ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

大野病院事件 第6回公判

2007年07月21日 | 大野病院事件

コメント(私見):

大野病院事件の第6回公判が昨日行われました。今回は、鑑定書を作成した田中憲一教授(新潟大学医学部産科婦人科学講座)の証人尋問が行われました。

田中教授のご専門は婦人科腫瘍学であり、『周産期は専門でないので、一般的な産婦人科専門医としての知識でしか鑑定できない』とご自身が述べられています。

また、田中教授ご自身が『約30年前の若手医局員だった時代に、新潟大病院で手術助手として癒着胎盤を経験したことがある』と証言されたようです。その後は、大学で研究者として、婦人科腫瘍学の研究一筋に打ち込んでこられたわけですから、『ご自身での癒着胎盤例の執刀経験は、未だ一度もない』ものと推察いたします。

従って、今回の鑑定書は、実質的には、専門外の一医師による文献的考察という位置付けになるとも考えられます。今後、周産期医学の専門家によって正式に鑑定書が作成される必要があると考えられます。

裁判は法律の専門家達によって行われます。法律の専門家達は、医学に関しては全くの素人の集団ですから、いきなり『癒着胎盤!』などと訳の分からないことを言われても、一体全体何のことやらさっぱり見当もつかないことでしょう。鑑定書の記載内容(この場合は癒着胎盤に関する専門家の意見)が裁判の動向を大きく左右するわけですから、鑑定を依頼するのであれば、ちゃんとその道の専門家に依頼してもらわないと困ります。田中教授ご自身も、この鑑定書の記載内容が、まさか後にこんな大きな問題になろうとは、鑑定書を作成した当時は全く予感もされてなかったことと思われます。

参考:鈴木 寛(参議院議員)・現代医療問題に関する対談集: 医療崩壊への処方箋

福島県立大野病院の医師逮捕事件について(自ブロク内リンク集)

Lohas Medical Blog
 福島県立大野病院事件第六回公判(0)
 
福島県立大野病院事件第六回公判(1)
 福島県立大野病院事件第六回公判(2)

New! 第六回公判(07/7/20) 傍聴記録詳報
(周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページ)

****** 朝日新聞、2007年7月21日

大野病院事件公判

「子宮摘出が原則」 鑑定書作成医が証言

 県立大野病院で04年に女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた、産科医K被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。県警の依頼で鑑定書を作成した新潟大学医学部の田中憲一教授が証人として出廷し、癒着胎盤を無理にはがした場合の危険性などについて証言した。

 田中教授は、同大医学部付属病院産科婦人科長で、主に婦人科の腫瘍学を専門にしている。検察側は、胎盤の癒着を認識した時点で、はがすのを中止し、子宮摘出に移るべきだったと主張。弁護側は止血のために剥離が必要だったとして争っている。

 田中教授は検察側の主尋問に、「無理に胎盤を剥離すれば、大出血する恐れがあり、剥離が困難な場合は続けず、原則的に子宮を摘出した方が良い」と証言。K医師が子宮摘出に移ったタイミングは「ちょっと遅かった」とした。早期に子宮摘出をしていれば、「救命可能性はあった」と検察側の主張に沿った意見を述べた。

 ただし、田中教授は一般論として「癒着の範囲が狭い場合は、はがして良い事例もある」とした上で、癒着範囲をどう判断するかは「手術する医師による」とした。

 また、K医師が手術用ハサミの先端を使って胎盤をはがしたことの当否は「判断しかねる。周産期が専門の医師が証明するなら使用しても良いと思う」と述べた。

(朝日新聞、2007年7月21日)

****** 読売新聞、2007年7月21日

鑑定書作成医師が証言 大野病院事件公判

 大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われている産婦人科医、K被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、加藤被告の処置を検証する鑑定書を作成した産婦人科医の田中憲一・新潟大教授に対する証人尋問が行われた。

 田中教授は、K被告の逮捕後、女性に対する検査や手術中の処置の是非などについて鑑定。検察側主張の有力な根拠になっている。

 田中教授は、K被告が手術前の超音波検査で撮影した子宮内部の写真から「子宮前壁で胎盤と子宮の癒着を疑っていいと思った」と証言。そのうえで胎児を取り出した後の処置について「胎盤のはく離は困難で時間もかかっており、(大量出血を防ぐため)子宮摘出に移行してもよかったのではないか」と述べた。はく離の際に手術用ハサミを使った点も否定的な見解を示した。

 次回8月31日は、初めてK被告に対する被告人質問が行われる。

(読売新聞、2007年7月21日)

****** 毎日新聞、2007年7月21日

大野病院医療事故:鑑定教授は手術処置に疑問呈す--第6回公判 /福島

 県立大野病院(大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、K被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。手術処置の妥当性などを鑑定した新潟大教授が「胎盤を手ではがせなかった時点で、子宮を摘出すべきだった」と証言し、胎盤はく離後に子宮を摘出した加藤被告の処置に疑問を呈した。一方で「術者が可能だと判断すれば、はく離を継続することもある」とも語り、執刀医の裁量を認めた。

 鑑定した教授は胎盤はく離に約15分かかっているとし、病理鑑定で癒着胎盤の範囲が広かったことを挙げ「子宮摘出に移るべきだった」と述べた。また、K被告が術前に行った超音波検査の画像から「癒着胎盤を疑ってもいいと思う」と証言し、癒着胎盤が予見可能だったことを指摘した。

 次回は8月31日で、被告人質問が行われる。【松本惇】

(毎日新聞、2007年7月21日)

****** 福島民友、2007年7月21日

「無理にすべきでなかった」 県立大野病院医療事件公判

 大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医K被告(39)の第6回公判は20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。

