紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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エラ・イン・ローマ(バースデイ・コンサート)~エラ・フィッツジェラルド

2007-10-24 23:08:51 | ジャズ・ヴォーカル
数多くのライヴアルバムで、絶唱、名唱を残している、「エラ・フィッツジェラルド」ですが、このライヴ・アルバムは彼女の誕生日にローマで行われたコンサートを捉えた貴重な録音なんです。

時は1958年、「エラ」絶頂期の40歳の時の録音で、真に素晴らしい歌唱に心を打たれますね。
バックのメンバーも名うての名手揃いで、かなり聴き応えあるアルバムです。

アルバムタイトル…エラ・イン・ローマ(バースデイ・コンサート)

パーソネル…エラ・フィッツジェラルド(vo)
      ルー・レヴィ(p)
      マックス・ベネット(b)
      ガス・ジョンソン(ds)

      ゲスト…オスカー・ピーターソン・トリオ
      オスカー・ピーターソン(p)
      ハーブ・エリス(g)
      レイ・ブラウン(b)
      ガス・ジョンソン(ds) ※サヴォイでストンプのみの録音

曲目…1.ノーマン・グランツによるイントロダクション、2.セント・ルイス・ブルース、3.ジーズ・フーリッシュ・シングス、4.ジャスト・スクイズ・ミー、5.エンジェル・アイズ、6.恋の魔術師、7.そんなことなの、8.アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー、9.私は御満足、10.捧ぐるは愛のみ、11.ノーマン・グランツによるイントロダクション、12.君ほほえめば(CD追加曲)13.霧の日(CD追加曲)、14.真夜中の太陽、15.レディ・イズ・ア・トランプ(CD追加曲)、16.ソフィスティケイテッド・レディ(CD追加曲)、17.キャラヴァン、18.サヴォイでストンプ

1958年4月25日 ローマにてライヴ録音

原盤…Verve  発売…ポリドール
CD番号…POCJ-1913

演奏(歌唱)について…まず、「エラ」の超絶的な歌唱が聴けるのは、スキャット歌唱が洪水の様に、次から次へと繰り出される2曲目の「セント・ルイス・ブルース」です。
やはり、「エラ」は、ブルースを歌わせると半端じゃなく上手いし、バックの3人と見事に調和した歌と伴奏がオープニングから、フルスロットルで疾走し、会場を一気に盛り上げる事に、一役も二役も買っている。
とにかく、一発目から圧倒される名唱で、歌だけで言えば、ベスト歌唱でしょう。

3曲目「ジーズ・フーリッシュ~」は、「セント・ルイス~」とは、一転して、静かなバラードを聴かせる。
4曲目「ジャスト~」も、大人しめで、ジャジーな魅力に溢れていて、こう言った、アダルトで大人しい感じの「エラ」も有りですね。

5曲目「エンジェル・アイズ」…本来は作曲者「マット・デニス」の超名唱が有名で、いかにもダンディな歌でしたが、「エラ」も品位が高く、流石の歌唱力で、聴かす歌を決めています。
伴奏はピアノの「レヴィ」だけが音を出していて、とても落ち着いた曲調で、観衆も聞き惚れていますよ。

6曲目「恋の魔術師」は、ピアノ・トリオの演奏がお洒落で、それに同化して「エラ」が歌ってくれます。
典型的な「ピアノ・トリオ・プラス・シンガー」ですね。
全く、ヴォーカル物の王道ですから、聴いていて安心ですね。

8曲目「アイ・ラヴズ~」…この「エラ」のバラードもgoodです。
決して無理な声を出さず、抑制した歌唱の中に、ハートがタップリ詰まっています。
伴奏のピアノ「レヴィ」もとても品が良く、「エラ」の歌を際立たせています。
ブラシ・ワークでひっそり演奏する「ジョンソン」も可愛らしいですね。

9曲目「私は御満足」は、「コール・ポーター」作曲で、個人的に大好きな曲なんですが、ここでは「エラ」は序奏から、高速歌唱で、寸分狂いなく歌います。
そして、中間からとてもゆっくりと、聴かせる歌唱のテンポに落として、また高速に戻すと言う、劇的歌唱でKOされます。

10曲目「捧ぐるは愛のみ」…とにかく楽しい曲で、「エラ」が超一流ジャズ歌手であると同時に、一級のエンターテイナーである事を認識させられます。
序盤は余裕で歌うのは勿論なんですが、何と中間から歌まね(物真似)をしちゃうんですよ。
その歌手とは?…何と何と…「サッチモ」です。
女性の「エラ」が、見事にだみ声を真似して、「サッチモ」に変身するんです。

14曲目「真夜中の太陽」では、一寸「エラ」の本筋からはハズレるのでは?と思う、アンニュイな雰囲気の歌唱がなされ、「ベネット」のベースと「レヴィ」の抑えたピアノが、この気だるく歌う「エラ」を好アシストしてくれます。
こう言う「エラ」も結構来ますね。

CD追加曲の中では、15曲目「レディ・イズ~」なんかは面白い歌唱です。
そう、言うなればミュージカル風の歌唱で、高速の語り調で、「エラ」がぶいぶいと言わします。
今の時代なら、「エラ」…多分ラップの女性名人になっているんでしょう。

17曲目「キャラヴァン」では、「ガス・ジョンソン」の派手目のシンバル演奏と、ガッツリ重厚なベースを弾く「ベネット」、そしてセンス良いブロック・コードで「エラ」をサポートする「レヴィ」のピアノが素晴らしく、ジャズ演奏において、通常ヴォーカル物よりも、コンボ系が好きな私にとって、最高の聴き所の1曲となりました。
勿論、「エラ」の歌唱も最高潮です。

18曲目「サヴォイでストンプ」では、「オスカー・ピーターソン・トリオ+ワン」が「エラ」のバックを務めた唯一の曲がこれなんです。
「ピーターソン」が相変わらずテクニック抜群のピアノを弾き、「エラ」も負けじと圧倒的なスキャットで応戦します。
「ブラウン」「エリス」のセンス抜群の伴奏も良い味を出しています。
とにかく「エラ」のスキャットは完全に、コンボの一種と化して、声を楽器として使用した、言わば「オスカー・ピーターソン・クインテット」の演奏と言って良いでしょう。
アルバム中、最もジャジーな1曲です。


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