ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

臨床研修制度の見直し

2008年08月27日 | 医療全般

臨床研修制度が見直されているようです。

まず、現在2年間の初期研修期間を1年間に短縮する案があるようです。初期研修期間を終了してから専門医研修を開始するわけですから、制度切り替えの年には同時に2学年分の医師(16000人!)が専門医研修を開始することになります。従って計算上は、現場の実働医師が確実に8000人増員される!ことになります。是非とも早急に実施していただきたいと思います。

ただし、この実働医師の増員効果は制度切り替え時の1回限りの効果です。従って、長期的には、やはり医学部の定員を増やすなどの対策も必須と思われます。

専門医研修(後期研修)は未だ制度化されてませんが、今後、初期研修と同様に専門医研修を制度化すると同時に、学会ごとに基準が異なる、認定医、専門医、指導医などのあり方をある程度統一し、完全に自由に医師が診療科を選択できるようにするのではなく、(諸外国と同様に)各診療科の必要数を踏まえて専門医の数を限定して養成し、専門医を取得した人にはインセンティブを付けることなども検討されているようです。

また、大学病院に限定されますが、来年度から2年間の初期研修期間のうち最長で1年半まで特定の診療科(内科、外科、小児科、産婦人科、救急)だけを集中的に研修できる『特定診療科集中研修プログラム』も認められました。将来の志望診療科がはっきりと決まっている学生にとってはこのプログラムは魅力的かもしれません。指導する側でも、このプログラムを選択した研修医は将来その科の専門医を目指してくれる可能性が非常に高いので、他の研修医と比較して指導にも一層熱が入ることは間違いありません。現行制度だと、初期研修開始時に産婦人科志望だった者が、2年目に産婦人科研修に回って来た時点で、いつのまにか他の診療科志望に変わってしまっているケースが非常に多いです。他の診療科の先生方も必死で勧誘しているので、お互い様なんですが、毎年、『せっかくの産婦人科志望の貴重な研修医を、どうして勧誘したんだ?』と他の診療科の先生方を逆恨みしてます。産婦人科を志望する学生達には、是非この『産婦人科重点研修プログラム』を前向きに検討して欲しいと思います。

今後、制度がどのように変わっていくのか全くわかりませんが、常に最新の情報を収集し、時代の流れに乗り遅れないよう、柔軟に対応していくしかありません。