ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

「何もしない人の分なぜ払う」 医療費で麻生首相が発言

2008年11月28日 | 医療全般

****** 共同通信、2008年11月28日

舌禍に「選挙苦戦」と悲鳴 首相陳謝も与党

 失言、迷走発言、言い間違いなど麻生太郎首相の"舌禍"に与党から「今、衆院解散を打たれたら、かなりの苦戦」(自民党の柴山昌彦衆院議員)と悲鳴が上がっている。首相は27日、「何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」との経済財政諮問会議での発言について陳謝したが、同党の中山泰秀衆院議員らが「国民感覚とずれている」と批判。陳謝でも沈静化できないほど求心力が低下した状況が浮き彫りになった。

 「沈黙は金だが、放言はメッキの類。余分なことは言わないようにしてほしい」。自民党の山崎拓前副総裁は同日の派閥総会で、医療費に関する失言などに苦言を呈した。公明党の太田昭宏代表は「(報道通りなら)不適切な発言。首相のみならず閣僚を含めて緊張感をもってやるべきだ」と政権への不満を表した。

 自民党の町村信孝前官房長官も同日夜の日本BS放送番組で「官邸で政策の緻密(ちみつ)な吟味が行われていない。未熟さゆえに、国民に好感を持たれていない」と述べた。

 医療をめぐっては医師を「社会的常識に欠ける」とした発言に続くだけに医師出身の西島英利参院議員は「医師不足、医療体制崩壊の危機が叫ばれる状況下、時期が悪すぎる」と危機感を強めた。また、定額給付金の所得制限をめぐる"迷走"に関しても「地方では非難の嵐だ」との声も。伊吹派総会では小沢一郎民主党代表との非難合戦への批判が出た。

 首相は医療費発言について「病の方の気分を害したならおわびします」と陳謝。山口俊一首相補佐官も「健康管理に努力しないと、医療費がどんどん膨れあがるとの意味」と釈明、「(失言は)面白みもあるということだ。天皇陛下みたいに『あっそう、あっそう』と言われたら、話す方も話せなくなる」(自民党の笹川尭総務会長)と擁護論も出るが、影響は尾を引きそうな状況だ。

(共同通信、2008年11月28日)

****** 共同通信、2008年11月28日

首相の資格ない-野党 医療費発言を批判

 民主党の菅直人代表代行は27日午後の記者会見で、麻生太郎首相が経済財政諮問会議で「何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言したことに関し、「社会保険制度の原理を全く理解していない。首相の資格を有していないと言わざるを得ない」と厳しく批判した。

 首相が失言を繰り返すことに対しては「最近は怒りよりも恥ずかしいという言葉があちこちで聞こえてくる。自国の首相を恥ずかしいと国民が思う状態になっている」と指摘した。

 共産党の志位和夫委員長も会見で「公的医療保険制度の否定で、到底許されない発言」と非難。首相のこれまでの失言については「国民の常識の世界とは、別の世界で首相は生きていると言わざるを得ない」と述べ、あらためて首相としての資質に疑問を呈した。

 社民党の重野安正幹事長は「自民党の首相でこれほど言葉が軽く、すぐ修正する人はいなかった」と指摘。国民新党の亀井久興幹事長は「いつも弱い立場の人の心を傷つける。国のトップリーダーとして発言の重みをよく考えてほしい」と強調した。

(共同通信、2008年11月28日)

****** 毎日新聞・社説、2008年11月28日

首相の「放言」 患者の気持ちを逆なでした

 また、麻生太郎首相の放言が飛び出した。

 今度は社会保障費の抑制を議論した20日の経済財政諮問会議で「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」などと発言したことが分かった。同諮問会議の少し前、全国都道府県知事会議で行った「医師は社会的な常識がない人が多い」との発言の撤回を求めた日本医師会に対し麻生首相は「言葉が不適切だった」と陳謝したばかりだった。日々闘病を続ける患者の気持ちを考えれば、このような放言は到底できないはずだ。 

 諮問会議では社会保障と税財政の一体改革が議論されていたが、議事要旨を読む限り、首相発言は議論を深める内容になっていない。「67、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている。今になると、こちらの方が医療費がかかっていない。毎朝歩いたり何かしているからだ。私の方が税金は払っている」などと述べ、その後で不養生の人の医療費を、自分がなぜ払う必要があるのか、という趣旨の発言をした。

 麻生発言の問題点を二つ指摘したい。第一は先天的に病気を抱えている人や摂生していても病気になるケースもあるということだ。難病や重い病と闘っている患者の立場になって考えれば、不摂生によって病気になった人の医療費を「何で私が払うんだ」などという発言はできないはずだ。患者に気を配り、救済するために医療を充実させることが本来、政治が目指すものであるはずだ。

 首相発言は、患者や体の弱い高齢者の気持ちを逆なでするものであり、あまりにも無責任と指摘せざるを得ない。これは漢字の読み間違えとは次元が異なる重要な問題であり、看過できない。あえて言えば、これは政治哲学や思想に深くかかわる問題でもある。

 麻生首相は記者会見で「病の床にある方の気分を害したというなら、おわびしたい」と謝罪したものの、「趣旨は、(病気の)予防を全然考えていない今の(医療)制度はいかがなものかを言った」と釈明した。予防や健康管理の必要性を主張したいのなら、率直に国民に訴えるべきだった。

