紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

心を乱すモノクローム・ヴォイス…ホリー・コール・トリオ~コーリング・ユー

2007-05-28 23:03:47 | ジャズ・ヴォーカル
その生い立ちから、奇跡のジャズ・シンガーとも言える、「ホリー・コール」のデビュー作であり、彼女の名声を決定付けた、大ヒットアルバムが本作である。

まず、このアルバムはかなり有名なのだが、このアルバム自体を、もしくはタイトル曲「コーリング・ユー」を聴いたことが無い諸氏へは、このジャケット写真を見て歌われている曲や声を是非とも想像して欲しい。
一言で言うと、私の今日のブログタイトルにも使わせて頂いているが、アルバム解説に載っていた、正しくアンニュイな女性が歌う「モノクローム・ヴォイス」そのものなのである。

イメージ的には、このアルバムは、美味しいブランデーかバーボンでも片手に、夜聴いて頂くと良いのでは?と思う。
(実は私は下戸なので、バーボンなんて代物は全く飲めないのですが…(恥))

さて詳細を説明して行こう。

アルバムタイトル…「コーリング・ユー」

パーソネル…ホリー・コール(ヴォイス)
      アーロン・デイヴィス(p)
      デイヴィッド・ピルチ(b)

  ゲスト ジョニー・フリゴ(vl)
      ロバート・W・スティーヴンソン(b-cl)

曲目…1.トラスト・イン・ミー、2.アイム・ゴナ・ラフ・ユー、3.イフ・アイ・ワー・ア・ベル、4.スマイル、5.パープル・アヴェニュー、6.コーリング・ユー、7.ゴッド・ウィル、8.君住む街角、9.ハニー・サックル・ローズ、10.アイル・ビー・シーイング・ユー

演奏について…結論から言うと、万人が認めるベスト1はアルバムタイトルの「コーリング・ユー」で間違いないでしょう。

映画「バグダッド・カフェ」のテーマ曲として名高い名曲だが、ホリーの歌では女性の弱さを持ちつつも、ほのかな色香と奥底にある芯の強さを、極うっすら分かる程度に、微妙な心理状態として見事に表現しており、正しく名唱である。
彼女をサポートする二人も名演で、ジャジーな雰囲気を損なわずに、それでいて都会的なカッコ良さも何気に見せていて、クールな「大人のジャズ」を演っている。

次いで個人的には10曲目「アイル~」がバック二人の見事な演奏により、(取分けピアノのデイヴィスが美しい演奏を奏でていて酔いしれる)ホリーとの声を含めたトリオ演奏として完璧なシンクロを見せる。

8曲目「君住む街角」は序章が不安で怪しげな入りなのだが、(まるでドラキュラが棺から出てくるようだ)ホリーのヴォイスが入ってからは、とても可愛らしい歌い方とピアノの伴奏も可愛くなって、この曲調の変化がとても劇的で趣深い演奏です。

オープニング曲「トラスト~」は本当にホリーのアンニュイさの良さが全面に浮き出た好演であるが、それ以上にすごいのは、この演奏の影の主役、ベースの「ピルチ」の太いが締まった音色で奏でる名演である。 

3曲目スタンダードの名曲「イフ~」ではゲストプレイヤーのヴァイオリニスト、「フリゴ」が参加するが、ホリーのヴォイスも1楽器の様な役目をしていて、「器楽的カルテット」の様なシンクロ演奏がとても楽しい。

4曲目「スマイル」は想像とは全く違う超スローテンポの演奏(歌唱)で、改めてホリーの歌唱力に上手さを思い知る。
そして、ここでももう一人の主役はベースの「ピルチ」である。

5曲目「パープル~」はピアノ「デイヴィス」の伴奏サポートが見事にホリーの 歌声とマッチしており、いかにもジャズ・ヴォーカルを聴いたと納得する歌です。

全曲ジャジーな雰囲気満載の、お遊び無しの名演・名唱なので、是非ご一聴を願います。  


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