 起訴事実の根拠となる鑑定書を作成した産婦人科専門医の検察側証人尋問が行われた。医師は、最大の争点となっている癒着胎盤のはく離中止義務について、「胎盤は血流が豊富で大量に出血するため、癒着部分を無理にはがすべきではなかった。はく離の際のクーパー(手術用はさみ)使用も適切でない」と検察側の主張を裏付ける証言を行った。さらに、癒着胎盤の診断について、女性の診察時に加藤医師が行った超音波診断の写真から「癒着がうかがえる」とし、MRI(磁気共鳴画像装置)などで詳しく検査する必要があったとした。また、出血が続くなかで子宮摘出に移行した時期についても「早い時期に(摘出を)判断するべきだった」とし、判断の遅れを指摘した。

 一方、弁護側は、同医師は出産を専門に扱う周産期医療の専門家ではないとしたうえで、癒着の部位や範囲について具体的に把握しないまま鑑定をし、弁護側が分析方法を疑問視した別の病理鑑定を参考にして鑑定書を書いたことを問題視した。

(福島民友、2007年7月21日)

****** 福島放送、2007年7月21日

医療過誤で証人が「はく離中止すべき」

大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野上、産婦人科医K被告(39)の第6回公判は20日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、検察側主張の支えとなる鑑定書を作成した新潟大医学部教授の証人尋問を行った。

教授は、最大の争点である癒着胎盤への措置について「胎盤のはく離が困難になった時点ではく離を中止し、直ちに子宮摘出に移るべきだった」と起訴事実に沿った証言をした。

(福島放送、2007年7月21日)

****** OhmyNews、2007年7月21日

「癒着胎盤を疑ってもいい徴候あった」

福島県立大野病院事件第6回公判、専門医が検察側有利の発言

軸丸 靖子

 帝王切開手術を受けた女性が死亡し、執刀した同院の産婦人科・K医師が業務上過失致死などに問われている福島県立大野病院事件の第6回公判が20日、福島地裁で開かれた。

 今回出廷したのは、事件後に福島県警から依頼を受け、鑑定書を作成した新潟大学医学部産科婦人科学の田中憲一教授。検察側証人として唯一、産婦人科専門医として鑑定を行った同教授は、「術前検査のエコー写真から、胎盤の癒着があるとの診断はできないが、疑ってもいい徴候(ちょうこう)は認められる」と述べた。

 尋問ではまず、産婦人科学の一般論として

 「(胎盤と子宮筋膜が)強固に癒着している場合は、執刀医は無理な胎盤剥離(はくり)を継続すべきではない。(手術用はさみなど)器具を使った剥離もすべきではない。無理な剥離になる場合は、剥離を中止し、子宮を摘出すべきだ」

 とし、子宮収縮を促すために胎盤剥離を継続したK医師の判断は誤りとする検察側の主張に合致する証言をした。

 さらに、この女性のケースに関しては、術前エコー検査の写真から

 「(子宮筋層と胎盤のあいだに)血流があると疑われる所見が認められる」

 と、子宮筋層深くに胎盤絨毛(じゅうもう)が入り込む陥入胎盤もしくは穿通(せんつう)胎盤とみられる癒着が疑われる所見が見られることを指摘。

 胎盤剥離におよそ15分と時間がかかっていることなどからも、胎盤の癒着は広範囲で深いものであったとして、無理な剥離がその後の大量出血の引き金になったとする検察側主張を裏付けた。

 これに対し弁護側は、同教授が産婦人科のなかでも婦人科腫瘍が専門で、周産期が専門ではないこと、癒着胎盤の症例を経験したのは約30年前に助手として立ち会った1例しかないこと。さらに、作成された鑑定書(以下、田中鑑定)は、産婦人科学の教科書や文献、福島県立医大の病理医・杉野隆医師による鑑定書(同、杉野鑑定)を参照して書かれたものである点を追及。

 何をもってどの程度を「無理」というのか、「剥離は無理」という判断は誰がするのかについて、

 「術者(執刀医)の判断」
 「ケース・バイ・ケース。もう1人子供が欲しいという患者の希望がある場合は、できるだけ(胎盤を剥離して)子宮を残すようにする」
 「癒着の範囲が狭いとか、深さはどのくらいかと聞かれても、何とも言いようがない」

と、現場は教科書どおりにはいかないことを示唆する証言を引き出した。

 また、同教授は「自分の鑑定書に変更はない」と明言したが、参照にした杉野鑑定は、先の公判で一部変更されていることには「(変更は)知りません」と言葉をつまらせる場面もあった。

 なお、田中鑑定はこれまで証拠採用されていなかったが、今公判の冒頭で、単位や日付、出血量、字句などの誤記20カ所以上について訂正が行われたのち、証拠採用された。

 今回で検察側証人尋問は終了する。次回は8月31日に、被告への本人質問が行われる。

OhmyNews、2007年7月21日)

****** 河北新報、2007年7月20日

福島・大野病院事件 胎盤剥離見極め困難 産婦人科医証言

 福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医K被告(39)の第6回公判が20日、福島地裁であった。検察側提出の医学鑑定書を作成した大学教授(産婦人科医)が証人に立ち、争点である子宮と胎盤の癒着状況について「どれだけ深く入り込んでいるかは、手術中に医師には分からないだろう」と述べ、剥離をどこまで続けていいかどうかの判断の難しさを指摘した。

 教授は「剥離が困難な際は無理に続けるべきではないが、どんな場合が困難かは医師の判断に委ねられる」と述べた。

 公判の冒頭、自身を「周産期が専門ではなく、一般の産婦人科医」とした教授は、検察側が過失の一つに挙げる剥離時のクーパー(医療用ばさみ)使用について「鑑定時には、クーパーを剥離に使うとする文献は見なかった。最近、周産期の専門家からそういう方法もあると聞いた」と証言した。

