紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

何も言葉は要らない超名盤…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

2008-01-21 22:06:50 | ジョン・コルトレーン
ここの所、渋い、もしくは裏名盤的な佳盤、好盤を多く紹介してきましたが、今日は王道の超名盤を紹介します。
「ジョン・コルトレーン」と「セロニアス・モンク」の唯一とも言うべき、スタジオ録音…リバーサイドの傑作です。
演奏は、主に二回の録音にてレコーディングされたのに加え、6曲目だけ、「モンク」のソロ演奏が収録されています。
若き日の「コルトレーン」の成長する演奏を耳に出来る事と、「モンク」の奇才ぶりを理解するのにも、とても貴重な演奏&音源になっています。

アルバムタイトル…セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン

パーソネル…リーダー;セロニアス・モンク(p)1~6曲目
      ジョン・コルトレーン(ts)1、2、3、4、5曲目
      シャドウ・ウィルソン(ds)1、2、4曲目
      コールマン・ホーキンス(ts)3、5曲目
      レイ・コープランド(tp)3、5曲目
      ジジ・グライス(as)3、5曲目
      ウィルバー・ウェア(b)1、2、3、4、5曲目
      アート・ブレイキー(ds)3、5曲目

曲目…1.ルビー・マイ・ディア、2.トリンクル・ティンクル、3.オフ・マイナー、4.ナッティ、5.エピストロフィー、6.ファンクショナル

録音…1958年春(1,2、4曲目)、1957年6月26日(3、5曲目)
   1957年4月12日(6曲目)

原盤…RIVERSIDE  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1510

演奏について…まず、トラディショナルなA級のバラッド演奏…1曲目の「ルビー・マイ・ディア」ですが、「コルトレーン」が、動かざる事山の如し的な、雄大で腰の据わったアドリブを、ゆったりと吹き通します。
後の「シーツ・オブ・サウンド」の原型となった様な、パルスの様なブレスも垣間見れて…「モンク」の知的なピアノ・ソロも、「コルトレーン」を完璧にアシストしてくれます。
「ウェア」のベースと、「ウィルソン」のブラッシュ・ワークは、そっと…この巨人(ジャズ・ジャイアンツ)を、陰ながら支えてくれて…。
至福の演奏がなされています。

2曲目「トリンクル・ティンクル」…ノッケから「モンク」節全開!で、不協和音的な、ブロック・コードを時に訥々と、時に連弾で弾き込む「モンク」の演奏が、とにかくすごい。
そして、それ以上にすごいのは、この不可思議なバック&ソロ演奏を物ともせずに、一身腐乱に、速射砲の如くリードから唾を吐き捨てる様にテナーを吹き切る「コルトレーン」の超絶的な演奏技術と、ジャズ・スピリットに、尊敬や驚きと言うより、もはや畏怖を覚える。
中間でベースでのソロを弾く「ウェア」の渋く、重厚な演奏が、まるで鉈で切った様な、迫力ある切れ味の年輪みたいに…味わいを持たせる。

3曲目「オフ・マイナー」…テーマの4管でのユニゾン演奏から、「モンク・ワールド」へ一気に大気圏突破で突入し、最初のメイン・ソロイストは、大御所「コールマン・ホーキンス」。
「コルトレーン」とは、やはり全く異質の音色とフレーズで、「ホーキンス」節を決めてくれます。
豪快で、低音(低地)から「グワォーン」と吹き上がる様な演奏は、「ホーキンス」の真骨頂です。
「モンク」のソロは…やはり「モンク」です。
「モンク」以外の何者でも無く、彼の世界は前人未到の、異空間なんですね。
ここでは「コルトレーン」は、最初のユニゾン&伴奏以外は演奏から外れています。

4曲目「ナッティ」…とても簡素でシンプルなテーマ・メロディで始まり、そのリフレイン演奏が序奏(&ラスト)でなされるんですが、アドリブ・ソロのパートとなってから、「コルトレーン」が、超人的な解釈とテクニックで、この素材をS級の三ッ星グルメへと料理(変身)させます。
「モンク」も、「トレーン」に負けじと、音で描く「ダリ」か「ピカソ」か「シャガール」か?
とても幻想的な、そしてシュールな世界観を描写してくれて…うぅーん堪りませんねぇ。

5曲目「エピストロフィー」…とにかく出される盤によって、(テープを切られたり、繋がれたりで、演奏時間やソロ時間が変わっていて)物議を醸し出すトラックなんですが、まず「ブレイキー」のドラムから、よーいドンで始まり、これに参加のオールスターズが、丁々発止で演り合う、希少な演奏です。
ホーン群(陣)は、この曲の突飛なテーマで遊んで?いますが、一番楽しんで、いや真面目に演っているのは…最初から最後まで、ガンガン敲く「ブレイキー」でしょう。

6曲目「ファンクショナル」…「モンク」の前に「モンク」無し。
「モンク」の後に「モンク」無し。
正しくオンリー・ワンのミュージシャンの「モンク」だが、ソロ演奏は、誰に邪魔される?事も無く、本人も遠慮する事もなく、自由奔放に演奏が出来る唯一、絶対の手段として、最大に持ち味を発揮できる場です。
原曲は、一寸泥臭いブルースなんですが、本作では思索しながら…しかし、とてもイマジネイティヴに、高尚な音楽に「モンク」は仕上げています。

さすが「モンク」…文句「モンク」無しの出来栄え。
誰にも文句「モンク」を言わせません。
最後は親父ギャグで決めてみました。(大爆笑)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