ陰性例1,445例(11.0%)が予防接種を受けていた。大半の予防接種は、毎年のインフルエンザ予防接種シーズンの12月までに行われていた。インフルエンザに関連した入院は通年にわたり発生しており、ピーク時期は大半の年で1月~3月であったが、2016年には夏季に大きな流行ピークを迎えていた。
全年齢の子供の統合ワクチン有効性は、
・9月~12月では79%(95% CI 42~92)
・1月~4月では67%(57~74)
・5月~8月では43%(25~57)
であった。
A型インフルエンザまたはB型インフルエンザに対するワクチンの有効性は、
・予防接種から0.5~2カ月以内では79%(95% CI 64~88)
・>2~4カ月では60%(46~71)
・>4~6カ月では57%(39~70)
・>6~9カ月では45%(22~61)
と推定された。タイプ別および亜型別で行われた別の解析では、ワクチンの有効性は一カ月当たり2~5%低下すると推定された。
(考察)
インフルエンザワクチンの有効性は、香港の子供への予防接種後9カ月間にわたり低下した。我々の結果は子供に対する毎年の予防接種の重要性を確認するものである。インフルエンザの季節性が不規則またはインフルエンザ流行期間が長い地域で通年にわたり保護効果を提供するために、保護効果がより幅広く長期間続くインフルエンザワクチンが必要とされる。
でも、だんだん効果がなくなっていくのか、6ヶ月までは十分だけどその後ストンと効果が落ちるのか、についてはどこにも書かれていません。
そんな疑問に直球で答えてくれる論文が香港から発表されました。
ワクチンの効果は「徐々に」低下していくようです。
ワクチン接種後の有効率は、
(0.5〜2ヶ月)79%
(2〜4ヶ月)60%
(4〜6ヶ月)57%
(7〜9ヶ月)45%
とのこと。
一般にインフルエンザワクチンの有効率は50〜70%程度とされていますから、この報告の数字はまあ肯けます。
他のワクチンの有効率はふつう80〜90%ですから、インフルエンザワクチンに同等の効果が期待できるのは、接種後2ヶ月以内という寂しい結果ですね。
もっと効くワクチンができないかなあ・・・。
■ インフルエンザワクチンの有効性は予防接種後、時間経過とともに低下する
(原著)
・Feng S, Chiu SS, Chan ELY, et al. Effectiveness of influenza vaccination on influenza-associated hospitalisations over time among children in Hong Kong: a test-negative case-control study. Lancet Respir Med. 2018 Nov 12. pii: S2213-2600(18)30419-3; doi: 10.1016/S2213-2600(18)30419-3
(背景)
インフルエンザ予防接種による保護効果の持続期間は一般に一年以下と考えられるため、毎年再接種する必要がある。しかし、インフルエンザワクチンの有効性が一年中に低下する速度は不明である。このことは、インフルエンザ通年にわたり流行する地域で特に重要である。我々は、香港ではほぼ通年にわたりインフルエンザが流行することを活用して、予防接種から入院までの間にインフルエンザワクチンの有効性が時間間隔ごとにどのように変化するか評価することを目指した。
(方法)
この検査陰性症例対照研究では、連続する5年間(2012~2017年)に香港の病院に入院した子供(生後6カ月~17歳)におけるワクチンの有効性を解析した。発熱(≥38°C)、および鼻水、咳嗽または咽喉痛といった呼吸器症状により香港の公共病院4カ所の一般病棟に入院した患者を対象とした。直接免疫蛍光法および逆転写PCR法を用いてインフルエンザウイルス感染を検出し、子供のインフルエンザ予防接種歴を記録した。陽性例と陰性対照例の特徴を比較し、予防接種から入院までの間にワクチンの有効性が時間ごとにどのように変化したかを回帰解析により考察した。
(結果)
2012年9月1日~2017年8月31日に、呼吸器感染のため入院した子供15,695人を登録した。2,500人(15.9%)がA型またはB型インフルエンザ陽性、13,195人(84.1%)の検査結果が陰性であった。インフルエンザ陽性例159例(6.4%)およびインフルエンザ陰性例1,445例(11.0%)が予防接種を受けていた。大半の予防接種は、毎年のインフルエンザ予防接種シーズンの12月までに行われていた。インフルエンザに関連した入院は通年にわたり発生しており、ピーク時期は大半の年で1月~3月であったが、2016年には夏季に大きな流行ピークを迎えていた。
全年齢の子供の統合ワクチン有効性は、
・9月~12月では79%(95% CI 42~92)
・1月~4月では67%(57~74)
・5月~8月では43%(25~57)
であった。
A型インフルエンザまたはB型インフルエンザに対するワクチンの有効性は、
・予防接種から0.5~2カ月以内では79%(95% CI 64~88)
・>2~4カ月では60%(46~71)
・>4~6カ月では57%(39~70)
・>6~9カ月では45%(22~61)
と推定された。タイプ別および亜型別で行われた別の解析では、ワクチンの有効性は一カ月当たり2~5%低下すると推定された。
(考察)
インフルエンザワクチンの有効性は、香港の子供への予防接種後9カ月間にわたり低下した。我々の結果は子供に対する毎年の予防接種の重要性を確認するものである。インフルエンザの季節性が不規則またはインフルエンザ流行期間が長い地域で通年にわたり保護効果を提供するために、保護効果がより幅広く長期間続くインフルエンザワクチンが必要とされる。