(河北新報、2007年7月20日)

****** NHK福島、2007年7月20日

大野病院裁判で鑑定医が証言

県立大野病院の産婦人科の医師が、帝王切開の手術で女性を死亡させたとされる事件の裁判で、死因などの鑑定を行った医師が証人として法廷に立ち、「胎盤を手ではがすのが困難だと認識した時点で子宮摘出に移るのが妥当だった」と証言しました。これに対し弁護側は、「ハサミを使って胎盤をはがした判断に問題はなかった」と反論しました。

 大熊町にある県立大野病院の産婦人科の医師、K被告(39)は3年前、帝王切開の手術の際に女性の胎盤を無理にはがし、大量出血を引き起こして死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われています。

 これに対し、被告と弁護側は無罪を主張しています。

 20日、福島地方裁判所で開かれた6回目の裁判では、死因などを鑑定した医師が検察側の証人として法定に立ち、争点の1つになっている手術の内容の妥当性などについて証言しました。

 このなかで鑑定医は、「胎盤を無理やりはがせば大量出血のおそれがあることは明らかで、手で胎盤をはがすのが困難だと認識した時点で、子宮を摘出することが妥当な方法だった」などと証言しました。

 これに対し弁護側は、「はがすのが困難かどうかは現場で手術をしている医師が判断することだ。手術用のハサミを使って胎盤をはがす方が安全で妥当だった」などと反論しました。

 次の裁判は来月31日に開かれ、K医師への被告人質問が行われる予定です。

(NHK福島、2007年7月20日)

*** Lohas Medical Blog、2007年7月20日~21日

Lohas Medical Blog
 福島県立大野病院事件第六回公判(0)
 
福島県立大野病院事件第六回公判(1)
 福島県立大野病院事件第六回公判(2)

傍聴希望者は90人と落ち着いたが、いつもの一番大きな1号法廷が使えないとのことで、傍聴券はたった15枚。そして今回も見事に外れ、でも分けてもらえて傍聴できることになりました。詳報は後ほど。

帰りの東北新幹線のダイヤが乱れたりして、事務作業を片付けているうちに、少々作業着手が遅くなったが、ご報告する。

いつものように逐語再現は周産期医療の崩壊を食い止める会にやがて掲載されるので、そちらを御覧いただきたい。

本日は検察側の医学鑑定書を書いた田中憲一・新潟大医学部産科婦人科学教室教授の証人尋問。6回目にして初めて検察側の描くストーリーにはまるピースが出てきた。一般人からすると文句のつけようのない鑑定人に見え、これを覆すのは容易でないように思えるが、しかし果たして、実際のところ鑑定書を書くにふさわしい人物だったのか、という点は後ほど弁護側が指摘する。

この日は、地裁が改装中とかで、いつもの1号法廷が使えず、隣の2号法廷を使うとのこと。隣とはいえ、かなり狭くなった。傍聴席から手を伸ばせば被告の背中に届く距離だ。おまけに傍聴席が少ない!長椅子にビニールテープを張って4分割したものが3×3。関係者席や記者席を除くと、たったの15。次回の加藤医師本人の尋問まで2号法廷とのことだ。ハッキリ言って検察側証人のうち二大ヤマ場と思うのだが何とも間が悪い。

それはともかく田中教授の尋問の報告に移ろう。紺のスーツ姿で伏し目がちに登場した田中教授は、身長こそ170センチあるかどうかに見えるが、学生時代は柔道でもしていたのだろうかという、ずんぐりガッチリした体格。普段はきっと声が大きいに違いないと思った。だが尋問に対する答えはか細く、速記者から「先生もう少し大きい声で話していただけますか」と注文をつけられていた。

ともかく肝と思われる部分を再現していこう。尋問するのは途中から加わって毎回ソフトにポイントを重ねている検事。

 検事  産科婦人科には専門分野が4つあるそうですね。
 田中教授  はい。
 検事  4つとは何ですか。
 田中教授  周産期、腫瘍、生殖、婦人科内分泌です。
 検事  証人のご専門は何ですか。
 田中教授  腫瘍です。

(中略)

 検事  証人は本件以外にも医療事件の鑑定書を書いたことはありますか。
 田中教授  あります。
 検事  本件を除いて何件ですか。
 田中教授  7件です。
 検事  すべて産科婦人科の分野ですか。
 田中教授  はい。
 検事  腫瘍以外の分野について鑑定したことはありますか。
 田中教授  異なるものもあります。
 検事  それは何件ですか。
 田中教授  6件です。
 検事  腫瘍は1件のみということですか。
 田中教授  そうです。

皆さんは、医療訴訟の検察側鑑定書が専門外の人によって書かれていることが多いとご存じだったろうか。私は知らなかったので非常に驚いた。たしかに誰が何を専門にしているか、外部から調べるのは骨が折れるし、適任の人が必ずしも引き受けてくれると限らないから、仕方ない面もあるとは思うが、しかし当事者の立場になってみると納得いかない。

 検事  本件は福島県警から鑑定の依頼を受けましたね。
 田中教授  はい。
 検事  どのような経緯で依頼を受けたのですか。
 田中教授  警察署の刑事さんが来て依頼されました。
 検事  証人に依頼する理由を何か言っていましたか。
 田中教授  私が過去に行った鑑定の鑑定書が立派だったことと、困っているからというようなことを言いました。

(中略)

