還暦過ぎの阿乱怒論

家庭菜園や工作好きの爺父が日々感じたことを綴る独り言

映画「最後の忠臣蔵」

2011-01-09 23:04:39 | 日記
先週の「ノルウェイの森」に続いて、今日は映画「最後の忠臣蔵」を見てきた。
(夫婦50割なので映画も気楽に見られる)

物語は討ち入りには参加したが切腹せずに83才まで生き延びた「寺坂吉右衛門」と、討ち入り日決定後に逐電した侍5人のうちの一人「瀬尾孫左衛門」を中心に、討ち入りの16年後を描いた作品である。

討ち入り時に伝令役として一部始終を見てきた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)は、大石内蔵助から「生き延びて、討ち入りの真実を赤穂の遺族たちに伝え、彼らの生活を助ける」という役目を言いつけられ、全国に散らばって苦労している人々を訪ね歩く。

一方、命惜しさに直前に逃げたと言われている瀬尾孫左衛門(役所広司)は、出産を控えている大石内蔵助の妾「お軽(映画ではお可留)」とその子供「可音(桜庭ななみ)」を公儀から守り、育て上げる役目を大石から命じられていたのだ。

二人共、武士でありながら「名誉ある死」を許されず、特に孫左衛門は卑怯者とののしられつつ主君の使命を守り可音を育てることに専念、16年後に可音を嫁がせる。

自分の気持ちを抑え、忠義を至上の命題とする武士を役所広司が見事に演じていた。

婚礼の宴を途中で抜け出し、逐電する時に内蔵助から「いざという時に大石家の家臣である証にせよと渡された内蔵助のカミシモを身につけ位牌の前で・・・・。
最後に孫左衛門の脳裏に可音の成長する姿が次々に浮かんでくるシーンは涙なしには見れない。

真っ青な竹林や紅葉に染まる林道、ススキの原での切りあい・・・等の美しい映像や、たてまえを重んじ無言で凛とした武士の生きざま、可音やゆう(安田成美)の奥深い思い・・・・。

やはり日本人監督ならではの作品である、満足できる映画だった。

桜庭ななみが上級武士の娘役にぴったりで、役所広司とこの二人がこの映画の成功の一因であろう。



欲望のおもむくままに勝手気ままに生きている現代人。
「武士でござる」と「ゆう」の誘惑を退ける孫左衛門。

誘惑に弱い自分にはできないけど、格好いいなあ。



孫左衛門の話はフィクションだろうが、討ち入りに参加しなかったり、途中で逐電した武士の中には、人には言えないそれぞれの重い事情を抱えた者もいたことであろう。
思想的転向やその他の諸々の変節についての評価が定まっている者についても、同様にレッテル的な評価で決めつけてしまわないのがいいのかも知れないと感じた映画であった。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (柏の隠居)
2011-01-10 20:08:10
浪花節やなあ・・・。観たい映画ができた。ありがとう。
Unknown (柏獅子)
2011-01-12 20:36:08
阿乱怒論さん
映画の筋をうろ覚えで図書館に行った時、『武士の尾』森村誠一、幻冬社、が目に入り、今、読んでいますが、これは、大石が、討ち入り部隊と別に、『後ろ備え』としての隊を用意していたという話。高田郡兵衛を主人公に、彼らの心の葛藤を描いている。まだよみかけですが、忠臣蔵は日本人の琴線に触れるのですかねえ。特に、兵庫のお方達は地元ですからねえ。
柏獅子さん (阿乱怒論)
2011-01-13 22:31:18
高田郡兵衛ですか、一般的な評価は卑怯者ということですが、同じような話は城代家老の大野九郎兵衛に関して残っているようです。討入りが失敗した時のために部下15名を連れて、吉良が子供である米沢藩主「上杉綱憲」を頼って逃走してくることを想定して、出羽の板谷峠に潜伏していたそうです。
討入り成功の報を聞き、随喜の涙を流して部下と共に切腹したらしい、板谷峠には供養碑があるそうです。
いずれにしても日本人の心をくすぐる話ですね。
また読みたい本が増えました。

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