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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

雷サージ発生回路(序)

2009-07-20 20:05:59 | 電子回路
雷サージ発生回路解析のための準備体操

EMCのイミュニティ試験等に雷サージ発生回路が使用されます。
実際の回路は添付回路図のe(t)と並列にもう1本抵抗が入ります。この追加される1本の抵抗によって、C2に一旦電荷が蓄えられた後、C1、C2の電荷が放電されて急峻に立上り、やや緩やかに立ち下がる雷サージ電圧を出力します。

雷サージ発生回路の過渡特性はかなり複雑なので、導入のために、ひとまず抵抗を1本取去った添付の回路の過渡特性を求めてみます。


まず方程式をたてます。

i(t)={q1(t)/C1-q2(t)/C2}/R
i(t)=q1(t)/C1R-q2(t)/C2R ----- ①

(初期条件: q1(0)=E0*C1  q2(0)=0 )

式①をラプラス変換します。
I=Q1/C1R-Q2/C2R ----- ②

dq1(t)/dt=-i(t)    [ q1(t)=-∫ i(t) dt ]
ラプラス変換すると
sQ1-q1(0)=-I
Q1=-I/s+q1(0)/s

dq2(t)/dt=i(t)
ラプラス変換すると
sQ2-q2(0)=I
Q2=I/s+q2(0)/s 

Q1とQ2を式②に代入します。
I={-I/s+q1(0)/s }/ C1R-{ I/s+q2(0)/s }/ C2R

初期条件より
I={-I/s+E0*C1 /s }/ C1R-I/s / C2R
I={-I+E0*C1 }/ sC1R-I/sC2R
I=-I/ sC1R+E0/ sR-I/sC2R
I+I/ sC1R+I/sC2R=E0/ sR
(1+1/ sC1R+1/ sC2R)I=E0/ sR

両辺にsRをかけて
(sR+1/C1+1/C2)I=E0 
I=E0 / (sR+1/C1+1/C2)
I=(E0 /R) / (s+1/C1R+1/C2R)
I=(E0 /R) / {s+(1/C1R+1/C2R)}

e^at ⇔ 1/ (s-a) の変換式に当てはめて
逆ラプラス変換します。

i(t)=(E0 /R) e^-(1/C1R+1/C2R) t
となりました。

次にe(t)を求めてみましょう。

dq1(t)/dt=-i(t)
q1(t)=∫-(E0 /R) e^-(1/C1R+1/C2R) t dt 
q1(t)=-(E0 /R) ∫ e^-(1/C1R+1/C2R) t dt 
q1(t)=-(E0 /R)[{-1/(1/C1R+1/C2R)} e^-(1/C1R+1/C2R) t+A] 
(Aは積分定数)
q1(t)={(E0 /R)/(1/C1R+1/C2R)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-(E0 /R)A

e(t)=q1(t)/C1 
e(t)={(E0 /R)/ C1(1/C1R+1/C2R)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-(E0 /R)A/C1
e(t)={(E0 / C1R)/ (1/C1R+1/C2R)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-(E0 / C1R)A

分母分子にC1Rをかけて
e(t)={E0 /(1+C1/C2)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-(E0 / C1R)A

初期条件より
e(0)=E0 
E0 /(1+C1/C2) -(E0 / C1R)A=E0 両辺をE0で割って
1/(1+C1/C2) -A/ C1R=1
C1R /(1+C1/C2) -A=C1R
A=C1R /(1+C1/C2) -C1R
A=C1R {1/(1+C1/C2) -1}


e(t)={E0 /(1+C1/C2)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-(E0 / C1R)A
A=C1R {1/(1+C1/C2) -1} を代入する

e(t)={E0 /(1+C1/C2)} e^-(1/C1R+1/C2R) t
-(E0 / C1R) C1R {1/(1+C1/C2)-1}
e(t)={E0 /(1+C1/C2)} e^-(1/C1R+1/C2R) t-E0/ (1+C1/C2)+E0 
この式が意味が分かりやすい。

e(t)=E0 e^-(1/C1R+1/C2R) t /(1+C1/C2) -E0/(1+C1/C2)+E0 
e(t)=(E0 e^-(1/C1R+1/C2R) t-E0 ) / (1+C1/C2)+E0 
e(t)=E0 ( e^-(1/C1R+1/C2R) t-1) /(1+C1/C2)+E0 
これはエクセルに入力しやすい。意味もまあまあわかる。

求めたe(t)をエクセルでグラフ化したものが添付図です。
C2=C1であれば理屈通りe(t)/2に落ち着きます。
C2=3C1であれば青のグラフラインです。
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