 検事  何に関しての鑑定をほしいとのことでしたか。
 田中教授  帝王切開で亡くなった妊婦さんの死因についてとのことでした。
 検事  どう対応しましたか。
 田中教授  周産期は専門でないので、一般的な産婦人科専門医としての知識でしか鑑定できないけれど、それでよろしいかと尋ねました。
 検事  警察は何と言いましたか。
 田中教授  お願いしますと言われました。

前回の証人だった病理鑑定書を書いたS講師と同様、自らの鑑定が何を引き起こすか、予感すらしなかったのに違いない。

この後、一般論としての癒着胎盤の説明や用手剥離の方法、胎盤剥離と子宮収縮の関係、剥離困難な場合にどうするべきかなどが尋問された。

そして田中教授自身が若手医局員だった時代に、新潟大病院で手術助手として経験した癒着胎盤症例の話を経て、いよいよ検察側の有罪立証のピースにはまる部分へと入る。

 検事  癒着胎盤に関して近年何か傾向がありますか。
 田中教授  増えているようです。
 検事  理由は何ですか。
 田中教授  わが国で帝王切開が増えていることによると思います。
 検事  なぜ帝王切開が増えると癒着胎盤が増えるのですか。
 田中教授  最初の帝王切開の傷痕に次回以降の出産の際に胎盤が付着するからです。
 検事  前置胎盤の場合はどうですか。
 田中教授  ?(メモ不完全)。
 検事  前回帝王切開だと癒着胎盤の確率は上がりますか。
 田中教授  そうだと思います。
 検事  前置胎盤だと癒着の確率はどうですか。
 田中教授  前置胎盤の場合にも増えるのではないかと思います。

(略)

 検事  前回帝王切開で前置胎盤だと、癒着の確率が上がるということはありますか。
 田中教授  あります。
 検事  どの程度の確率ですか。
 田中教授  文献によって違いますが3~25%と言われています。
 検事  事前に検査で診断することは可能ですか。
 田中教授  ある程度は可能だと思います。
 検事  どのように検査しますか。
 田中教授  超音波診断かMRIを用います。

(中略)

 検事  本件で癒着胎盤を疑わせる所見はありませんでしたか。
 田中教授  ありました。

過失致死罪が成立するには、予見できた可能性、回避できた可能性がなければならない。これまで検察側は証人尋問の誰からも、このピースを出すことができていないと思う。

 検事  どこにありましたか。
 田中教授  12月3日と6日のエコー写真には、癒着胎盤を疑ってもいいと思われました。
 検事  その他の資料には癒着を疑わせるものはありましたか。
 田中教授  ありませんでした。

しばらくエコー写真のどこに疑念があったかのやりとりがあり

 検事  K医師はどのようにすべきであったと思いますか。
 田中教授  MRIを撮っても良かったのでないかと思います。
 検事  妊婦に対してMRIは悪影響を与えますか。
 田中教授  この週数であれば基本的にないと思います。
 検事  12月17日に帝王切開をしているのですが、検査で他に分かる方法はなかったでしょうか。
 田中教授  この患者さんは前置胎盤ということになっているのですが、前置胎盤というのは分娩直前に診断を行うことになっているので、帝王切開直前にもう一度検査をする方が良かったと思います。

K医師が手段を尽くさなかったということになる。だが、この点こそ『医療崩壊』との関連で、実に本質的なものを含んでいるので後ほど改めて考察する。
この後、尋問は本件の胎盤剥離に関してへと移る。

 検事  被告人はどんな処置が必要だったと思われますか。
 田中教授  質問の意味が分かりません。
 検事  児娩出後に胎盤の用手剥離を行ったが、それが困難になってきたときにどうするべきだったと思いますか。
 田中教授  それは分からないですね。そのことだけでは何とも言いようがありません。
 検事  この用手剥離の途中で剥離が困難・不可能になってきたときに剥離を続けるべきでしょうか。
 田中教授  それはK先生がやっておられて困難・不可能と判断されたのであれば、剥離をやめて子宮摘出に移るべきだったと思います。
 検事  それはどのような状態から判断できますか。
 田中教授  どれ位癒着が残っているかも判断材料になると思います。

(中略)

 検事  本件で胎盤剥離を途中でやめて子宮摘出に移行できたと思いますか。
 田中教授  それは分かりません。

(中略)

 検事  この時点で子宮摘出へ移行が可能だったと思われますか。
 田中教授  どの時点ですか。
 検事  剥離が困難・不可能になった時点です。
 田中教授  それはどこか分かりませんよね。
 検事  (K医師の)供述調書を前提にすると
 田中教授  その前後であれば子宮摘出は可能だったと思います。
 検事  その時点で子宮摘出していれば救命の可能性はありましたか。
 田中教授  可能性はあったと思います。

このやりとりにより、回避可能性もあったと証言されたことになる。

 検事  実際には、胎盤剥離後に子宮剥離をしたのは、ご存じですか。
 田中教授  はい。
 検事  子宮摘出の時期は適切だったと思いますか。
 田中教授  私はちょっと遅かったのでないかと思っています。胎盤剥離後、出血をコントロールできないと思った時点で、直ちに子宮摘出へ移るべきだったと思います。

(以下略)

