ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

出産費支払い不要、一時金は直接病院へ…政府方針

2008年11月11日 | 出産・育児

現行制度では、親がいったん医療機関に分娩費用を支払い、出産後に健康保険組合など公的医療保険から出産育児一時金(現在は35万円)が親に支給される仕組みになっています。しかし、この出産育児一時金を他の用途に使ってしまい医療機関に分娩費用を支払わない親が増えて、昨年度だけで医療機関の分娩費用の未収金が12億円もあったそうです。そこで、来年度からは、出産育児一時金を直接、医療機関に支払うように制度を改めるとのことです。さらに、地域により分娩費用を一律に設定して、不足分を公費で上乗せして支給することにより、親が医療機関に対して分娩費用を支払わなくても済むような方向で調整しているとのことです。

『産科医、小児科医、麻酔科医などが院内に常駐し、急変時の迅速な医学的対応がいつでも可能で、いざとなれば脳神経外科医もすぐに対応してくれる施設』でも、『急変時の医学的対応がほとんど何もできない施設』でも、分娩費用が地域によりすべて一律というのでは、全く納得できません。それぞれの施設によって提供できるサービスも必要経費も全く違うのですから、地域によって分娩費用を一律に設定するのはかなりの無理があります。各施設の提供できるサービスに応じて、料金設定に大きな差があって当然だと思います。

****** 共同通信、2008年11月13日

出産一時金、額を地域別に  来秋にも、厚労省方針

 厚生労働省は13日、出産時に公的医療保険から支給される「出産育児一時金」について、全国一律35万円の支給額(来年1月から38万円)を来年秋にも改め、地域ごとに異なる出産費用の実態を反映させ、都道府県別の額に変更する方針を固めた。

 併せて、妊産婦や家族が医療機関の窓口で費用全額をいったん“立て替え払い”した後、健康保険組合など公的保険から一時金を受け取る現行制度も見直し。手元に現金がなくても出産に臨めるよう、健保組合などに医療機関への一時金の直接支払いを義務付ける。来年の通常国会に関連法案を提出する方針。

(以下略)

(共同通信、2008年11月13日)