ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

妊娠のリスク知ってほしい―現役産婦人科医が11か条の心得(CBニュース)

2008年11月23日 | 地域周産期医療

妊娠はリスクを伴いますが、医療を必要としている妊婦さん達が、病院の産婦人科をだんだん利用しにくくなっているのは大きな問題です。しかし、これは産婦人科医の社会常識やモラルの欠如が根本的な原因ではないことを御理解いただきたいと思います。

産婦人科医達の本来の気持ちとしては、受診を希望する患者さんはみんな診てあげたいと思っているのですが、病院で勤務する産婦人科医の労働環境が年々悪化し、体力・気力の限界に達してぎりぎりのところまで追い詰められた医師達が燃え尽きて次々に離職し、残された医師達の労働環境はますます悪化し、病院から産婦人科の看板が次々に消えていく社会状況となっています。この悪循環を一度しっかりと断ち切って、この国の産婦人科医療提供体制を再構築する必要があると多くの人が考え始めています。すなわち、基幹病院に産婦人科医を集約して、勤務医の労働環境を大幅に改善させて、基幹病院の産婦人科がちょっとやそっとではつぶれないようにすることが大事だと考えています。

産婦人科医療提供体制の構造改革がうまくいっている地域では、最近は産婦人科医の頭数も増え始めており、地域の産婦人科医療提供体制が今後も維持されることを期待できます。

しかし、構造改革に失敗した地域では、今後、ますます地域の産婦人科医の頭数が減り続けて、産婦人科医療の提供そのものが一度は地域から完全に消滅してしまう可能性も危惧されます。

今まさに巷で困っている多くの患者さん達をいかにして救済していくのか?という緊急の課題ですから、10年とか20年とかでだんだんといい方向に向かっていけばよいという悠長な問題ではありません。産婦人科医療提供体制の再構築は、できるだけ早急に一気に実現させる必要があります。理念を示し、国策として、強力に実施する必要があると思います。

****** CBニュース、2008年11月17日

妊娠のリスク知ってほしい―現役産婦人科医が11か条の心得

相次ぐ妊婦の救急医療機関への受け入れ困難の問題を受け、川崎医科大附属病院(岡山県倉敷市)産婦人科医長の宋美玄さんが、思春期以降の男女に妊娠・出産に伴うリスクを理解してもらおうと、妊娠についての心構えなどを示した「妊娠の心得11か条」をつくり、自らのブログで公開している。宋さんは「お産は一般的に『安心、安全』というイメージがあるが、実際は死を伴うこともあるリスクあるもの。産婦人科に来る女性は既に妊娠している段階なので、早い時期から妊娠・出産に対する意識と正しい知識を持ってもらいたい」と話している。【熊田梨恵】

(以下略)

「妊娠の心得11か条」を公開している宋さんのブログ~「LUPOの地球ぶらぶら紀行」
http://blogs.yahoo.co.jp/mihyon0123

(CBニュース、2008年11月17日)