紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

今日もすごいの行っちゃうよ!メンツを見て驚愕!ジョン・コルトレーン~コルトレーン・タイム

2008-04-28 21:15:23 | ジョン・コルトレーン
先日の「ジョン・コルトレーン」の「アセンション」紹介の時には、多くの方からコメントなどを頂戴し、ありがとうございます。
今日は、「アセンション」ほど巷で知られていませんが、参加ミュージシャンから、演られている演奏が、全く想像がつかない様な、とっておきの1枚…行っちゃいましょう!!

アルバムタイトル…コルトレーン・タイム

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      ケニー・ドーハム(tp)
      セシル・テイラー(p)
      チャック・イスラエルス(b)
      ルイス・ヘイズ(ds)

曲目…1.シフティング・ダウン、2.ジャスト・フレンズ、3.ライク・サムワン・イン・ラヴ、4.ダブル・クラッチング

1958年10月13日録音

原盤…LIBERTY  発売…東芝EMI
CD番号…CP32-5189

演奏について…冒頭で述べているが、このアルバムへの参加メンバー???…な、何てこったい!
「コルトレーン」を取り巻くメンバーが、「ケニー・ドーハム」と「セシル・テイラー」、リズムは「ルイス・ヘイズ」と「チャック・イスラエルス」。
一体どんな音楽(ジャズ)が奏でられているのか?
皆さん、興味が湧きませんか?
ハード・バップを代表する、ウォームで朴訥な音色で、いかにも正統的な生真面目「ドーハム」に、革新的なピアニストとしては、最も極の位置にいる異端児「テイラー」が交じり合うことが出来るの?
後年、「ビル・エヴァンス」とクールでインテリジェンスなピアノ・トリオを組むベーシスト「イスラエルス」。
逆に「ヘイズ」は、硬派のフュージョンまでに、先進的な音楽性へと変えていった無頼の漢である。

唯、唯一、ここでの演奏を紐解く鍵があるとすれば、ずばり録音年代(1958年)だと言うことだ!

この年には「コルトレーン・チェンジ」や「シーツ・オブ・サウンド」は未だ、完全な完成を見てはいないし、(でも、その断片演奏は、所々に有るんですが…)「テイラー」にしたって、相当革新的なピアノ演奏をしてはいるが、1960年代半ばの、ウルトラ・フリーな域までは達していない。
だから、「ドーハム」の演奏も(多少違和感が感じられるとは言え)全く時代遅れとまではなっていない。
勿論、「ヘイズ」「イスラエルス」の二人とも、堅実で非常にオーソドックスなバック演奏に徹している。
ですので、来るべき未来に、どこまでも飛ぶ「コルトレーン」と「テイラー」の前途洋々な演奏の走り…そう、あくまでも走りですけど、垣間見れるのが楽しいんです。

それではどうぞ!

一番面白い…趣き深いのは、3曲目、名曲「ライク・サムワン・イン・ラヴ」で、「コルトレーン」が主題メロディを奏でた後、「ドーハム」が非常にエモーショナルで、安定感のあるアドリブ・ソロをこなす。
逆に「テイラー」は、調整をかなり無視した?不協和音を多用した、ブロック・コードで、曲にアクセントを付ける。
「コルトレーン」のソロは、流麗で且つアグレッシヴな物で、シーツ・オブ・サウンドの礎的な、畝って長めのアドリブ・フレーズを多く用いて、エキサイティングに演奏する。
その後の「テイラー」のアドリブがすごい!
まるで、ぶっ飛んだ「モンク」の様です。
切れる!すっ飛ぶ!駆け上がる!
一寸、いや、もはや言葉に出来ません。
「テイラー」と、デュオ的に「イスラエルス」がベース・アドリブを演ってくれますが、この二人の掛け合い、バトルもものすごく良いんです。
ハチャメチャなのか?前衛芸術なのか?ギリギリの線で交わる所が最高です。