このように検察が大きくポイントを取って、午前中の主尋問が終わった。昼食休憩を挟み、弁護側がどう盛り返したかは稿を改めることにする。

午後1時半に弁護側反対尋問で公判再開。尋問するのは平岩代表弁護人。いつも浪々と美声で尋問する。対する田中教授、午前より一層声が小さくなる。

 弁護人  ご専門は婦人科腫瘍ですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  主として婦人科腫瘍の診療に携わってきたのですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  帝王切開、全前置胎盤、癒着胎盤、すべて周産期の領域ですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  依頼されて本件について鑑定書を書いたのですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  周産期は専門外だと思いますが、専門外のことについて、なぜ鑑定書を書いたのですか。
 田中教授  警察に依頼されたからです。
 弁護人  周産期専門の先生に頼むべきでないか、とは言わなかったのですか。
 田中教授  そのようなことは申しませんでした。
 弁護人  一般の産婦人科専門医としての知識で鑑定書を書くと伝えたとおっしゃいましたね。
 田中教授  はい。
 弁護人  日本産科婦人科学会には平静16年当時、会員数にして約1万6千人の会員がいませんでしたか。
 田中教授  定かではありませんが、そうだと思います。
 弁護人  産婦人科専門医は全国に1万2千人いたのではありませんか。
 田中教授  定かではありませんが、そうだと思います。
 弁護人  被告人のK医師も産婦人科専門医であることはご存じですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  産科婦人科領域で5年の臨床経験があれば専門を問わずほとんど産婦人科専門医になれるのではありませんか。
 田中教授  はい。
 弁護人  最高裁判所の医事関係訴訟委員会から日本産科婦人科学会が依頼されて鑑定人候補を推薦するために鑑定人リストを作っていて200数十人のリストがあるのをご存じですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  そのリストに載っているのは、教授、准教授、院長といった専門分野ごとの第一人者ではありませんか。
 田中教授  そうだと思います(少し声が裏返る)。
 弁護人  証人ご自身も婦人科腫瘍分野で鑑定人リストに載っていませんか。
 田中教授  昨年までなっていました。
 弁護人  本件の場合、周産期分野ご専門の方が鑑定するべきではありませんでしたか。
 田中教授  はい。
 弁護人  警察官はこのことについて何も言わなかったのですか。
 田中教授  特に何も言いませんでした。
 弁護人  証人が周産期分野で信頼をおく方はどなたですか。
 田中教授  名前を挙げるのですか。
 弁護人  はい。
 田中教授  東北大学の岡村先生、福島県立医大の佐藤先生、北里大の海野先生、昭和大の岡井先生、宮崎大の池ノ上先生、それから名誉教授になってしまいますが大阪大の〓先生と九州大の〓先生(メモ不完全)です。
 弁護人  本件はそのような方たちが鑑定書を書くべきだったと思いませんか。
 田中教授  思います。
 弁護人  今お名前の出た岡村先生と池ノ上先生については弁護側の依頼で鑑定書を書いていることをご存じですか。
 田中教授  知りません。
 弁護人  今回の鑑定をおやりになったのは刑事上の責任を問うことを考えてですか。
 田中教授  私は医学上、安全な診療をするにはどうしたらよいかという観点で行いました。

田中教授が鑑定を書くにふさわしかったかどうかは、もはや裁判所の判断に委ねるしかない。ただ厚生労働省が現在行っている死因救命の検討委員会でも樋口委員(東大教授)から問題提起されていることだが、何を目的にするかによって「真相」は異なる。刑事事件の証拠とするなら、「疑わしきは罰せずで謙抑的でないといけない」。再発防止をめざすなら、「その時点では専門家の判断として仕方なかったかもしれないが、数か月とか年とか経って考えれば、こういう選択肢があったのでないか。今考えれば本当はこちらだろう、そういうことまで考えたうえ」なのである。田中教授は明らかに後者の観点から鑑定しているのに、前者である刑事司法の場で証拠とされてしまっている。一般の医療者にとっては、こんなTPOの使い分けなど思いもよらないだろうし、もし使い分けたとすると今度は患者・家族から、「二枚舌」と不信感を招くに違いない。この問題は、この訴訟とは別に皆で考えないといけない。

この後しばらく証人が若手医局員時代に、新潟大病院で経験した癒着胎盤症例に関する尋問が続き、そして、ここからは田中教授がどの程度、身を入れて鑑定したかを問う尋問に入っていく。

 弁護人  鑑定を依頼された時点で病院の事故調査報告書が出ていましたね。
 田中教授  はい。
 弁護人  それに依拠すればよいとは考えませんでしたか。
 田中教授  参考にはなると思いました。
 弁護人  児娩出から胎盤剥離終了までに5000ミリリットルの出血があったと鑑定書に書いてありますが、記憶にございますか。
 田中教授  はい。
 弁護人  これは羊水込みですね。
 田中教授  だと思います。
 弁護人  事故調査報告書にも5000ミリリットルの出血があったと記載があります。これはご記憶にありますか。
 田中教授  あります。
 弁護人  では最も客観的な原資料の麻酔チャートではどうなっているか。麻酔チャートを示します。2555と記載されているのはお分かりですね。
 田中教授  はい。
 弁護人  このような原資料でなく調査報告書に依拠した理由は何ですか。
 田中教授  カルテにも5000ccと書いてありました。
 弁護人  患者の全身状態をリアルタイムで最も正確に記載してあるはずの麻酔チャートに依拠しなかった理由は何ですか。
 田中教授  麻酔チャート自身には胎盤剥離終了時の正確な血液量は書いてなかったと思います。10分後くらいに7500と書いてあるので、胎盤娩出の時には5000ccくらいだと判断しました。

(中略)

 弁護人  エコー検査というのは、同じ場所でもプローベ(探触子)を当てる角度や強度によって見え方が変わるものではありませんか。
 田中教授  そうです。
 弁護人  術者がその変化を継続的に見ながら総合的に判断するものではありませんか。
 田中教授  そうです。
 弁護人  エコーの写真というのは検査のごく一部に過ぎないのではありませんか。
 田中教授  そうです。
 弁護人  12月3日の写真に癒着胎盤を疑わせる所見があるとおっしゃいましたね。
 田中教授  疑ってもよいということです。
 弁護人  このような(田中教授が論拠とした)血流はごく一般的に見られるものではありませんか。
 田中教授  見られることもあります。
 弁護人  ならばどうして癒着を疑うことができるのですか。
 田中教授  前回帝王切開で全前置胎盤ですから癒着の確率が高いです。

