ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

1052機関中 市立堺病院2度目全国一、医師臨床研修先の第1希望率

2009年11月17日 | 医療全般

今年度、医師臨床研修先の第1希望率で全国第1位だったのは、大阪の市立堺病院だそうです。読売新聞の記事を読むと、この病院では、魅力的な研修システム作りのために、病院の総力を挙げて相当な努力を積み重ねていることがよくわかります。

一般の市中病院での研修では、大学での研修と比べると、研修医1人当たりの取り扱う患者数が圧倒的に多く、軽症のよくある疾患の頻度が高いという特徴があると思います。一般のよくある疾患に対する初期対応、初歩的な手技などは多く経験できます。

それに対して、大学病院は3次医療を担っているので、地域の2次病院ではとても手に負えないような重症の患者さん達が県内各地からどんどん紹介されて来ます。また、大学の医学部では基礎的な医学の研究が行われています。ですから、一般の2次病院では扱うことのできない高度で最先端の医療を学ぶためには、大学病院での研修が不可欠ですし、基礎的な医学研究に従事するためには大学に在籍する必要があります。しかし、一般のよくある疾患は、大学病院での診療の対象とはならないことが多いので、大学病院における研修ではあまり多く経験できないかもしれません。

初期臨床研修では、プライマリー・ケアの修得のために経験できる症例数が十分にあり、指導体制の整った病院に、研修医が自然に多く集まると思います。研修病院としては、研修医のさまざまなニーズに応えられるような魅力的な研修システム作りを真剣に考えて、創意工夫を重ねて年々バージョンアップしていく必要があります。研修医集めは毎年毎年が新たな勝負で、研修医からみて魅力的な研修病院として認識されなくなれば、研修医が集まらなくなってしまうのは当然だと思います。

平成21年度 研修医マッチングの結果

臨床研修の都道府県別来年度定員

****** 読売新聞、大阪、2009年11月14日

1052機関中 市立堺病院2度目全国一

医師臨床研修先の第1希望率

 大学卒業後の新人医師の臨床研修を受け入れる全国1052医療機関で、市立堺病院(堺市堺区)の定員に対する「第1希望者」の割合が、医師臨床研修マッチング協議会(事務局・東京)の今年度の中間集計でトップとなった。トップは2年ぶりで、昨年も3位と高水準を維持。組織的できめ細かな指導が評価に結びついているといい、同病院は「医師育成のモデルをつくりたい」としている。

(中略)

 市立堺病院では、幅広い臓器を診療する総合内科の体制や、感染症に関する教育などが充実している。研修医を受け入れる専門科の指導医らは、毎月会議を実施。情報交換や連携を進め、研修医にも年に数回アンケートを行い、プログラムの改善などに取り組んできた。

 このほか、院外から年に数回、研修・指導のノウハウを持っている外国人医師らを講師に招請。指導医だけでなく、〈先輩〉の後期研修医らも指導役になる体制を整え、昼食時の症例検討会などを頻繁に開催。自由に意見交換できるムードもつくってきたという。

 金万和志副院長は「より良い研修を目指すことで医師が指導力を付け、組織内の連携も進むなど、病院側の刺激や活性化につながっている」と話している。

(読売新聞、大阪、2009年11月14日)


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