1曲目「シフティング・ダウン」…いきなり「セシル・テイラー」の不協和音のブロック・コードから、ブルーズ・リズムで始まるチューン。
ノッケから、彼らの決意表明がなされた瞬間である。
最初のソロは「コルトレーン」…およそ1年後の「ジャイアント・ステップス」録音の超人的な飛躍を予感させる、ハードで乾いた音色で、辛口のブルーズ・アドリブをバリバリと吹いて、正に「コルトレーン・タイム」の到来を告げるかの様です。
「テイラー」…うぅーん、相変わらず良い仕事していますね。
この変則的な和音…こいつは「テイラー」にしか出来ない代物です。
「モンク」以上です。
調整(コード)は、完全に無視?していても、クラシックの現代音楽の様に、音楽性が有ります。
そして、この演奏を万人向けに纏め上げるのが、ズバリ「ドーハム」です。
いかにもハード・バピッシュな、大人のブルーズを演ってくれます。
「ドーハム」すごいです。
革新者二人を差し置いて、オールド・ファッションながら、男の生き様…見せてくれます。
うぅーん…感激です!!

4曲目「ダブル・クラッチング」…序奏は「ドーハム」がかなり乗ってる感じでオ-ソドックスにアドリブを仕上げる。
受けた「コルトレーン」も、序盤はゆったり目に、かなりおおらかな感じでアドリブを演るんですが、その後、お得意の「シーツ・オブ・サウンド」もどき?の、連続したうねりのフレーズで、曲をエキサイティングに仕上げて行きます。
合間でおかずをたっぷり入れる「イスラエルス」のベースもすごく良い仕事してます。
「テイラー」は、ここでは間を上手に使って、音と音の空間を大事にする部分と、早弾きのパート(小節)との対比を見事に演出します。
それから「イスラエルス」の、重厚で強面硬派の、野太いソロが入るのですが、胸にジーンと来ます。
終盤はカルテット5人渾然一体となる、ソロがミキシングされて、絡み合って、取分け「ヘイズ」のソロ・パートは聴き応え有ります。
各人のアドリブ・ソロを中心に聴くなら、ズバリ…この演奏が一番でしょうか?

2曲目「ジャスト・フレンズ」…ハイテンポのリズムから、「テイラー」が過激に突き進む。
一方、「ヘイズ」と「イスラエルス」は、淡々とリズムを刻み、でも音色は硬派ですよ!
「ドーハム」はいつもより元気目で、目一杯ブロウしてくれます。
それでも、相変わらず優しい音色です。
「コルトレーン」は、「ドーハム」の後を受けるので、(「ドーハム」に遠慮してか?)余り過激にならず、インテリックなアドリブで応戦します。
パッセージを発しますが、やや抑制した表現で、ここにダンディズムを極めれり!

とにかく、全4曲ともgoodですよ!
「テイラー」嫌いの方にも聴いてほっすぃい!!
決して名盤ではないけれど、「コルトレーン」と「テイラー」の一期一会の奇跡の名演がここに有りますよ。
正に必聴盤です!!!      


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは面白そうですね。 (garjyu)
2008-04-30 19:25:07
こんにちは。

私は、前衛と古典のハザマにある“アダ花”のような作品が好きです。(その“でん”でいけば、『アウト・トゥ・ランチ』なんかそうだったのですが、すぐにその良さが分からなかったですね。)

セシル・テーラーそのものも良く聴いたことがないですが、前衛派と古典派の邂逅による面白盤とみました。ウィッシュ・リストに入れておきます。
返信する
またまたgarjyuさん、ありがとうございます。 (えりっく$Φ)
2008-05-01 21:04:03
古典と前衛のハザマに咲く「アダ花」ですか?
私も、そう言うの大好きです。(爆笑)
そういう作品があるからこそ、JAZZを聴くことを止められない様な物です。(ムフフ)
「セシル・テイラー」…そのもの…過激ですよ!
でも、「モンク」を聴くことが出来れば、多分…大丈夫かなぁ?
返信する

コメントを投稿