(中略)

 弁護人  (田中教授自身が実際には)癒着胎盤のエコーを一度も見たことがないのに、どうしてその判断に誤りがないと言えるのですか。
 田中教授  私の判断が必ず正しいとは思っておりません。ただ診療はしておりませんけれど、日常的に疑って検査しなさいと若い人に申しております。
 弁護人  12月6日のエコー写真でも、やはり癒着を疑うべきですか。
 田中教授  そうではなく12月3日のエコーと併せて、疑ってもよいということです。

(中略)

 田中教授  この血流がどういうものか同定するのが目的ではなく、種々の所見があれば疑ってもよいということです。

この方法論は医学的には全く正しいのだと思う。しかし社会制度としての医療の方法論としてはどうか。疑わしいことを常に100%潰していったら、医療費がいくらあっても足りない。どこかで専門家が自己の責任で線を引かざるを得ない。そして、その線引きをストイックに引き受けてくれている医療者がいたからこそ、奇跡的に日本の安い医療は維持されてきたのだと思う。田中教授は「疑ってもよい」と証言するが、後からなら何とでも言えるし、K医師が線引きするためかけた労力以上に、鑑定に労力をかけただろうか。結果論的に刑事で裁けば、線を引く専門家がいなくなる。それこそ医療崩壊でないか?

(中略)

 弁護人  鑑定書で、子宮前壁に癒着があったことは明らかであると書かれていますがご記憶はありますか。
 田中教授  はい。
 弁護人  病理のS博士の鑑定書を前提にしたのではありませんか。
 田中教授   参考にはしました。

ここから前回袋叩きに遭ったS鑑定を、田中教授がどこまで参考にしたか明らかにさせ、ついでに田中教授の鑑定書の信ぴょう性も疑わせようとの尋問が繰り返されたが、検察・弁護どちらにも、あまり得るところはなかったと思う。そして

 弁護人  剥離が困難なほど胎盤が癒着しているかどうかというのは、施術中にはなかなか判定できないものではありませんか。
 田中教授  そうでしょう。
 弁護人  であれば、それは術者の判断に委ねられているのが、臨床の現場ではありませんか。
 田中教授  そうです。
 弁護人  「剥離を中断して子宮摘出にうつるべきとされている」という表現が鑑定書にありますが、これは文献からの引用ですか。
 田中教授  文献を参考にした私の文章です。
 弁護人  「止血操作するとされている」とありますが、その際に胎盤剥離を中断すべきですか。
 田中教授  ケース・バイ・ケースだと思います。
 弁護人  ケース・バイ・ケースの判断は誰が下すのですか。
 田中教授  術者だと思います。
 弁護人  本件でいえば加藤医師ですか。
 田中教授  そうです。

この後、クーパー使用の是非について少しやりとりがあり、それから死因につながったと見なされている大量出血が、胎盤剥離によってもたらされたのでなく、羊水塞栓に起因する産科DIC(血液凝固因子が失われ出血が止まらなくなる)の症状として現れたに過ぎないのでは、という弁護側の見立ての尋問も行われたが、田中教授はこれには取り合なかった。そして弁護側による蜂の一刺し。

 弁護人  証人の証言は基本的に医学文献に基づくものですね。
 田中教授   そうです。

文献を調べてもらうだけなら、大学教授に鑑定を頼む意味があるのか?個人的には、ここがこの日のハイライトだった。

15分の休憩を挟み、反対尋問の続きが少しあって、検察側の再主尋問である。

 検事  産科婦人科についての鑑定をする際、専門性はどの程度必要でしょうか。
 田中教授  案件によると思います。
 検事  案件によると言いますと。
 田中教授  質問内容によると思います。
 検事  具体的にはどのようなことでしょうか。
 田中教授  私の知識とかけ離れた専門性ならお受けできないと言います。
 検事  かけ離れるとは、たとえばどういうことですか。
 田中教授  たとえば新生児のことなどは分かりません。
 検事  高度な専門性を必要とすること、ということでしょうか。
 田中教授  そうです。
 検事  今まで鑑定された7件について専門性はどのように判断されたのですか。
 田中教授  一般的な産婦人科のことと判断しました。
 検事  実際にやってみて専門性が必要になったことはありませんか。
 田中教授  引き受けてみてから、これは無理だというのが一件ありました。
 検事  その際は結論として鑑定書を出さなかったわけでしょうか。
 田中教授  そうです。
 検事  本件の場合はどうですか。
 田中教授   一般的な癒着胎盤のことでしたし、立派な調査報告書もありましたので、それを参考にすれば鑑定できると思いました。
 検事  やってみてどうでしたか。
 田中教授  一般的な産婦人科医であれば答えられることでした。
 検事  調査報告書の結論を引き写しましたか。
 田中教授   参考にはしましたが、引き写したわけではありません。
 検事  証人ご自身ですべて書かれたわけですね。
 田中教授  そういう部分もありますし、調査報告書を活用・参考にした部分もあります。

この辺をどう解釈するかは個人の自由だと思う。

 検事  エコー写真から癒着を疑ってもよいとい判断をしたのは何を根拠にしたのですか。 
 田中教授  種々の論文があります。
 検事  それらをご覧になった。
 田中教授  はい。
 検事  参考にもした。
 田中教授  はい。
 検事  エコーの判断はご自分だけでされましたか。
 田中教授  勤務している施設の専門医に相談しました。

(後略)

