元家族会副代表・蓮池透インタビュー
米朝会談でもトランプ任せの安倍首相に蓮池透が怒りの告白!
「安倍首相は本気で北朝鮮と向き合う気がない」
蓮池透
LITERA(リテラ)
2018.06.15
歴史的な米朝首脳会談が終わった。既報のとおり、安倍首相はこの間、「米朝会談は拉致問題解決の千載一遇の機会」と喧伝してきたが、蓋を開ければ米朝の合意文書では拉致問題は一言も触れられず、トランプ大統領も「提起した」と述べただけで、具体的な内容は一切明かされなかった。
にもかかわらず、安倍首相は「拉致問題について明確に提起していただいたことについて、トランプ大統領に感謝したい」と尻尾を振りながら、「やり取りについては、今の段階では詳細について申し上げることはできません」と煙に巻いた。
すでに拉致被害者の曽我ひとみさんがマスコミ向けのコメントで「とても残念としか言えません」と失望を表明しているが、拉致被害者の家族はいま、どのように感じているのか。
米朝会談から一夜明けた13日、本サイトは元「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)副代表・蓮池透氏にインタビューを行った。周知のように蓮池透氏は、2002年に帰国した拉致被害者の蓮池薫さんの兄であり、近年では、安倍首相らによる拉致問題の政治利用と圧力一辺倒を真っ向から批判している。
米朝会談は蓮池氏の目にどう映ったのか。日本政府はどのようにして北朝鮮と向き合うべきか。安倍首相の言う「拉致問題の解決」は可能なのか。蓮池氏は「批判のための批判」ではなく、具体的方策を示しながら、現状の問題点を鋭く指摘した。ぜひ、最後まで読んでいただきたい。
(編集部)
【米朝会談の揚げ足取りばかりのNHKはじめマスコミはどうかしている】
──まず、米朝会談について率直な感想を聞かせてください。
蓮池透氏(以下、蓮池) 米朝会談自体は評価していますよ。マスコミは揚げ足とりばかりしていますが、平和を望んでいないんですか、と言いたくなってしまう。だいたい、昨年まで戦争が勃発するとまで言われたんですよ。それなのにわずか1年足らずで、両国トップが握手をして、これから平和を目指そうという、そうした外交的にもダイナミックな合意のはずなのに、まったく評価しないなんてどうかしています。
とくに驚いたのが、米朝会談の後、NHKで過去の核合意破綻の歴史をVTRで繰り返し流していたこと。結局、あなたがたは、また破綻させたいのか。いや、本当に破綻を望んでいるとしか思えない。合意についても「譲歩しすぎだ」とかのイチャモンばかりです。トランプ大統領を手放しで支持する気はないけれど、こと今回に関しては「これが始まりとなる」と言われている。
だったら、一定の評価をしたうえで、これから合意の具体化に向けて関係各国、とくに日本はどのような役割を演じなければならないのか、例えば後押しをするとか、監視をするとか、を前向きに論じること、そういう誠実な態度をとるべきでしょう。
むしろ、マスコミが批判すべきは、米朝首脳会談はそもそも拉致問題を議論する場ではなく、それを必死でごまかそうとしている安倍首相の態度です。
──たしかに、安倍首相が拉致問題の進展がなかったのをごまかしていたのはミエミエでしたね。
蓮池 前回の日米会談の時と同様、今回も安倍さんはトランプ大統領からの電話報告について「詳細について申し上げることができない」と言っていましたが、言うことがなかっただけでしょう。何もないから。
それなのに、「拉致問題をトランプ大統領は提起してくれた」などと胸を張っている。
だからなんなんでしょうか。ようするに「トランプ様、拉致問題を取り上げてくれてありがとう」と言っているだけ。いつまで他人事にしているのか、と呆れました。
会談前からそうでしたよね。「トランプさんから『100%保証する』と言われた」なんて自慢して。
トランプ氏も「自分でやれ」って思っているのではないですか。実際、トランプ氏は日米会談の時、拉致問題については「安倍総理のグレイト・パーソナル・インポータンス」と言っている。当然でしょう。その言葉の裏は「お前、自分のことは自分でやれ。俺に頼るなよ」ということですから。
だいたい、日本が当事者なんだから、拉致問題をアメリカに頼むなんて筋違いだし、ありえない話で、大変恥ずかしいことです。そういう意味では、米朝会談は「安倍外交」の敗北なのだと思います。しかも、安倍さんや政府は、ただのアメリカ頼みなのに、家族や国民に過大な期待を与えている。ほんとうに罪作りだと思います。
──しかし、マスコミはそのことはほとんど追及しません。
蓮池 一昨日のトランプ氏の会見だって、日本のメディアは拉致問題についてほとんど質問していないでしょ、質問したのは上杉隆さんの「ニューズ・オプエド」ですよ。安倍首相が拉致問題で語ることがないから、質問しないという忖度でもしたのでしょうか。
マスコミはアメリカ任せの安倍首相に対してもっと「日本のことは日本でやれ」と突っ込まければならないんです。トランプ氏任せの日本政府はおかしいと思わないのならば、もう、日本は独立国家じゃなくて従属国家ではないですか。でも、テレビも新聞もそれを指摘しない。NHKなんて「トランプ大統領が日本の拉致問題を取り上げた」などと嬉々としてニュース速報を打っていた。言及しただけで何もわからない。ましてや合意文書に一言も入っていなかったのに、ですよ。
マスコミは結局、安倍首相の宣伝をしているだけ。ネットでも話題になっていましたが「会場をシンガポールにセッティングしたのは安倍総理」なんていう話を流したり、番組でもトランプ大統領の中継の最中に突然、安倍さんの会見へ切り替えたり。本当に露骨すぎます。
米朝会談でもトランプ任せの安倍首相に蓮池透が怒りの告白!
