ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

10年度臨床研修の募集定員  地方大学病院の割合が初めて増加 マッチングで研修医の動き注視

2009年09月10日 | 医療全般

これまでは研修医の病院別募集定員枠を比較的自由に設定できたため、総募集定員数が実際の研修医数をはるかに上回っていました。地方では定員割れとなる病院が多く、研修医が都市部の有力病院での研修を選ぶ傾向が強くなり、大学の医師派遣機能が低下し、地方の医師不足を招いたとも言われてきました。

そこで制度を改めて、都道府県別、病院別の定員枠を厳密に設定し、研修医の地域偏在を解消しようとしています。病院別定員枠は、直近3年間におけるマッチング数など過去の実績を基準に算出し、実態に即した定員設定となります。大学病院の定員枠を優遇して、大学病院の医師派遣機能回復を目指す狙いもあります。

しかし、10年度の募集定員数には前年度のマッチング数確保などの激変緩和措置分が入っているため、都市部の研修医数は従来と比べてそれほど大きな変わりがないかもしれません。実際問題として、10年度の研修医募集定員1万683人に対して、マッチングに参加する医大生は約8千人程度で、いまだに募集定員の方がマッチング参加者数より約2千人程度上回っていて、売り手市場の状況は従来と比べてそれほど大きく変わらないと思われます。10月末に発表される10年度マッチング結果の動向を見て、11年度以降の激変緩和措置の取り扱いが決められるそうです。

今後長い目で見れば、医学部卒業者数が年々増えていく過程で、研修医募集定員数とマッチング参加者数がほぼ一致するようになり、制度見直しの効果が徐々にあらわれると思われます。

****** CBニュース、2009年9月7日

来年度の研修医募集定員、地方が初の6割台

 厚生労働省は9月4日、来年度の臨床研修の実施体制の概要を明らかにした。募集定員は前年度比765人減の1万683人(新規指定分を除く)で、新医師臨床研修制度が始まった2004年度以降、大都市部の6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除いた地方の定員の割合が初めて6割を超えた。地方の募集定員に占める大学病院と臨床研修病院の比率は、臨床研修病院が56.0%(前年度比0.9ポイント減)、大学病院44.0%(同0.9ポイント増)で、大学病院が初めてプラスに転じた。大都市部と地方の研修医数の格差を是正するため、来年度から新たな臨床研修制度が導入されることから、同省では「ほぼ想定通りの数字」としている。ただ、募集枠通りに研修医が選択するかどうかは不透明で、10月29日に発表されるマッチング結果が注目される。最終的な実施体制は、医道審議会の医師分科会医師臨床研修部会での審議を経て、9月下旬に決定する見通しだ。

 研修医を募集する「基幹型臨床研修病院」は、前年度比63病院減の1051病院(新規指定分を除く)で、04年度以降初のマイナスとなった。また、募集定員全体に占める大学病院と臨床研修病院の比率は、臨床研修病院53.5%(前年度比0.1ポイント増)、大学病院46.5%(同0.1ポイント減)とほぼ横ばいで、制度導入時から減少傾向にあった大学病院は下げ止まった形だ。

(以下略)

(CBニュース、2009年9月7日)


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