ついで弁護側の再反対尋問。

 弁護人  エコー検査というのは動画ではありませんか。
 田中教授  そうです。
 弁護人  エコー写真というのは、いわば一時停止の状態を写真に撮ったものですね。
 田中教授  そうです。

(後略)

この日の尋問だけ取り出しても検察がポイントを上げていると思う。そのうえ、この後さらに大きなポイントが検察に入る。田中教授が鑑定書を真正に作成されたものであると認めたことにより、この日の証言以上にK医師の過失を強く印象づけるような、その鑑定書が証拠採用されたのだ。刑事訴訟法上は止めようのないことではあるが、これによって検察の描くストーリーは維持された。なるほどこれがあったから公判を取り下げなかったのだな、と思った。どうやら、この裁判まだまだ長引きそうである。

(Lohas Medical Blog、2007年7月20日~21日)


福島県立大野病院の医師逮捕事件について(自ブロク内リンク集) 

2007年07月21日 | 報道記事

自ブログ内リンク集

2006/02/19 癒着胎盤で母体死亡となった事例

02/21 今後の周産期医療の方向性について
02/23 医師の集約化、地域連携、および次世代の育成
02/25 母体死亡事例の少し詳しい経緯
02/26 話題となっている母体死亡事例に関する私見
02/28 続・今回の母体死亡事例に関する私見

03/01 癒着胎盤について
03/03 癒着胎盤の定義について
03/03 福島県の地元紙の報道内容
03/05 癒着胎盤に関する個人的な経験談
03/06 東京都医師会の声明文
03/06 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会からのお知らせ
03/06 神奈川県産科婦人科医会の抗議声明
03/06 福島県産婦人科医会からのメッセージ
03/08 母体死亡となった根本的な原因は?(私見)
03/08 朝日新聞記事: 産科医逮捕に困惑 時時刻刻
03/09 浜通り3医師会が大野病院の医師逮捕で声明文
03/09 加藤医師を支援するグループの声明
03/10 朝日新聞記事、県立病院医師逮捕/応援の提案応ぜず
     大阪府保険医協会の抗議声明
     新生児医療連絡会の声明
03/10 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会の抗議声明
03/10 福島県立大野病院の医師起訴についての報道(3月10日)
03/11 福島県立大野病院の医師起訴についての報道(3月11日)
03/11 福島県立医大:佐藤章教授のコメント
03/12 今後、産科医療はどうなってしまうのだろうか?
03/12 医師法21条の解釈
03/14 医師の拠点集約へ
     全国保険医団体連合会の抗議声明
03/14 TBSのニュース:手術ミス?産婦人科医逮捕で波紋広がる
03/14 茨城県産婦人科医会の抗議文
03/15 加藤先生、保釈のニュース
03/15 朝日新聞記事(福島) 医師逮捕・詳細(上・中)
03/15 大分県産婦人科医会の抗議声明
03/15 福岡県産婦人科医会の抗議声明
03/16 朝日新聞記事(福島) 医師逮捕・詳細(下)
03/16 日本産科婦人科学会と日本婦人科医会の合同記者会見
03/17 報道: 福島県立医大医師会の声明
03/17 読売新聞記事: 医療ニュース
03/18 周産期医療の崩壊をくい止める会が厚労相に陳情書を提出
03/18 河北新報: 医療界反発 異論も噴出
03/23 福島県立大野病院事件に対する日本医師会の考え
03/23 岩手県産婦人科医会の抗議声明
     広島県医師会の声明文
     厚生労働省 定例事務次官記者会見概要 2問目
03/24 新聞報道: 今後の地域医療(福島県)
03/27 報道記事:全国周産期医療連絡協議会の声明
          山口県支部の声明
   栃木県支部の声明
03/28 町長ら、大野病院に産婦人科医の確保を要望
03/29  日本医師会のホームページ
    福島県立大野病院の医療事故問題について

04/01 青森県臨床産婦人科医会の抗議声明
04/03 千葉県産科婦人科医会の声明
04/04 「周産期医療の崩壊をくい止める会」が緊急会見
04/08
産科医逮捕に高まる“抗議”
04/11 横浜市医師会・横浜市産婦人科医会の抗議声明
   北海道産婦人科医会・北海道産科婦人科学会の声明
04/12 朝日新聞:医療事故 揺れる検証法
04/14 神戸市中央区医師会の声明
  日産婦学会群馬地方部会・日産婦医会群馬県支部の声明
04/17 朝日新聞:医師逮捕事件 富岡署を表彰
04/19 福島県警察本部長のスピーチ
04/20 日本医師会:唐澤会長、木下常任理事記者会見:
  大阪府保険医協会:不当な表彰の撤回求め要求書提出

05/01 福島市で地方公聴会(衆議院厚生労働委員会)
05/02 AERA:医療と司法
05/05 河北新報:県立大野病院事件の産科医療への影響
05/09
報道記事:地方公聴会(衆院厚生労働委員会)
05/12 福島県内医療関係四団体共同声明
05/14 
朝日新聞社 論座:中立の強み
05/15 朝日新聞社説:医療事故 教訓を生かしてこそ
05/17 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会:
    県立大野病院事件に対する考え
    毎日新聞:医師逮捕に抗議、県保険医協会/岩手
05/18 大野病院の妊婦死亡 「公判前整理手続き」適用
         福島県立大野病院の医療事故に関わる要望書
05/20 毎日新聞:「医療判断制度を」医学部長会議が声明
05/23 全国医学部長病院長会議声明(全文掲載)
05/25 茨城県医師会 萎縮医療に陥らないために
         日本産科婦人科学会が厚生労働大臣と意見交換・
         医療紛争解決に中立機関を要望
05/26 読売新聞:日本の制度不備を痛感
05/27 読売新聞:医療事故 摘発どこまで
05/30 日本医学会会長:『妊婦さんは喫煙しないでください』