 問題の2点目は、首相発言が医療保険制度の根幹を揺るがしかねないという点だ。日本は国民皆保険制度を取っている。国民がかけた保険料と税金で、手術や治療などに必要な費用を国民全体で支える共生の仕組みになっている。首相が主張するように、元気で健康な人が「なぜ自分が金を払うんだ」と言い出したら、皆保険制度は崩壊してしまう。

 皆保険制度の仕組みを知りながら、なぜこんな不適切な発言をしたのか。患者だけでなく、多くの国民が理解に苦しんでいる。こうした放言が続けば、首相としての資質を問う声が強まることは避けられまい。

(毎日新聞・社説、2008年11月28日)

****** 読売新聞、2008年11月26日

首相「何もしない人の医療費、なぜ払う」、諮問会議で発言

 麻生首相が20日に開かれた政府の経済財政諮問会議で、社会保障費の抑制を巡って「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言していたことが、26日に公開された議事要旨で分かった。

 与謝野経済財政相が社会保障費の抑制や効率化の重要性を指摘したのを受けて、首相は出席した同窓会の話を紹介しながら「67歳、68歳で同窓会にゆくとよぼよぼしている。医者にやたらかかっている者がいる」、「彼らは学生時代はとても元気だったが、今になるとこちら(首相)の方がはるかに医療費がかかってない。それは毎朝歩いたり何かしているから」と発言した。

 病気を予防することが社会保障費抑制につながることを強調する物言いとみられるが、病気になり医療サービスを受ける人が悪いとも受け取れる発言で波紋を呼びそうだ。

 首相は19日に行われた全国知事会議で「医師には社会的な常識がかなり欠落している人が多い」と発言し、謝罪に追い込まれたばかり。

(読売新聞、2008年11月26日)

****** 毎日新聞、2008年11月26日

麻生首相 医師発言を参院本会議で陳謝 「まことに軽率」

 麻生太郎首相は26日午前の参院本会議で、「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」との自身の発言について、「不適切な発言をしたことはまことに軽率であり、申し訳なく反省している」と踏み込んで陳謝した。最近、「発言の軽さ」を与党内からも批判されていることに配慮したとみられる。医師出身の西島英利氏(自民)の質問に答えた。【山田夢留】

(毎日新聞、2008年11月26日)

****** 共同通信、2008年11月27日

何もしない人の分なぜ払う 医療費で麻生首相が発言

 麻生太郎首相が20日の経済財政諮問会議で、「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(患者)の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言していたことが26日に公開された議事要旨で分かった。

 首相は全国知事会議で「医師は社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言し、陳謝したばかり。病気になるのは本人の不摂生のためとも受け止められる発言で、波紋が広がりそうだ。

 20日の諮問会議では、社会保障制度と税財政の抜本改革などを議論した。首相は同窓会に出席した経験を引き合いに出し「(学生時代は元気だったが)よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる」と指摘した。

 その上で「今になるとこちら(麻生首相)の方がはるかに医療費がかかってない。それは毎朝歩いたり何かしているからだ。私の方が税金は払っている」と述べ、努力して健康を維持している人が払っている税金が、努力しないで病気になった人の医療費に回っているとの見方を示した。

 さらに「努力して健康を保った人には何かしてくれるとか、そういうインセンティブ(動機づけ)がないといけない」と話した。

(共同通信、2008年11月27日)

****** 日テレニュース、2008年11月27日

何もしない人の医療費、何で私が払う~首相

 麻生首相が、病院に通っている高齢者を指して「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ」などと発言していたことがわかった。

 これは26日に公開された、20日の経済財政諮問会議の議事録で明らかになったもの。社会保障問題の議論の中で、麻生首相は「67歳、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる。彼らは、学生時代はとても元気だったが、今になるとこちら(私)の方がはるかに医療費がかかってない。それは、毎朝歩いたり、何かしているからである。私の方が税金は払っている。たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ」などと発言していた。

 その上で、麻生首相は「努力して健康を保った人にインセンティブがないといけない」と述べるなど、予防医学の重要性や健康を保つ努力が必要で、膨らむ医療費の歯止めにつながると強調しているが、配慮に欠けた発言と波紋を広げそうだ。

(日テレニュース、2008年11月27日)

******* 共同通信、2008年11月27日

首相、医療費発言を陳謝 鳩山氏「資質に疑問」

 麻生太郎首相は27日昼、自身が経済財政諮問会議で「何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言したことについて「今、病の方の気分を害したならおわびします」と陳謝した。官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は「(病気の)予防をきちんとすべきだというのが趣旨だ。予防に力を入れると医療費全体が収まる」と釈明。「ただ、先天的な(病気の)人や追突事故をされた人もいるから」と述べた。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は都内で記者団に「失言の中に本質的な間違いが見られる。首相にふさわしいのか首をかしげる」と述べ、資質に疑問を呈した。首相が「努力して健康を保った人には何かしてくれるとか、そういうインセンティブ(動機づけ)がないといけない」と発言したことにも「話そのものが狂っている。とんでもない」と批判した。

 一方、河村建夫官房長官は記者会見で、首相の相次ぐ問題発言を「一つの個性」と擁護。「首相はああいう性格だから、いろんな発言はこれからもあるだろう」と述べた。

(共同通信、2008年11月27日)