「安倍首相は本気で北朝鮮と向き合う気がない」
蓮池透
LITERA(リテラ)
2018.06.15
歴史的な米朝首脳会談が終わった。既報のとおり、安倍首相はこの間、「米朝会談は拉致問題解決の千載一遇の機会」と喧伝してきたが、蓋を開ければ米朝の合意文書では拉致問題は一言も触れられず、トランプ大統領も「提起した」と述べただけで、具体的な内容は一切明かされなかった。
にもかかわらず、安倍首相は「拉致問題について明確に提起していただいたことについて、トランプ大統領に感謝したい」と尻尾を振りながら、「やり取りについては、今の段階では詳細について申し上げることはできません」と煙に巻いた。
すでに拉致被害者の曽我ひとみさんがマスコミ向けのコメントで「とても残念としか言えません」と失望を表明しているが、拉致被害者の家族はいま、どのように感じているのか。
米朝会談から一夜明けた13日、本サイトは元「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)副代表・蓮池透氏にインタビューを行った。周知のように蓮池透氏は、2002年に帰国した拉致被害者の蓮池薫さんの兄であり、近年では、安倍首相らによる拉致問題の政治利用と圧力一辺倒を真っ向から批判している。
米朝会談は蓮池氏の目にどう映ったのか。日本政府はどのようにして北朝鮮と向き合うべきか。安倍首相の言う「拉致問題の解決」は可能なのか。蓮池氏は「批判のための批判」ではなく、具体的方策を示しながら、現状の問題点を鋭く指摘した。ぜひ、最後まで読んでいただきたい。
(編集部)
【米朝会談の揚げ足取りばかりのNHKはじめマスコミはどうかしている】
──まず、米朝会談について率直な感想を聞かせてください。
蓮池透氏(以下、蓮池) 米朝会談自体は評価していますよ。マスコミは揚げ足とりばかりしていますが、平和を望んでいないんですか、と言いたくなってしまう。だいたい、昨年まで戦争が勃発するとまで言われたんですよ。それなのにわずか1年足らずで、両国トップが握手をして、これから平和を目指そうという、そうした外交的にもダイナミックな合意のはずなのに、まったく評価しないなんてどうかしています。
とくに驚いたのが、米朝会談の後、NHKで過去の核合意破綻の歴史をVTRで繰り返し流していたこと。結局、あなたがたは、また破綻させたいのか。いや、本当に破綻を望んでいるとしか思えない。合意についても「譲歩しすぎだ」とかのイチャモンばかりです。トランプ大統領を手放しで支持する気はないけれど、こと今回に関しては「これが始まりとなる」と言われている。
だったら、一定の評価をしたうえで、これから合意の具体化に向けて関係各国、とくに日本はどのような役割を演じなければならないのか、例えば後押しをするとか、監視をするとか、を前向きに論じること、そういう誠実な態度をとるべきでしょう。
むしろ、マスコミが批判すべきは、米朝首脳会談はそもそも拉致問題を議論する場ではなく、それを必死でごまかそうとしている安倍首相の態度です。
──たしかに、安倍首相が拉致問題の進展がなかったのをごまかしていたのはミエミエでしたね。
蓮池 前回の日米会談の時と同様、今回も安倍さんはトランプ大統領からの電話報告について「詳細について申し上げることができない」と言っていましたが、言うことがなかっただけでしょう。何もないから。
それなのに、「拉致問題をトランプ大統領は提起してくれた」などと胸を張っている。
だからなんなんでしょうか。ようするに「トランプ様、拉致問題を取り上げてくれてありがとう」と言っているだけ。いつまで他人事にしているのか、と呆れました。
会談前からそうでしたよね。「トランプさんから『100%保証する』と言われた」なんて自慢して。
トランプ氏も「自分でやれ」って思っているのではないですか。実際、トランプ氏は日米会談の時、拉致問題については「安倍総理のグレイト・パーソナル・インポータンス」と言っている。当然でしょう。その言葉の裏は「お前、自分のことは自分でやれ。俺に頼るなよ」ということですから。
だいたい、日本が当事者なんだから、拉致問題をアメリカに頼むなんて筋違いだし、ありえない話で、大変恥ずかしいことです。そういう意味では、米朝会談は「安倍外交」の敗北なのだと思います。しかも、安倍さんや政府は、ただのアメリカ頼みなのに、家族や国民に過大な期待を与えている。ほんとうに罪作りだと思います。
──しかし、マスコミはそのことはほとんど追及しません。
蓮池 一昨日のトランプ氏の会見だって、日本のメディアは拉致問題についてほとんど質問していないでしょ、質問したのは上杉隆さんの「ニューズ・オプエド」ですよ。安倍首相が拉致問題で語ることがないから、質問しないという忖度でもしたのでしょうか。
マスコミはアメリカ任せの安倍首相に対してもっと「日本のことは日本でやれ」と突っ込まければならないんです。トランプ氏任せの日本政府はおかしいと思わないのならば、もう、日本は独立国家じゃなくて従属国家ではないですか。でも、テレビも新聞もそれを指摘しない。NHKなんて「トランプ大統領が日本の拉致問題を取り上げた」などと嬉々としてニュース速報を打っていた。言及しただけで何もわからない。ましてや合意文書に一言も入っていなかったのに、ですよ。
マスコミは結局、安倍首相の宣伝をしているだけ。ネットでも話題になっていましたが「会場をシンガポールにセッティングしたのは安倍総理」なんていう話を流したり、番組でもトランプ大統領の中継の最中に突然、安倍さんの会見へ切り替えたり。本当に露骨すぎます。