06/05 朝日新聞 論座: 事故は避けられなかったのか
06/13 福島県警察医会:大野病院医療事故の問題点指摘
06/30 大野病院事件「表彰」は妥当?(県議会一般質問)

07/09 大野病院医療事故:産婦人科医弁護団の動き(毎日新聞)
07/12 大野病院事件に関する地元紙の報道
07/22 県立大野病院事件、第1回公判前整理手続き、福島地裁
07/28 公判概略について

08/13 大野病院医療事故:初公判11月以降に 第2回公判前手続き、争点絞り込めず(毎日新聞)

09/17 大野病院医療事故:裁判所が争点初提示 初公判12月に (毎日新聞)
09/21 日本周産期・新生児医学会の声明文
09/25 公判概略について(06/9/23)

10/13 初公判は来年1月26日に 福島の病院医療事故
10/24 公判概略について(06/10/19)

12/08 日本医学会、声明文
12/16 県立大野病院事件 公判前整理手続き終了

07/01/08 公判概略について(06/12/19)
01/25 県立大野病院事件あす初公判「癒着胎盤」対応最大の争点 (読売新聞)
01/26 福島県立大野病院の医師逮捕は不当
01/27 福島県立大野病院事件・初公判の報道
01/28 県立大野病院事件、初公判の翌日の報道
01/29 加藤先生の初公判後のインタビュー記事
01/31 第一回公判について(07/1/30)

02/01 福島県立大野病院事件、冒頭陳述の要旨(Ohmy News)
02/03 緊急特集 揺れる産科医療/周産期医療の悪循環に警鐘 (Japan Medicine)
02/11 枝野議員と柳沢厚労相との質疑応答(国会衆院予算委)

02/18 あれから1年

02/22 ブログ上で大野病院・加藤医師の支援の動き広がる(医療タイムス、長野)
02/24 大野病院事件 検察側証人が被告に理解示す証言(読売新聞)

03/17 大野病院事件 第3回公判

04/28 大野病院事件 第4回公判

05/26 福島県立大野病院事件・第五回公判

07/21 大野病院事件 第6回公判

08/31 大野病院事件 第7回公判

09/29 大野病院事件 第8回公判

10/27 大野病院事件 第9回公判

11/30 大野病院事件 第10回公判

12/22 大野病院事件 第11回公判

08/1/25 大野病院事件 第12回公判

02/18 あれから2年

03/22 大野病院事件 論告求刑公判

05/17 大野病院事件 弁護側の最終弁論
05/21 福島県立大野病院事件 「無罪」と最終弁論で弁護側が改めて主張 (m3.com医療維新)
05/28 大野病院事件の影響

06/03 産婦人科医を追い込む国が少子化をますます加速させる!
06/11 逮捕、裁判、産科崩壊。そして患者だけが取り残された―。(女性自身)

08/05 特集「大野病院事件判決」(共同通信)
08/07 シンポジウムのお知らせ(大野病院の判決日、福島に集まりましょう!)
08/09 全国医師連盟 大野病院事件判決に向けて声明 「患者・家族救済制度」設立を要望
08/12 大野事件から三次試案を振り返る、医療再生への道探る―医療制度研究会
08/16 大野病院事件 8月20日に判決
08/20 大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (速報)
08/21 大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (詳細)
08/22 癒着胎盤をどう処置すべきだったか?(朝日新聞・時時刻刻)
08/28 大野病院事件: 検察側が控訴断念の方向で最終調整
08/29 加藤先生の無罪が確定へ!

09/04 加藤先生の無罪確定
09/21 大野病院事件の教訓
09/26 福島県立大野病院事件を無駄にしないために

10/02 大野病院医療事故:医師の懲戒処分取り消し 事故調報告書は訂正せず
10/11 刑事裁判は○か×かを決めるゲーム

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●2005年3月の報道●
http://goby.jp/m/archives/000444.html (mariboo's blog

***** Yahoo!ニュース - 毎日新聞、福島(2005年3月31日)

大野病院医療ミス:無理な処置で大量出血、医師不足も死亡原因に--県事故調 /福島

 大熊町下野上の県立大野病院(作山洋三院長)で帝王切開の手術中に妊婦が亡くなった医療ミスで、県の事故調査委員会(委員長、宗像正寛・県立三春病院診療部長)は30日の会見で、無理な処置が大量出血を招き、医師不足も死亡の原因になったと結論づけた。【岩佐淳士】
 ◇県「誠意持ち遺族に対応」
 調査報告によると、妊婦は胎盤が子宮内部の筋肉にくっつく癒着胎盤の状態だったため、執刀医は胎盤を子宮から手ではがし切れず、手術用のはさみではがした。
 その間に約5000ミリリットルの出血があり、止血や輸血をしたが間に合わず、心室性不整脈を起こして死亡した。出血は無理に胎盤をはがしたためで、すぐに子宮摘出すべきだったという。さらに、医師不足で、医師の応援や輸血体制が十分でなかったことも要因とした。
 宗像委員長によると、癒着胎盤は2000~4000人に1例程度。はさみで胎盤をはがす方法は通常あり得ないといい、「胎盤の剥離(はくり)が難しい時点でやめていれば助かる可能性は高かった」と指摘している。
 手術は執刀医(産婦人科専門医)と助手(外科医)、麻酔医(麻酔科専門医)と看護師数人で行われた。執刀医は、30代の男性で産婦人科の専門医として、9年目。
 記者会見で県病院局の秋山時夫局長は「今後事故防止に努め、遺族に対して誠意を持って対応したい」と述べ、作山院長とともに頭を下げた。

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報告書(県立大野病院事故調査委員会)の全文

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